特殊警察部隊ワールド.アース.メシア (ルギア編)
ルギアが特殊警察に所属してから早数ヶ月。
新たな仲間が増えたのはいいものの、ジェイクはある悩みを抱えていた。
「俺は必ずや、お前を倒す!!」
そう宣言されてからルギアは何かと理由を付けてジェイクに付きまとっていた。
トレーニングは勿論、食事に睡眠時まで、ルギアは常にジェイクに纏わりついていた。
今もなお、歩く方向が一緒だからと言う理由でジェイクに纏わりついていた。
「なあ、ルギア......、いつになったら解放してくれるんだ?」
「言ったはずだ。
俺はお前を倒すと誓った。
その為にはお前の行動を把握しておく必要がある。
何が何でも離れたりはしない。」
「はあ......。」
「そもそも、俺が特殊警察に所属したのもお前をよく知る為だ。
それに......」
「おい、ルギア。
通信が入ってるぞ?」
見るとルギアのブレスに通信が入っていた。
「何の用だ?」
通信の相手はデニーだった。
「ルギア。
お前専用の強化アイテムが完成した。
開発室まで来てくれ。」
「強化アイテムだと!?」
すぐさまルギアは通信を切り、開発室に向かった。
一人残されたジェイクは
「やれやれ、やっと解放されたか......。」
と、安堵の溜息をついた。
「ルギア、これがお前の強化アタッチメントだ。
これをブレスに装着させて起動させるんだ。
そうすればお前のギアアーマーの性能は五倍にもアップする。」
「了解。
礼を言うぞ。」
「......随分嬉しそうだな。」
デニーが笑う。
ルギアは宝石でも見つめるかのように、その強化アタッチメントを眺めていた。
「これがあれば、ジェイクに勝てる!!」
すぐさまルギアはジェイクの元へ走って行った。
「おい!ルギア!
それはいざと言う時のアイテムで......」
デニーが呼び止めるが、聞こえていなかった。
「ジェイク!!」
ジェイクはバイクに乗り、パトロールに出発する所だった。
「またかよ......。」
「お前に勝負を挑む!」
「はあ?」
「問答無用だ!」
ジェイクは首を横に振ると、
「バーカ。
暇ならお前もパトロール付き合え。」
と、ジェイクは出動した。
「ま、待て!!」
ルギアもバイクに乗り、ジェイクの後を追った。
「よし、特に異常はなし。
平和で何よりだ。」
と、ジェイクは伸びをする。
「ふむ。
平和とはこんなにも気持ちいいものなのだな。」
「だろう?
お前も勝負ばっか言ってないで平和を満喫しろ。」
「しまった!
忘れていた!!
ジェイク、俺と決着を......!」
その時、突如付近で爆発音が響いた。
「!?」
見ると、三機のメカロイドが街を壊し、暴れまわっていた。
人々の悲鳴が聞こえる。
「ルギア行くぞ!!」
「うむ!」
「早く!
みんな、逃げろ!!」
ジェイクとルギアは人々に避難を呼びかけた。
メカロイドはレーザーを放ち、ビルを破壊した。
瓦礫の破片が空から降ってくる。
「危ない!!」
ルギアはすかさず、瓦礫の下敷きになりそうだった男の子を助けた。
「大丈夫か!?」
「う、うん!
ありがとう!」
「ルギア、無事か!?」
「これくらい何ともない!」
「よし、行くぞ!」
2人はブレスを起動させ、変身した。
ジェイクはデルタガンを放つ。
しかし、メカロイドの装甲にはビクともしなかった。
そのまま、攻撃を喰らうジェイク。
「ふん!」
ギアセイバーで斬りつけるルギア。
しかし、それも弾き返される。
「く......!
手強いな。」
「ルギア!
お前には強化アタッチメントがあるだろ!
それを使え!」
「そうだったな、使わせてもらおう!!」
ルギアはアタッチメントをブレスに装着させた。
「チェンジ!ダークニッション!!」
再び、ブレスを起動させる。
次の瞬間、ルギアはハイパーギアアーマーを装着した。
「参る!!」
新たな武器、メシアセイバー、メシアブラスターを持ち、立ち向かう。
セイバーでメカロイドを一刀両断する。
そして、ブラスターをメカロイドに向けて、連射する。
爆発音をあげる二体のメカロイド。
「これがルギアの新たな力......!!」
すると、爆発したメカロイドの破片が残りのメカロイドに吸収されていく。
メカロイドは更に強化された。
レーザー砲から巨大なレーザーが放たれる。
両手でガードするが、あまりの威力に吹き飛ばされる。
「ルギア!!」
「くっ......!!」
メカロイドがトドメを刺そうと向かってくる。
その時、
「頑張れ!!」
と、声が聞こえた。
見るとさっきの男の子がルギアに向けて声援を送っていた。
「頑張れ!
お兄ちゃん!!
負けるなー!!」
それを聞いたルギアは
「力が湧いてくる......!!
そうだ、俺にだって守るべきものがあるはずだ......!
この国の平和は誰にも壊させん!!」
そしてルギアは
「ジェイク!
俺もお前の言う人々の笑顔のために戦おう!!」
そしてルギアは立ち上がった。
「怒りの裁きを受けるがいい......!!」
ルギアは片足にパワーを溜める。
そして、メカロイドに向けて走り出し、勢いよく飛び上がった。
「パニッシュメントフィニッシュ!!」
そして強烈なキックを喰らわせた。
大きな爆発音があがった。
「やったな、ルギア。」
「ふん。
少々、無茶をしてしまったようだな。」
と、壊れたアタッチメントを見ながらルギアは言った。
「デニーに言って直して貰えばいいさ。」
すると、さっきの男の子がルギアに向かってきた。
「お兄ちゃん!!」
「どうした?」
「皆んなを助けてくれて、ありがとう!!」
と、ルギアに向けて笑顔を向けた。
ルギアは優しく微笑み、男の子の頭を撫でた。
「お前にも守りたいものが見つかったんだな。」
本部に帰還する途中、ジェイクが口を開いた。
「ああ。
俺もこの命をかけて、みんなの笑顔を守ってみせる!!」
「ふう、良かったぜ。
これで俺もお前から解放される。」
安堵の表情を浮かべるジェイク。
「......何を言っている?
いずれお前との決着も付けさせてもらうぞ!」
「は?」
「今日からはより一層、お前に付き、お前の動きを研究させてもらおう。」
「より一層って......。」
「今まで通りの食事は勿論。
トイレ、お風呂、睡眠......。」
「ストーカーじゃえねかあ!!」
そして、ルギアはジェイクのパンチをもろに受けた。
この気の合う(?)コンビはこらからも人々の笑顔のため、戦い続けていく。
完