1
困惑。
ただひたすらに困惑した。
雫の柔らかそうなふとももの間から、チラリとのぞく淡いピンク色のしましまおぱんつ。
そんな可愛らしいおぱんつを白昼の下に堂々と晒しながらも、毎日死ね死ね言ってくる義妹は無表情をキメ込んで雑誌を読み込んでいた。
そして訪れる静寂。
サイン会ダブルブッキングというスーパーハードなイベントを消化してすぐ、無表情おぱんつ晒しイベントという謎イベントが発生して、俺はもうどうしていいかわからなかった。
脳が情報処理に失敗し、何もできず突っ立っていると、雫が口を開く。
「ねぇ、喉渇いた」
「へ……?」
「喉渇いたって言ってんの」
「え、あ、はい」
彼女は遠回しに飲み物を取ってこいと言っているのだろう。
冷ややかな声音に冷静さを取り戻す俺。
雫の股間を確認すると、柔らかなふとももはくにゅりと形を変え、ぴっちりと閉じていた。
……し、雫もたまにはそういう無防備な瞬間があるのかもしれない。
たぶん俺は、その十年に一度くらいの珍しい瞬間に立ち会ってしまったのだろう。
これ以上考えても正解はでなさそうなので、そう俺は結論づけた。
「オレンジジュースでいいか?」
「……あったかいミルク、砂糖入れて甘くして」
「りょーかい」
少し冷たいフローリングの上を歩き、キッチンに移動する。
兄をこき使うパイルバンカー系義妹。
……うん、いつも通りの日常だ。
やはり先ほどのおぱんつは何かの間違い。
一生に一度あるかないかのパンモロ事件だったようだ。
安心したぜ……!
まぁ当然だよな。催眠術にかかっていない状態で俺におぱんつを晒せるほど雫はむっつりスケベじゃないはずだ。
「はいよ、お待たせ」
俺は電子レンジで温めた砂糖入りのホットミルクを差し出す。
彼女はその小さな手でマグカップを持ち、口に近づける。
まったく、俺の義妹はミルクを飲む所作でさえ絵になるなぁ。
可愛らしくミルクに口をつけようとする雫を見てニンマリしていると、彼女はそんな俺の微笑ましい視線など無視して、驚くべき行動にうつる。
「えっ! ちょっ! 何してんの!?」
雫はミルクを口につけず、わざとらしくそのまま胸にこぼしてしまったのだ。
「こぼれた」
「いや今の絶対にわざとだろ!」
飲みやすい温度にしていたとはいえ、ミルクはそれなりに熱かった。
雫の柔肌に火傷のあとでもつければ天国のお父さんに俺が呪い殺されてしまうのですぐさまタオルを取りに行く。
新手の嫌がらせにしても危険すぎる!
火傷してしまったらどうする気だ!?
ここは心を鬼にして雫を叱らねば……!
そう固く決意して、雫の方へ戻る。
「……っ!」
叱る。
そう決意したはずの俺の心は、何やらピンク色の淡いモヤモヤに包まれる。
俺の決意を鈍らせる。その要因は今、すぐ目の前にあった。
「……ねばねばする。ちょっとくさい」
白濁液にまみれ、何やら意味深なセリフを吐く義妹。
何故かはだけているシャツ。
真っ白な肌。
細い首筋。
そしてチラリと見える下着。
白濁液は雫の小さな鎖骨のくぼみに溜まり、綺麗な胸の間をとろりと流れ、そして柔らかそうなふとももをしめらせる。
いやただの牛乳だってことは理解はしている。
理解はしているけれど、どうしようもないのだ。
男の本能が。俺のスケベラノベ作家脳が。彼女を汚す白濁を白濁(意味深)の方へと脳内変換してしまうのである。
控えめに言ってエロい。
エロがすぎる。
エロすぎて逆にキレそう(錯乱)
今のあられもない雫の姿をSNSに載せようものならあまりのスケベ加減にファンが急増し、日本人口過半数を優に超え、雫は民主主義を尊ぶ日本において圧倒的なまでの票を獲得し、そして総理大臣にまで上り詰めてしまう。
それくらいの魅力。圧倒的なまでの魅力があった。
エッチな総理大臣、アリだと思います。
「……っ」
選挙権を持たない十八歳以下には見せられないような雫の姿に、俺は文字通り呆気にとられていたのだ。
「どうしたの……はやくふきなさいよ」
「あっ、すまん」
無表情ながらも若干頬を赤くした雫に促され、綺麗な花に飛んでいく蜜蜂のごとく、俺はタオルを持ちながらじわりじわりと雫への距離をつめる。
そして、ピトリと、タオルを当てた。
「ひゃんっ!」
「……っ!」
雫が火傷をしていたら冷さなければいけない。
そう思い水に浸したタオル。
それを雫の胸に押し付けた途端、彼女は可愛らしい嬌声をあげた。
「変な声だすなよ……!」
「し、仕方ないでしょっ! アンタが変なところさわるからっ!」
「さわってねぇし!? 拭いただけだし!?」
「いいから早くしなさいよ! バカっ!」
タオルをあてたくらいで声が出ちゃうほど敏感肌なら自分で拭けばいいのに……っ!
