15R版 据え膳食わぬは男の恥なのだから白い結婚なんて言わずに美味しくいただくべきだ。
ムーンライトノベルズ版とはまた違った作品になりました。
同じタイトルでムーンライトノベルズでもUPしています。
世間では白い結婚とやらが流行っているのだとか。
愚かなことだと思う。
据え膳食わぬは男の恥という言葉を知らないのか?
愛人はどこまでいっても愛人でしかない。
家格の差。身分の差。これが重要なのは貴族では当たり前のことだ。
トチ狂って「私には愛する人がいる!」なんて妻に言わずに家では妻を大切にして、外では愛人を大切にすればいいんだ。
そう。私のように。
「あなたはキャスリーン・ホベルトを愛し・敬い・健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し・敬い・慈しむことを誓いますか?」
「はい。誓います」
「あなたはオーベン・ガルシアを愛し・敬い・健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し・敬い・慈しむことを誓いますか?」
「はい。誓います」
「二人の結婚は今この時、神様に夫婦として認められました。互いに愛し・敬い・生涯をともにしてください」
「一週間前にそう誓い合っているのを聞いたところなのにわたしのところに来ていていいの?」
「ああ。妻は妻。君は君だ」
「そう⋯⋯。奥様を愛してもいいから、⋯⋯わたしのことを忘れないでね」
「ああ。君を愛しているよ」
「⋯⋯いいえ。わたしと居るときはわたしを愛して」
「当然だ。愛しているよ」
フェリシアはサムソン男爵家の嫡女として育てられた娘だったが、フェリシアが学生の頃に父親が事業で失敗して借金の返済の目処が立たず廃爵するしかなかった。
元々、顔とスタイルは私の好みだったのでフェリシアをなんとか手に入れたいと思っていた。
弱っていたフェリシアは簡単に私の手の中に落ちてきた。
フェリシアにとっては弱っているところに追い打ちをかけるように全ての片付けが終わった父親が亡くなり、それを追いかけるように父親の葬式が終わった途端に母親も亡くなった。
学生だったフェリシアは学園を辞めるしかなかった。
そんな時に手を差し伸べたのは学園長だった。
フェリシアの成績が上位だったこともあり、卒業までの費用を一時立て替える話を持ちかけ、卒業後少しずつ返済するという契約をした。
そのおかげでフェリシアは学園を卒業することができた。
学園を卒業できたことでフェリシアは王宮侍女見習いとして勤めることができて、学園長への返済に困ることのない収入を得ることができている。
フェリシアが務めている事もあって会えるのは週に一〜二回でそれも短時間。
ちょうど私の欲望を吐き出すと立ち去る時間になるという関係が都合が良かった。
そう。フェリシアは金銭的自立はしているのだ。
なので私は金銭的な余計な手助けはしていない。
気が向いた時だけ贅沢品でフェリシアに買えないようなお菓子を差し入れる程度にとどめている。
土産を持っていくとフェリシアは殊の外喜ぶのでつい毎回買ってしまいそうになるのを自制している。
土産一つでも当たり前になるとフェリシアの要求が大きくなるかもしれないから愛人は愛人でしかないと自覚させるようにしている。
フェリシアと男女の関係になって半年ほどするとキャスリーン・ホベルトとの婚約が成立した。
ホベルト家は侯爵家の跡を継ぐ私と同じ家格で、金銭的にも裕福な家だった。
年が五歳下ということもあって子供にしか見えなかったが、キャスリーンは笑顔の可愛い少女だった。
好む女のフェリシアとは違うけれど、結婚する頃にはキャスリーンももう少し大人びて美人になるだろうと思った。
キャスリーンと婚約したことでフェリシアを隠す必要が出てきた。
ちょうど仕事が忙しい時に屋敷に帰るのが面倒なときなどに泊まるアパートメントの隣の部屋が売りに出されたと知り、フェリシアにそこに住まないかと尋ねた。
「家賃は必要ないよ。その分生活が楽になるだろう?」
フェリシアは苦いものを飲まされたような顔をしたけれど、フェリシアを妻にすることなんてありえないのだから気付かないふりをした。
フェリシアは一週間ほど考えた後、少ない荷物を持って新しく買ったアパートメントに引っ越ししてきた。
引っ越してきたその日だけはフェリシアと二人で食事を取り、朝を迎えた。
キャスリーンと婚約してから初めてのことだった。
この頃は貴族的な付き合いのキャスリーンよりフェリシアの方を愛していた。
我儘を言わず言葉を飲み込んで浮かべる笑顔は私の中の嗜虐心を満足させる。
