表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1、バラと出会い


 


『俺と付き合ってください。君に恋してるんだ』



時が止まるというのはこのことだろう…


私と彼の恋はここから始まった。




――――――――



昔から、花が好きだった。花を見ていると、自分も幸せになれるから。

両親を小さい頃に亡くした私は、施設で育った。

小さい頃は、大人しくて友達がいなかった。いてくれたのは花だけ。

だから将来は花を育てて花に囲まれてきれいな庭に住みたいと思っていた。

施設を出ると独り暮らしを始めた。

大学にも行ける歳だったけど、今は、町外れにあるこの大塚フラワーショップで働いている。

ここの、店長はとてもいい人でまだ、19歳な私に良くしてくれる。


さぁ、今日も、いい天気だと開店準備をと花を外に出していると。

町外れのフラワーショップには似合わない黒塗りで高級そうな車が店の前に止まった。


(こんな町外れに何のようかな?)


不思議にその車を見ていると車の運転席のドアが開いて黒いスーツを着た1人の男が降りてきて車を回って反対側の後部座席のドアを開けた。

すると、1人の金髪のイケメンさんが赤い薔薇を抱えて降りてきてきた。

キラキラと太陽が当たって綺麗にそのイケメンさんかかる。


(なんで、フラワーショップに薔薇…?)


と疑問を持っていると。

そのイケメンさんが店の中に入ろうとするのであわてて、まだ開店前であると声をかけた。イケメンさんは私を見るなり少し驚いた後、急に照れた素振りをした。


「結木花…さん?」

「はい…。そうですけど?」


私の名前を読んだので返事をするとイケメンさんは笑顔になり、私の目の前に赤い薔薇の花束を差し出した。

そして、


「俺と付き合ってください。君に恋してるんだ」


―とその、こ、告白をしてきたのだ。

イケメンさんは、言ったぞと言うような達成感を出した顔をしている。が告白をされた私は、気が気ではない。


 ―いきなりこの金髪のイケメンさんはなんて言ったの!?

つ、つ付き合ってください!?


今まで生きてきた中で初めての出来事。私の頭はパニック状態。

私が、固まって返事がないことに心配をしたのか、イケメンさんは、心配そうに私の顔を覗いてきた。


「あの、大丈夫か…?」

「…えっ。あ、はい…」


ハッと気づいて、イケメンさんに返事をするとイケメンは、にこりと笑った。


「それなら、良かった」

「あ、あの。今のは何かの冗談でしようか?」

「え…」

「あの、どなたかとお間違えじゃないですか?私、初めてお会いしますよね…」


このイケメンさんとは、今日初めて会う。なので、初めて会う方にこんな風に告白される理由がわからない。丁重にお断りをしようとイケメンさんの顔を見上げる。


「…!」


見上げてイケメンさんの顔を見ると、どこか切なそうに私を見ている。

そして、持っていた薔薇を力なく下ろす。


「いや。初めてじゃない…」

「えっ?」

「―君とは前に会った事があるんだ」


イケメンさんの顔は、切なそうに見える。でも、何かを決意している目にも見えた。


「あの、それって――」

「花ちゃーん。花の準備出来た?」


店の奥から、店長が私の声を遮って店長の声が店に響く。

その声がした後に、店長が来て、私とイケメンさんを交互に見た後気まずそうな顔をした。


「えっ?花ちゃんの彼氏さん…?」

「ち、違います!誤解です!」


あらぬ誤解を招いたので、店長にあわてて誤解を解いた。

店長は、そっかとあまり納得はしてないように見えたが、もうそろそろ開店の時間。

私は、イケメンさんに再び向いた。


「あの、すみません。もう、開店の時間なので…」

「あ、あぁ。じゃあ、今日は取り敢えず帰るよ」

「はい。あの、さっきの事なんですが…」

「…また、来るよ。じゃあ」


イケメンさんは、私の言葉の途中なのに、薔薇の花束を私に渡すと、車に乗りさよならと手を振ってきた。

私は、戸惑いながら頭を下げると、イケメンさんはにっこりと笑って、車は、走っていった。


車が見えなくなった後、店の中に戻ると一旦薔薇を、枯れないよにと水の入ったバケツに入れた。

すると、にやにやとしながら店長があれこれと質問をしてきた。


「花ちゃん。さっきの人誰だったの?」

「へっ!…うーんと、実は、こ、告白されて…」

「ほほーお。告白ね!」


にやにやと店長は、私の顔を見てくる。


うー。店長め。かわいい奥さんと子供がいるくせにこう言う話にのっかかるんだから…。


返事は?どうするの?とにやにやとしてくる。

ちょっと殴ってしまいたいと思ったりしたが、ここは我慢我慢そして無視。


「丁重にお断りますよ」

「え?!なんで、凄くお金持ちぽかったよ?」


つまんなーい。と口を尖らせながらブーブー言う。

無視だ無視。と花が枯れないようにホースを持って蛇口をひねって水を花にかけた。


「そんなの、関係ありませんよ。私、今、誰かとお付き合いする気はないんで…」

「…そっか。んじゃ何も言うまいな!でも、また来るって言ってたからな…」



頑張れよ。とぽんと私の肩を叩いた。またにやにやとしている。もう、面白がってるな…。


はぁ、とタメ息をついた後ふと気づく。

そう言えばあの人、名前言っていかなかった…。


でも、前に会った事があるって、どこで会ったんだろう…。

うう、と頭の中から記憶を探るが思い出せない。


そうしていると、すみませんとお客様からの声がした。記憶を探るのはやめ、営業スマイルをしながら、お客様の元へ向かった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