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身近であるのに届かない
幼い頃、僕の記憶の中には一人の少女がいた。
とても面倒見良い少女でいつも僕の手を握り、僕を外の世界につれていってくれた。
彼女はとても綺麗な顔立ちをしており、目はキリッと一重なのだがどこか柔らかい雰囲気をしていた。
僕は彼女の横顔が好きで、いつもチラチラと彼女の顔を見ては赤面をしていた。
そんな僕に彼女はいつも決まってフフフッと笑い
「何赤くなってるのー??トマトみたいでかわいいね」と言ってくれた。
僕はそんな彼女とのやり取りが好きでこの時間が永遠に過ぎないでいてくれれば良いといつも思っていた。
だがそんなやり取りも永遠には続かない。
距離数にして約900キロ、僕と彼女は別の県に住み年に一回、約一週間しか会うことでしか接点が持てなかった。
僕と彼女の関係は従兄弟同士であった。