時間がなくて欲望を叩きつけるだけ叩きつけて意識のないフェリシアをそのままに帰ったとしても次に行くと会えて嬉しいと全身で訴えてくるのも私を満足させた。
フェリシアとキャスリーンの比重が変わったのは義務的にキャスリーンに口づけをしたときだったかもしれない。
まだ幼いと言ってもいいキャスリーンには触れるだけのキス以上のことをする気はなかったのだけれど、唇を触れ合わせて離れたときの顔を見てその気にさせられてしまった。
少女の中に女を感じさせたのだ。
思わず噛みつくような口づけを続けてしまってキャスリーンは立っていられなくなり慌てて支えた。
初い反応に古いものより新しいものに興味が移ろうのは仕方がないなと思った。
だがキャスリーンに口づけ以上のことをするわけにいかないので、キャスリーンと別れた後フェリシアの部屋で欲望を二度も吐き出した。
フェリシアを抱くと好みに仕上げられた熟れた体も悪くないと思ってしまうのでキャスリーンを手放せないなと改めて思った。
フェリシアとは最初の性交以外は避妊薬とコンドームを併用している。
避妊薬は飲み続けると妊娠できなくなる可能性が高くなるのだが、飲むと絶対に妊娠しないというものなのでフェリシアを説得して欲望を吐き出す前にかならず服用させている。
飲み忘れたり、飲んだふりをされると困るので薬と水を私が含んでフェリシアに口付けて薬を飲み込むまで口づけを続けている。
そんなことはないとは思っているが人間、魔が差すこともある。
フェリシアが寂しさや心の隙間に付け込まれて私以外の欲望を受け入れることがあるかもしれない。
そんな事があると病気を伝染されることがあるかもしれないので、初めての時以外は必ずコンドームを着けている。
避妊薬とコンドームだけは何があっても使用することを決めている。
そして平民になってしまったフェリシアとは結婚できないこと、立場をわきまえないと会えなくなってしまうとフェリシアの自己肯定感を下げるように囁き続けた。
フェリシアは元々父親の事業の失敗で自分に価値を見いだせなくっていたところにオーベンに自己肯定感を下げられるように言い聞かせられ続けてオーベンがいなくなると生きていけなくなると思い込むようになっていった。
今日もキャスリーンに口付けて我慢できなくなった欲望をフェリシアの中に吐き出すだけ吐き出して身支度を整える。
そういえばフェリシアとお茶の一杯すら飲まなくなったな。と考えたが、ベッドに臥せっているフェリシアとお茶を飲む気にはなれなかった。
「結婚の日程が決まった」と伝えると肩を震わせていたが抱きしめてやることもなく「またくる」と伝えて部屋の扉を閉めた。
その日からフェリシアは少しずつ痩せていった。
会う度に優しくしてやらなければと思うのだけれど心はキャスリーンに囚われている。
してやれるのは精々お菓子の土産を差し入れる程度だった。
結婚式が終わってキャスリーンの身も心も手に入れられたと満足したらフェリシアのことを思い出したのは結婚から一週間経った頃だった。
今ならフェリシアにも優しくしてやれるだろう。そう思いたちフェリシアの部屋の扉の前に立った。
フェリシアは花がほころぶような笑顔を浮かべてドアが閉まると嬉しそうな顔をして抱きついてきた。
「お帰りなさい」
「ああ」
キャスリーンを丁寧に扱っている反動なのかフェリシアには私の欲望をそのままぶつける激しいものになった。
久しぶりにフェリシアに後戯までサービスしてやって腕の中に抱いているとキャスリーンの話になった。
「ああ。妻は妻。君は君だ」
そうフェリシアに伝えた。
妻は妻。愛人はどこまでいっても愛人でしかないのだ。
愛し合えない夫婦が多い中、私とキャスリーンは愛し合っているといってもいいだろう。
未熟な体に私を覚えさせるのもまた楽しい。
キャスリーンを抱いたことでフェリシアとの違いがよく解った。
まだ青くて硬い林檎なキャスリーン。一生をかけて大切に育てなければならない。
真っ赤に熟れて枝から落ちそうになっているのがフェリシア。下手な手を入れると枝から落ちて腐ってしまう。上手に扱えばまだまだ楽しめる。
実が落ちてしまった時が別れの時なのだろう。
実が落ちるまでにはまだ時間はあるだろう。
「お帰りなさい」
そう迎え入れてくれるのはキャスリーン。
「ただいま。今日は何をしていたんだい?」
「ガルシア夫人としてのお勉強を頑張っていたわ。後お茶会のお誘いが多くて選別するだけでも大変だわ。後で見てくれるかしら?」
「よろこんで」
「オーベンにとって必要な方からのお誘いがあるかもしれないから」
「先に風呂に入っても?」
「ええ。でてくる頃には食事の用意が整っているわ」
フェリシアの痕跡はないと思うが身奇麗にする。
そういえばフェリシアを正常位で抱くことがなくなったなと思った。
