表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

遥かなる、綿毛

作者: 白之 絲
掲載日:2026/01/10

強い風が吹いていました

枯れた葉を

落ちた塵を

破れた紙を巻き上げて

びゅうびゅうと


強い風に流されて

目の前を綿毛が飛んでいきました

ほんの一瞬の出来事でした


しろくちいさな綿毛

漂う間もなく川の向こうへ

どこか遠くへ飛んでいきました


冷たい風に運ばれて

綿毛はどこまで行くのでしょうか


どこかの土で芽吹くのか

どこかの海へ流れるのか

どこかの隙間に落ち着くのか


それとも

誰にも知られず

何にも辿り着かず

忘れられていくのでしょうか


そんな綿毛になりたいと思うのです

誰にも

何処にも

私など最初からいなかったように


けれどこうも思うのです

誰かに

何処かに

私を覚えていてほしいと

小さくとも確かな花を咲かせたいと


もしかしたら

私は花の種ではないかもしれません

ただひたすらに

葉を伸ばすだけの種かもしれません


私は私が何なのかを本当には知らないのです

それでも良いのです


私という綿毛が

この世界にほんの一瞬飛んでいたこと

それは確かなことのはずだから


花が咲かずとも

葉を伸ばせずとも

私は今ここにいるのです


春が恋しい寒い日でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