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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

そして彼は亡霊になった

作者: 甲陽

トレーター7に国家統一を成し遂げ

バベルの痕跡すらを消し去り

人々はいくつかの言葉や概念を捨て

無限の平和を勝ち得たのだ


そしてトレーター3に

陰陽道を元に派生した陰陽学により

人は死を超越した


西暦やそういったモノは残ってはいるものの時間に対する価値観が変わり時間の長短ではなく時間の質を重視する様になった。印度にある4つの期からなるサイクルであるユガが用いられるようになったのだ


サティヤ・トレーター・ドヴァーパラ・カリ 


この四つを用いて時間の質を表すのだ。左から順に"良い"とされている


人々はユガがカリへ偏るとサティヤへ戻そうとし、サティヤに偏れば維持しようとし闘いはあれどそれによる悲しみは生まれる事なく衝突があれど奪い合う事はない無限の平和が広がっていた


しかしそれは異なる星からの襲来までの話であった…


3061年 人は死を思い出した

無限の平和は終わりを迎え

それが始まりで人々はまた分断され同族同士で争う事にもなった


しかし陰陽学の施術が重りになりそう簡単には死なず無限に続くかもしれない地獄を刻み続けていた


争いは長く続き異なる星の元へ降る者、抵抗する者、争い合う者、ただ死なないだけの者など様々な者が居た


異星の者に対抗し一方で死ねない者に生の重りを外し死を与える力を持つ者もいた。


望む者に死を与える事を

繰り返していくたびに当然のように疑念が生まれた。苦しみより解放させたいった者達はみな感謝し安堵して死んでいくのだ。生より死の方が幸せではないのか?次第に心に歪みが生じ歪みは歪みを生み出会った者を全て殺してしまうという思考の元自身を機械の様に振る舞い全てを殺し回った


憎悪や復讐ではなくただ地獄を終わらせたいという考えが彼をそうさせたのだ


異星の下に降った者を殺した 抵抗する者を殺した 異星の者も殺した


効率的に殺す術を自身が気付かぬ内に身に付ける様になりやがてはこの星に来た脅威は去った…


それでも殺す事を辞めず最早、心は凍てつき無限の死の冬を迎え身体は殺の一文字を体現する様になった


彼は人のいない街を遠い自身だけでは思い出せやしない記憶の隅を探し回る様に彷徨った


来る日にも彷徨い続けた先には何もなくそこには痕跡だけが残っていた。

しかし


ある日運の尽きた1人の人間が無限の死の冬を宿した男と出会してしまったのだ


その人間は生きた顔をしていた。

久しく何百年も前に見た命の外側


その姿は長い髪に簡素な布を纏ったどこにでもいる娘であった。自然界にあり得ざる無限を持たず脈々と継がれてきたただの命がそこにあった


脳の裏を激しく一突きされるが如き衝撃を覚え自身が無限の冬にいる事を幾つもの日と背後の屍を積らせた後に気付いたのだ


凍てついた心が錆び付いた魂が動き出し錆や氷が落ち始め次第に後悔の二文字を現さんとする様に泣き始めた


もう無限を作らせやしない

もう過ちを築いたりしない


我が魂の贖罪としていつかこの星が還るその時までこの星と軌道を守り続ける事にした


この星のあるべき姿の本来の営みが叶うまで



そして数千年の時が経ち人々は空を見上げて星を仰ぐ



そして彼は亡霊(ジュピュター)になった

閲覧ありがとうございました。

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