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プラモ・フィギュア・ガール  作者: ひろやん
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パーツA-1 美少女プラモから装備をはぎ取ろうとしたら動き出して抵抗された

 20XX年、日本であるプラモデルシリーズが流行していた。PF(プラモ・フィギュア)ガールと呼ばれるこのシリーズは従来のプラモと同じ値段でありながらほぼ人間と同じ可動領域を持つ女性型のプラモはモデラーだけではなく多くの人々を魅了していた。


 そんなPF(プラモ・フィギュア)ガールブームの中、モデラーでありながらPF(プラモ・フィギュア)ガールに興味をもたずロボットプラモを作り続ける少年がいた。


 プラモデルをメインに扱うホビーショップ千手の息子で名前を千手巧せんじゅ たくみという。この物語は彼が本来組み立てるはずが無いPF(プラモ・フィギュア)ガールを組み立てる所から始まる。



 タケトは高校に入ったばかりの15歳の少年だ。父親がプラモ好きで小さい時は一緒にプラモを作ったりしていた。10歳の時から一人でプラモを組み立てるようになり、プラモ絡みの事件に巻き込まれた事も有ったけれどもプラモ好きは変わらず年々技術を上げて行った。


 一言にプラモと言ってもジャンルは幅広い。その中でもキャラクターモデル、さらに細かく分けるとロボットのプラモをタクミは好んでいた。自らお金を出してPF(プラモ・フィギュア)ガールを購入しようとは思っていなかった。


「タクミ、PF(プラモ・フィギュア)ガールを作ってみる気はないか?」

PF(プラモ・フィギュア)ガールを?」


 ある日学校から帰って店番に出ると父親からPF(プラモ・フィギュア)ガールのキットを渡された。


PF(プラモ・フィギュア)ガールを販売しているTRC(トアール社)の株主優待で送られてきたのだが、父さん今お城作りで忙しいから」


 タクミの父親はジャンルを問わず様々なプラモを作っていて今はお城にはまっていた。


PF(プラモ・フィギュア)ガールもキャラクターモデルだろ。一度は組み立ててみた方がいい。PF(プラモ・フィギュア)ガール素体の特殊な構造はプラモ作りのいい勉強になる」


 そう言われると要らないと返す事は出来なかった。幸い今作りかけのプラモは無かったし渡されたPF(プラモ・フィギュア)ガールキット『PFG-19 メタル・エンジェル』はゴツイ武装パーツが付いていた。一通り組み立てたら武装パーツをオリジナルロボの改造パーツにしてもいいかととタクミは考え部屋に持ち帰ったのだった。


 それから数日後、タクミは休みを使ってメタル・エンジュルを完成させた。塗装や接着をすると乾燥の為にもっと時間がかかるのだがタケトは素組派なので1日で完成させることが出来た。もっともパーツの1つ1つを丁寧に切り取りゲート後の処理やパーティングライン(注1)を削り丁寧にヤスリがけを行ったので手を抜いた訳ではない。


「後はスタンドに飾って終わりと。それにしてもこの構造、途中でボディの中に組み込んだあのパーツ…」


 タクミはそれだけつぶやくと完成した『メタル・エンジェル』を戸棚に飾るのだった。そして翌日学校から帰ると飾ってあった『メタル・エンジェル』をプラモ制作部屋の作業机の上に置いた。


「さてバラすか」


 一通り完成させて満足したタクミは『メタル・エンジェル』の武装パーツをオリジナルロボの改造パーツにしようと『メタル・エンジェル』から外そうとした。『メタル・エンジェル』のキット内容はボディと頭、武装済みの手足と翼が付いたバックパックに胸と腰のアーマー、武器は大きな盾とバズーカ砲、接近戦用のビームサーベルになる。


 タクミが『メタル・エンジェル』に手を伸ばすと突然『メタル・エンジェル』が動き出してタクミの指を弾いた。


「やめて!私の武装を奪わないでください!」

「…」


 とつぜん動き出した『メタル・エンジェル』にタクミは一瞬驚いたものの無言で『メタル・エンジェル』に手を伸ばしスタンドから『メタル・エンジェル』を外した。そして背中からバックパックを取り、手足を外して胸と腰のアーマーを外した。『メタル・エンジェル』はやめてと叫ぶものの作り主であるタクミを傷つける事は出来ないのか暴れる事はしなかった。


 タクミは手足を取られた『メタル・エンジェル』をスタンドに取り付けた。それから机の上に置いてあった箱を開け、武装していないPF(プラモ・フィギュア)ガール用の手足を取り付け、胸と腰のパーツも取り付けた。


「えーと」

「いくらプラモでも手足をとった状態で放置だなんて可哀想な事をする訳ないだろ。君を組み立てた後別売りの改造パーツを買って組み立てておいたんだ」

「そうなんですか」


 『メタル・エンジェル』は自分の体をペタペタを触りながら自分の体を調べた。そして胸の部分を触り大きさを確認するとタケトの方を見た。


「胸は大きいほうが好みなんですね。エッチ」

「それしか『メタル・エンジェル』ボディの色に合うパーツが売っていなかったんだよ。そう言う事を言うなら貧乳サイズに交換するぞ」

「ごめんなさい、許してください」


 背中をスタンドに固定されているので頭だけ下げて『メタル・エンジェル』は謝った。


「所でいい加減降ろして欲しいのですけど」


 スタンドに固定されて足が付かず吊るされた状態の『メタル・エンジェル』は降ろして欲しいとタクミに頼んだ。


「今降ろすとはぎ取った武装パーツを取り返そうとするだろ。今度ドール服を手に入れておしゃれさせてあげるから武装パーツは諦めなさい」

「え、本当ですか」


 タクミがそう言うと『メタル・エンジェル』は一瞬嬉しそうな顔をしたがすぐにタクミに突っかかって来た。


「私も女の子なので女の子らしい体にしてもらって嬉しいですしお洋服も欲しいです。でも私はPF(プラモ・フィギュア)ガールです。戦う事は私の存在価値です」

「いや、君はプラモデルだろ。組み立てて飾って組み換え改造が本分だろ。それに戦うって誰と戦うんだ?」

「それは私が説明しよう」

「あ、親父。狙ってきたな」


 『メタル・エンジェル』との会話の途中に割って入って来た父親に対してタクミは突っ込みを入れた。


「ああ、狙ってやった。そんな事よりも説明だ!」


 テンションが高い父親に対してタクミは呆れるのだった。



 

注1 金型を2枚を合わせ樹脂を流し込んだ時、樹脂が金型の隙間やずれ目に入り込んで出来る線状のでっぱりの事。

 プラモデルの美少女フィギュアの種類が色々と増えてきたので書いてみました。

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