わたしとお姉ちゃんの愛の語らいを邪魔する奴は死にました
「すいませんその粗大ごみ重くて、動かすのが面倒くさ……いえ、むしろ触りたくなかったのでそのまま転がしておいたのですが……。やはり通行の邪魔になりますし、ご近所さんから変な目で見られるのも困りますね」
『じゃあとりあえず外から見えないところに置いて……、っていない!?』
「な、なんですった!?」
あわてて玄関の外まで行くと、さっきまで転がしておいたヤツが影も形も――。あ、ちり紙交換のトラックに載せられてます。
よかった、これで安心です。後は業者の人がしっかり処理してくれることを祈りましょう。
「……絵梨、とりあえず解決したみたいなので中はいります?」
ちょいちょいと家のほうを指差して誘います。
「あ、うん、お邪魔するよ。そうだ! ごめんね、なんかウチのアホ兄貴が『はるかに彼女できた』とか言いまわってたみたいで……」
「あいつでしたか、ちょっとブチ殺してきますんで中に入って待っててください」
「あ、それならいいものあるよ、はい」
てれてれってれ~、と絵梨がかばんから取り出したのはスタンガンです。
ちなみにさっき使ったスタンガンやスプレーも彼女からもらったものです。
「これ、米国の警察とかも制式採用してるヤツで信頼性は折り紙つき。威力も市販のものより上がっているらしいよ。まだ使った事無いからわかんないけど」
ほほう、これは素晴らしい。やはり持つべきは友達ですね。
「ほのかー、誰か来たのー? あ、絵梨ちゃんだー。こんにちわー、ん? こんばんはかな?」
少し、玄関を開けて顔を覗かせるお姉ちゃん。かわいいです。
えっ、と口を押さえて固まってる絵梨。どうやらお姉ちゃんのかわいさに見とれているようです。
……違うか、とりあえず説明しなくてはいけませんね。
「とりあえず家の中に入りましょうか」
「あ、うん」
と、困惑顔のままうなずく絵梨をうながし、
「ほら、お姉ちゃんも」
まだ、あいさつはどちらがいいか悩んでいるお姉ちゃんを押して、家の中に入りました。
「もう、ほのかってば、押さないでよ~」とかわいい声で言うものだからずっとやっていたくなりますが、ここはグッと我慢の子です。
後から絵梨も「おじゃましまーす」と続いて中に入ったらしっかり玄関を施錠しておきます。
最近は物騒ですし、しっかり戸締りしないとか弱い女の子しか居ませんからね。
「さっき亮の声が聞こえた気がするんだけど……」
お姉ちゃんがそういえばとくるんと一回転してわたしのほうに向き直り、ちょこんと小首をかしげながら言うお姉ちゃんは天使! かわええ! まじえんじぇー!!
「き、気のせいじゃなですか? わたし来たときほのか以外に人は見当たりませんでしたし」
お、さすが。わたしがお姉ちゃんに見とれている間に絵梨がフォローしてくれたようです。いい友人です。
「そっかー。気のせいだったのかなあ」
ショボーンとしてしまうお姉ちゃん。
うっと声を漏らして罪悪感を感じてる絵梨。
そしてお姉ちゃんをみてうへへっと多分顔がニヤけてるわたし。
三者三様とはまさにこのことなんでしょうか。