わたしとお姉ちゃんの愛の語らいを邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえ2
ルンルン気分でお姉ちゃんのところに帰ると、エプロンを着けてキッチンに立っていました。
あー、残念……。
もう少し寝起きのお姉ちゃんを抱きしめていたかったのですが、エプロン姿もかわいいので良しとしましょう。
さて、わたしもなにかお手伝いしますか。
その前に、お姉ちゃんの髪の毛を作業するのに邪魔にならないように縛ってあげましょうか。
「あ、ほのか」
「お姉ちゃん、チョットの間動かないでね」
「うん、ところでさっきの誰だったの?」
「……見に行ったら誰も居なかったから、いたずらかなあ、と」
「ふうん」
話しながらわたしはお姉ちゃんの髪の毛を手櫛で整え、腕につけていたヘアバンドでポニーテールにしていきます。
しかしお姉ちゃんの髪の毛はシルクみたいにサラサラで枝毛もなくてずっと触っていたくなっちゃう気持ちをどうにか抑えました。
「はい、動いても大丈夫だよ。ところでお姉ちゃんはなに作ろうとしてたの?」
「う~ん、特に決めてたわけじゃないんだけどお昼食べてないからお腹すいてるし、パパッと作れるものがいいかなあ」
そのときタイミングよく(悪く?)お姉ちゃんのお腹がクゥ~と鳴っりました。
赤くなってお腹をおさえるお姉ちゃん、かわゆすなあ。
「……聞いた?」
「うん、かわいかったよっ!」
いけないいけない、あまりのかわいさに声が大きくなってしまいました。
しかしこれは仕方ないと思うのですよ。だってかわいいだもん。
お姉ちゃんは耳まで真っ赤でそれもかわいいですが、さすがにわたしも空気をよんでそのことに関しては触れないでおきました。
そんな時再びチャイムを連打で押すクズが現れました
「わわっ! なになになに?」
驚くお姉ちゃんもかわいいですが今はチャイムを黙らせることが先決です。
「わたし見てくるね、またいたずらかもしれないけど」
小走りで玄関に向かい、チェーンロックをはずし、勢い良くドアを開けてやりました。
「うお、あぶねえ。だが甘かったな、同じ手を二度もくらうかよ」
チィッ、どうやらさっきの一撃で倒せませんでしたか。
これだから最近の害虫は困るんですよね。
数学の公式や、歴史上の偉人たちの名前は覚えられないくせに余計なことは学習するんですから。
「なんですか? 鼻にティッシュなんてつめて、変態ですか? 気持ち悪いですね、とっととわたしの視界から消えてくれませんか」
「お前がさっき急にドア開けるから鼻ぶつけて鼻血が出たんだよ! 勝手に変態扱いすんな」
この変態男の名前は矢吹亮。
お兄ちゃんもといいお姉ちゃんのお友達ですがわたしは認めませんよ、こんなケダモノなんて。
「ほのかー、誰か来たの?」
そんなときタイミング悪くお姉ちゃんがリビングから出てきてしまった。
「お姉ちゃん! 来ちゃだめ! こんな奴に近づいたら妊娠させらちゃう!」
「ええっ! に、妊娠!?」
「しねーよ!!」
とりあえずこの隙に扉を閉めてチェーンロックをしっかりかけておきます。
ふう、とりあえずこれで一安心です。