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失意の死

作者: 八戸の鯨
掲載日:2026/01/27

めちゃくちゃなのは許してね。

河野通宣は湯築城に立て籠っていた。

あぁ、負けてしまう。勝つということはすでに諦めていた。

目の前の軍勢はそれを思わせるのには十分であった。その軍勢は毛利の小早川隆景隊の軍勢。昔は豊臣と並ぶほどであった毛利。そんな大勢力にこの状態、一体誰が勝てるというのだろうか。自問自答しても答えは得られないであろう。私は城にいる領民達、子供達を救うのが役目。ちっぽけな頭で考えた末、小早川隆景と交渉した。そんな手段しかなかった。交渉は無事受け入れられた。鎌倉からの居城、湯築城から道後へと蟄居させられたあと、毛利領竹原へと移らされた。

 そして今、竹原での生活を楽しんでいる。いやぁ、竹原も悪くはない,と心から思う。あの時は城で頭ばっかり働かせ、戦ばかりに明け暮れ、領民を思ってきたが、農作業などは百姓の仕事とほとんどしなかった。しかし今となっては、蟄居の身で責任など何もない。一日読書に明け暮れようが、農作業を勤めようが、誰からも文句をいわれない。なんと幸せなのだろう。過去の栄光、名家の誇りなどもうあったなのではない。普通、人は没落と笑うだろう。しかし私にとってみれば、これが最適だったのだと気づかされた。竹原の地での百姓らとの交流、商人と瀬戸内海のことで話を弾ませたり、小早川の配下らと遊んだりいろいろだ。最早、伊予のことなど気にしていない。

 ふと冷たい水が頬を垂れた。本当にこれが最適だったのだろうか?強いていうのなら湯築城で華々しく散るべきだったのでは?伊予の地に骨を埋めるべきだったのでは?

 脳の中でも闇と無茶苦茶な打ち合いをしている途中に来客が来たようだ。私は来客を待たしている畳の間へ急ぎ向かう。毛利家の者らしい。

私は今までの人生の粗を探し、そしてそれらを憎みながら、畳の間へ急ぎ向かっている。

伊予河野家という鎌倉からの名門の最後を描いてみました。少し間違ってているかもしれないので、真実はあなたの方で調べてください。

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