間違って肌を傷つけられたりしたらごまかしようがなくなるからな。仕方ないことだ。
シャワーを浴びたことでフェリシアをも洗い流して妻を愛する夫になる。
キャスリーンに「暫くの間、子供が出来ないように気をつけないか?」と告げた。
「どうして? 子供はいらないの?」
どこか不安そうな顔するキャスリーンの頭に小さな口付けを落とす。
「いや。子供は欲しいと思っているがこうして二人だけの時間を楽しみたいなって思ったんだ。妊娠するとSEXを楽しめなくなるだろう?」
赤い顔をして「そうね」と言って私の胸に唇を落とした。
結婚前は二〜三日に一度訪れていたフェリシアの部屋に行くのは四〜五日に一度になり、今は週に一度になっている。
フェリシアの手首には縛られた痕が赤黒く残っている。
最近は面倒になって後ろ手にフェリシアの手を縛って私の腹の上に乗せている。
後ろ手に縛るのは縛られている姿にそそられるとフェリシアには伝えているが、肌に爪を立てられるのを防ぐためだ。
初めて縛った時は確かに興奮したが紐をほどくと赤く血が滲んでいて驚いた。
一気に興ざめしてしまった。
タオルを巻いて縛るといいのではないかとフェリシアが言うので二度目からはそうしているが、血は滲みはしないけれど薄っすらと跡が残ってしまう。
だんだんフェリシアとの情事が面倒になってきた。
足が遠のく。
キャスリーンでは出来ないことをフェリシアで楽しんでいたはずが、今ではもうキャスリーンで楽しめる。
キャスリーンは昼と夜のギャップがあって興奮させられてしまう。
嫌がるかな? と思うようなこともキャスリーンは楽しんで受け入れてくれる。
フェリシアのほうが楽しめていないことが解ってしまう。嫌がっていると知られたらもう来てくれないかもしれないというのが全身から滲み出ているのだ。
フェリシアを訪ねるのが二週間に一度になり、一ヶ月に一度、二ヶ月に一度になり、キャスリーンが妊娠したので欲望を吐き出すために訪れたのは三ヶ月以上間が空いていた。
「もう来てくれないのかと思った!!」
顔を覆って泣いているフェリシアを宥めるのも面倒ですぐに避妊薬を飲ませて欲望を吐き出した。
部屋の扉を閉める瞬間「また来てくれる?」と聞こえたが、聞こえないふりで扉を閉めた。
キャスリーンを抱けない代わりにフェリシアを抱く。
遠のいていたフェリシアの部屋への訪問が増えた。
また来てほしいとか甘えられたりすると暫く足が遠のく。
それに気がついたのかフェリシアは余計なことは何も言わず避妊薬を飲みスカートをたくし上げる。
私はそれに満足して吐き出すと背を向けて立ち去ることがキャスリーンの出産まで続いた。
医師からの許可を得てキャスリーンの裸体を堪能する。
子供を産んだ体は妊娠前とは違うが、その違いを楽しめた。
フェリシアの下を訪れなくなった。
キャスリーンが妊娠してフェリシアの下に通い、出産するとフェリシアのことを忘れる。
そしてキャスリーンが四人目の子を出産してもう子供は作らないと決めた。
それは絶対に作らないということではなく、作らないように気をつけるというもので、キャスリーンに避妊薬を飲ませるような非道なことはしない。
キャスリーンが二人目の子を妊娠した時、フェリシアが口にした。
「わたしね、避妊薬を飲みすぎてもう妊娠できないんだって」
「そう、か」
そう聞かされても何も思わなかった。
これから先もフェリシアには避妊薬を飲み続けてもらわなければならないし、コンドームを付けることも止められない。
少し痛ましい顔をして見せて扉を閉めてそれで終わりだった。
キャスリーンと子供を作らないと話し合って、フェリシアに尋ねた。
「私と別れたいか?」
フェリシアは真っ青な顔色になって勢いよく首を横に振る。
「今ならまだ結婚相手を見つけることもできるだろう?」
涙がボロボロと零れている。
「すてないで⋯⋯」
「いつここに来るか解らないぞ」
「それでもいいの。ここで待たせて!!」
「君から私に連絡を取ることは許さないぞ。当然我が家に関わることも絶対に許さない」
人とはここまで絶望できるのかと思える表情をしているのにフェリシアは「ここで大人しく待っているわ」と私に告げた。
それから二年一度もフェリシアの下を訪ねていないがフェリシアはあのアパートメントで私を待ち続けている。
いい加減アパートメントを処分したくてフェリシアの動向を探らせていた男に下げ渡すことにした。
半月ほどでアパートメントを売却しても大丈夫ですという報告を受けてアパートメントを見に行くと、フェリシアが住んでいた形跡はどこにもなかった。
それっきり私はフェリシアの行方は知らない。
男に都合のいい話しすぎると怒らないでいただけるとありがたいです(笑)




