幸福な花嫁
父に腕を引かれ、私はバージンロードをゆっくりと歩く。
長いドレスの裾がヒラヒラと揺れ、薄い銀色の糸で刺繍された花模様がキラキラと光を反射している。
私は今日、結婚する。
父と私は祭壇にたどり着いた。
ベール越しに壇上を見上げる。そこには……
__愛しい愛しい、私の花嫁。
純白のドレスは私とお揃い。彼女はレースのベールの奥で、美しく微笑んだ。差し出された手を握り返し、私は祭壇を登る。父は一礼して客席へ。その目に涙が溜まっているのを見て、思わず私も泣きそうになった。
「ダメ。まだ泣いちゃ」
耳元で彼女が囁く。
「メイクが落ちちゃうわ」
いたずらっぽく笑う彼女。
私たちは正面を向く。礼服を着た神父様が、おきまりの文言を読み上げた後、可愛らしい羽ペンで誓約書にサインをした。
客席を振り返る。観客は私の両親と、姉、そして彼女の両親のみ。
皆涙ぐみながらも、幸せそうに笑っている。
愛する家族に見守られ、祝福されながら私と彼女はお嫁に行くのだ。
教会の荘厳なステンドグラスから差し込むカラフルな光が、私たちを照らしている。まるで夢のよう。
私たちは、なんて幸せなのだろう___。