第二話 配置替え
今日も俺は部屋の中を監視している!
【ジョー】「押し入れ異常なし!」
しかも今日の朝俺の配置替えがあった!
俺の場所はテレビの上からベッドの横にある小ダンスの上になったのだ。
ここは薄型テレビの上と違って尻が落ちそうになる事はないのでいい場所だ。
1つ欠点を言えば前は部屋の角に位置していたが、今は部屋の壁がわに位置しているので、俺の視界は目の前の押し入れしか見えない事くらいだろう・・
左を見ると僅かに外が見える!
右を見ると流しが僅かに見える!
首が回転出来れば言う事は無いんだが・・・諦めよう・・
俺の目線は昨日より少し高い!
俺の隣に置いてある時計の音が耳障りでたまに怒鳴っている!
カチ、カチ、カチ、カチ、
【ジョー】「ええい!うるさい!!!」
と、言う感じだ・・・・
監視の他は何もする事が無い・・
ただ目の前の押し入れを見詰めるのみ・・・・
そうだ、みんなに説明しておこう!
俺は嘉織に作られた熊のぬいぐるみだ!
嘉織がまだ16才の時俺は何となく作られた。
昔住んでた家はこんな小さな部屋じゃなかった・・・
嘉織の家は世に言う金持ちで家がとても広かった・・・
嘉織はお嬢なのだ!
そして俺は嘉織の彼氏・・・
羨ましいだろ!
その時はまだ俺は意識を持たないただの熊のぬいぐるみだった・・・
俺が意識を持ったのは、一年前・・・
あれは嘉織に彼氏が出来てその彼氏とかけおちの様な事をして家を出た時だ!
この部屋で彼氏と暮らしていたんだが・・・その彼氏がある日突然他に女を作って出ていった!
【ジョー】「あああ!ムカつく!」
すまない、話を続けよう・・・
彼氏を失った嘉織は俺に出て行った彼氏の名前をつけ、俺をまるで彼氏の様に扱った!
それが切っ掛けで俺、如月ジョーが誕生したのだ!
嘉織はジョーちゃんと呼んで来るが俺はハードボイルドだ!
如月という名字を自分で考えた!
如月ジョーだ!
カチ、カチ、カチ、カチ、
【ジョー】「ええい!うるさい!!!」
おっとすまない、この時計、隣に置いてあるもんで俺の耳にはまるで金だらいをバチでガンガン叩いてる音と同じくらいうるさいんだ!
ガチャ・・・・バタン!
【嘉織】「ただいまあ!」
お?嘉織、今日はかなり機嫌がいいな・・・何故だ?
嘉織は俺の前のベッドに飛び込んだ!
そして・・・クロール・・・何があったんだ!
【嘉織】「きゃああ!夢だけど、夢じゃなかったああ~!」
訳の分からない言葉まで喋りだした・・・
【ジョー】「うわあっ!」
嘉織が急に俺を抱き締めて来た!
【嘉織】「今日はねえ、格好いい男の人に声掛けられたんだよおお!」
【ジョー】「なっ何だと!」
【嘉織】「前から気になってました!僕と付き合ってください!・・・だってえええへへへへ!」
嘉織・・・舞い上がり過ぎだろ・・・
【嘉織】「明日その人とデートするの!」
【ジョー】「何て事だ・・」
【嘉織】「勿論ジョーちゃんも一緒だよお!」
嘉織は気付いていない・・・
初デートで俺なんかを連れて行ったら、どんな男でもひいてしまうだろう・・
嘉織は今夜はずっとデレデレしていた・・・・