というかいつもの雫なら、催眠術に俺がかかっていない状態なら、そもそも飲み物を頼んだりしないし、俺に拭かせようともしないだろう。
困惑し、そして雫を見つめていると、凛と佇む彼女に、唯一違和感を覚える部分を見つけた。
「……っ」
旬を迎えた青森産のふじりんごのように、雫の耳はこれでもかというほど真っ赤になっていたのだ。
……まさか、恥ずかしがっている?
彼女は意図して、おぱんつを自ら晒し、牛乳をこぼし、そして俺に拭かせているのか……?
サイン会ダブルブッキングによりすったもんだし、自分の書いた主人公の性癖を押し付けられた俺。
雫はそれにより、催眠術をかけられるずっと前から俺に好意を抱かれていた(性的な意味で)と勘違いしている。
そして、サイン会後のおぱんつ晒しムーブ。
白濁液まみれムーブ。
材料が揃ったその瞬間、雷鳴の如き閃きが、脳内に轟く。
彼女はたぶん、催眠術にかかっていない状態の俺を、惚れさせようとしているのだ……っ!
耳を真っ赤にするほど恥ずかしいのに、自分のおぱんつまで晒し、白濁液まみれになってまで……っ!
「……っ!」
なんて健気な義妹。
お兄ちゃんに好かれたいあまりおぱんつを晒し自ら白濁液をぶっかけるという変態行動がなかったら感動のあまり泣いていたところだ。
しかし。雫の気持ちは嬉しいけれど、俺たちは血が繋がっていないとはいえ兄妹。
そういう一線は超えてはいけないのだ。エッチなのはいけないと思います……!
「……」
俺は大きく息を吐き、無表情に徹しながら雫の柔肌を拭いていく。
依然彼女は甘い声をあげているが、ガン無視する。
すまない雫……!
俺はお前の晒されたおぱんつor白濁にまみれた姿を見て無条件で興奮できるほど変態じゃないんだ……っ!(大嘘)
「……むぅ」
反応が鈍くなった俺を見て、彼女はなにやら不満げな顔を浮かべる。
しょうがないだろ!
俺たちは兄妹なんだから!
脳内でそう叫びつつ、雫を拭き終える。
「さぁ、終わったぞ」
煩悩に打ち勝つため奥歯がぶち壊れる勢いで噛み締めつつ、そう言う。
胸、お腹と、濡れている部分はタオルで拭き取った。
俺は勝ったのだ。義妹(白濁まみれ)の誘惑に……!
「まだ……終わってない」
「……へ?」
全部拭き終えたはず……。
そんな俺の疑問に対して、雫は行動で回答する。
「ほら……ここ、たくさん濡れてる……っ」
雫は、むっちりしたふとももを開いた。
むわっと、熱気が漏れる。
白濁液に濡れ、雫の緊張からか温度が上がったふとももは、さながら東南アジアの密林ばりにむれむれになっていた。
おそらく絶対領域の湿度は90%を超えているだろう。
それはおぱんつも同様に、びしょびしょに濡れている。
俺が生成した白濁液で。
「……ど、どうしろと?」
声が震える。
俺のセリフに対して、雫は少しだけ無表情を崩して。
「ふ、拭いてよ」
そう言った。
「自分で拭けよ……っ!」
「……嫌よ、アンタが使ったタオルを持つなんて……!」
いやその言い訳は流石に苦しすぎるだろ!
と、ツッコミを入れたかったけどなんとか耐えた。
今の俺は、雫に嫌われきっているいつも通りの兄を演じなければならないのだ。
少しでも催眠術にかかっている時の俺がでてしまえば、感づかれてしまう!
催眠術にかかっていない状態の俺を誘惑し、手を出させようとする義妹と、兄妹の関係を大事にしたい俺。
こうして二人の、催眠術無しのえちえちチキンレースが始まってしまったのである。
【告知】
仲が悪すぎる幼馴染が、俺が5年以上ハマっているFPSゲームのフレンドだった件について。
4月28日(火)発売です!
催眠義妹にハマった方ならFPSをやったことがなくても100%ハマると思います!
是非よろしくお願いします!!




