第三話 間男
はあ・・・やっと朝が来たか・・
昨日は大変だった・・・
嘉織がいつも以上にテンションが高かった!
俺をその男に見立て、何度もキスされた・・・
数えてはないが・・多分百回以上はされた・・・・
女に犯された気分だ・・・
羨ましいだろ!
嘉織は朝からずっと服を選んでいる・・・・
大丈夫!嘉織は何を着ても似合うさ・・・
【嘉織】「ジョーちゃあん!」
嘉織が俺を抱き上げた!
この展開は!
【嘉織】「チュ~!」
【ジョー】「うわあああ!もうやめてええ!」
俺はまたキスされた!
これで多分百一回・・・
嘉織がいつものお出掛け様のピンクのバカでっかいリュックサックを持って来た・・・
【嘉織】「ジョーちゃん、お出掛けだよお~」
嘉織は俺をリュックサックの中に入れ顔だけ外に出した!
俺はいつも思うが、若い女の子が町中をでっかいピンクのリュックサックを背負って、熊のぬいぐるみの顔だけ出して歩く姿はけしてまともでは無いと思うが、嘉織は周りの反応なんて全然気にならない様だ!
俺は嘉織に背負われた!
ガチャ・・・・・バタン!
ガチャガチャ・・・・
良かった・・ちゃんと鍵を掛けたか・・・
嘉織は10回のうち8回は鍵を掛けないからな・・・
いつもひやひやもんだ!
だが、お出掛けは楽しい!
今日は目の前の押し入れも見なくていい!
耳障りな時計の音もしない!
フリーダムだ!
【ジョー】「俺はくま、くま、くま、くま~、ハードボイルド、くま~♪」
今日も喉の調子が絶好調だ!
嘉織が喫茶店に入った!
カランカラン・・・・
【店員】「いらっしゃい!・・ませ・・・」
店員が嘉織の姿を見てビックリしている・・・
【店員】「1名様でございますね・・」
【嘉織】「違います!2名ですよお」
【店員】「あ、2名様でございますね・・・どうぞこちらです・・・・」
店員が動揺している・・・
あの店員裏に行ったらで笑い転げるだろうな・・・
【店員】「こちらの席でよろしいですか?」
【嘉織】「いいですよお、あ!後でもう一人来ますからねえ」
【店員】「かしこまりました・・」
案の定店員は裏に凄い速さで消えて行った!
【嘉織】「あの店員の人失礼だよねえ!ジョーちゃんを数に入れないなんてえ」
失礼なのは嘉織の方だと思うが・・・
カランカラン・・・
その時、喫茶店のドアが開いて若い男が入って来た!
その男は誰かを捜していたが嘉織を見つけると真っ直ぐこっちに向かって来た!
あいつか!
嘉織も気付いて手を振っている!
【男】「やあ、遅くなってごめんね!」
【嘉織】「大丈夫!嘉織も今来たばかり何だよお」
男は俺達の向かいに座った!
【店員】「ご注文は?」
【男】「あ、僕はアイスティー、嘉織ちゃんは?」
【嘉織】「じゃあね・・・私はジャンボチョコレートパフェにしよお!」
【男】「じゃあ・・それで」
【店員】「かしこまりました・・」
店員は行ってしまった・・
男は俺の方をチラチラ見てきやがる!
俺も負けじとガン付けた!
【男】「あの、ちょっと聞いていいかな?」
【嘉織】「ん、なあに?」
【男】「それ、熊のぬいぐるみだよね・・」
【嘉織】「熊のぬいぐるみじゃないよ!ジョーちゃんだもん!」
男は困っている様だ・・・
【男】「じゃ、そのジョーちゃんはいつも連れて歩いているの?」
【嘉織】「そうだよお!ジョーちゃんと嘉織はいっつも一緒なの、ね~!」
【ジョー】「ね~!」
店員がアイスティーと、ジャンボチョコレートパフェを持ってきた!
さすがジャンボ!まるで花瓶に入ってるみたいだ・・・
【男】「それ・・一人で食べられるの?」
【嘉織】「大丈夫だよ!ジョーちゃんがいるもん」
【男】「へ・・・そうなんだ」
男があきらかにひいているのが分かる!
【男】「嘉織ちゃん!僕嘉織ちゃんの事が本当に好きなんだ!」
男が真剣な顔で言ってきた!
【嘉織】「へ?本当なのお・・」
【男】「僕は本気だ!僕と付き合ってほしい!」
俺は男に恨みの念を送っていた!
【ジョー】「この間男が~!呪ってやる~!死ね~!死ね~!死ね~!」
【嘉織】「少し考えさせてもらってもいいですかあ・・」
【男】「えっ?・・・勿論だよ!ごめんね急にこんな」
ふははははは!思い通りにいかなかった様だな~!
【嘉織】「でも、嬉しいですう・・」
嘉織が赤くなっている!
【ジョー】「なんじゃこりゃああ!」
俺は真っ白に燃え尽きた・・
グッタリとした俺をリュックサックの中にしまうと嘉織は男と別れて帰って行った・・・