天才の証明
4話です!!私が二番目に好きなメロ女が出てきます!!
多分ライバルキャラ!!
白河明里が去った後も、しばらく拍手は鳴り止まなかった。はたから見たら、そんな様子は狂気的に見えるだろう。
だけどあの人を見たら、絶対に全員が納得するだろう程のものが、彼女にはあった。初めてだ、“人間そのもの”に感動したのは。
「なあ!!俺あの人みたいになれるなら戦ってもいいぜ!!」
「それな!!会社で馬車馬みてえに働くより全然マシだ!!」
さっきまでブーイングを飛ばしまくってた奴らからも、聞こえてくるのはそんな言葉ばかり。あの時感じたあの引力、あれは白河明里という人間に感じたものなのかもしれないな。
「き、鏡……あの、明里ちゃんさ……」
隣で凛もプルプル震えている。こいつがそこまで感動するなんて、余程だなあの人。まあでも冷めきった教室をここまでの温度に上げきったんだ、そのくらいはあるか。
「うん、凄かったねあの人。ほかの大人とおおちが……」
「おっぱいが!!ない!!」
「…………は?」
「いやね!?ポスターとかテレビで見た時はさ、凛ちゃんおっぱいスーパースカウターによると明里ちゃんはE……いや、Fはあった!!でもでも、実物は盛ってもC、ひょっとしたらBくらいしかないよ!!」
とてつもないことを超早口でまくし立てる凛に、理解が追いつかない。なんだか、騒がしい教室の中で私と凛以外の空間が全部切り取られたみたいな気分になった。
言い切った凛は満足したのかドヤ顔をしているが、今のに何も誇らしい要素なんてどこにもない。
「いや……え?そうだとしても、もっと見るべきとこあるでしょ?」
「いーーーーや、ないね!!美少女に会ったらまずすべきことはこれだよ!!同じ女の子の特権!!」
「黙って?キモイよ?」
「鏡、凛ちゃんは至って真面目なのです。テレビであんなにばいんばいんしてた美乳が消失している……これは偽物を疑った方がいいよ!!」
なぜ他人の胸が小さいということだけでここまで盛り上がれるのだろうか。
やっぱり凛が大きいからか?私への当て付けか?
よく分からないけど殴りたくなった。いつもよりも、さらに。
「凛、いい加減黙って。私まで怒られたらどうするの」
「はい、凛ちゃんは嫁に迷惑をかけない素晴らしい旦那様です」
「は?」
「はい、僕は黙ります」
凛が静かになると同時に、だんだん教室内の熱気も冷めてきた。そして再び完全な静寂が訪れると、おじいちゃんはまた口を開いた。
「全く……相変わらずすごいものだな、あの人は。貴様らをここまでやる気にさせられるのは、やはりあの人くらいだろう」
心底感心した、というよりかは懐かしむようにおじいちゃんは目を細めた。まるでこの教室ではない、どこか昔の風景を眺めているような、そんな感じ。
「さて、では気を取り直そう。とは言っても、貴様らは魔力というものを知るのも初めてだろうからな。今日からその水晶を使ってその感覚を掴んでもらう」
言われて、目の前の水晶へと視線が映る。白河明里のスピーチですっかり忘れてたけど、これも中々不気味な雰囲気を放っていた。なんだか手が吸い寄せられる、そんな感覚。
試しに少し手をかざしてみると、水晶の中が鈍く光った。それと同時に、やっぱり体内の何かが引っ張られ続ける感覚もする。
私はそれに従うように、体の中の“何か”を水晶に流した。すると、水晶はさっきの鈍い光とは桁違いに光だし、一気に周りの視線が私に集まる。
「今日は体の中の魔力を知覚するだけでいい。その水晶が光ったら……」
おじいちゃんの説明もここで止まった。私の手元で輝き続ける水晶を見た瞬間、まさに目が点と言える表情へと顔が変化していく。
「光ったら、合格だ。よって貴様、合格だが……どうやった?」
「え、いや、普通に?」
「は?……魔法において大事なのは、現象のイメージだ。よし貴様、イメージしてみろ。基本は“防御”と“強化”だ」
「防御と、強化?こうかな」
まずは防御、防御魔法と言うとよく漫画とかで見るな。私的には、あれは空気の硬質化だと思ってるけど合ってるかな?
頭の中で空気の構造、結合、それらを組み替えるイメージを描く。すると、水晶の色が一瞬で鮮やかな青色へと変化した。教室内がざわめきで満ちていくのを肌で感じる
「……防御魔法、成功だな。次は強化だ、やってみろ」
おじいちゃんの手が微かに震えているように見える。目はずっと見開かれたままだし、眼光には期待と羨望を感じる。
強化か、強化っていうとやっぱり筋力だよなぁ。だが、人間の筋肉では入力エネルギーをいくらあげようが限界がある。だから多分必要なのはもっとこう、外付けの筋肉かな……?
イメージと共に、今度は水晶が光り輝く赤色へと変化した。ざわめきは再び最高潮に登り、それに呼応するように水晶が勢いよく砕けた。
「よし、貴様今日は帰れ。私から推薦状なりなんなり書く、貴様は明日から特選クラス行きだ。まさか、今年は特選クラスが二人出るとはな……」
「はぁ、分かりました」
言われるがままに、席を立つ。横の凛に目線を向けると、少し縋るような訴えが返ってくる。机の上の右手は軽く握られ、眉は珍しく下がり、唇も少し震えている。
「……先に行ってる、待ってるから来て」
こいつはまあ、来るだろう。必要な言葉なんて、これくらいでいい。
歩を進めながら横目におじいちゃんを見ると、その顔は不思議と若返ったみたいにエネルギーに満ちていた。『良いもんを見た』、そう言われた気がした。『そりゃどうも』、返せたかは分からない。
大教室の莫大な視線の雨が降り注ぐのを感じて、なんだか居心地が悪い。ドアへの道のりを少し長く感じながら、私は教室を出た。
「特選クラス、か。ラッキーなのかな?」
「そうね、“ラッキー”だわ」
「っ!?誰!?」
教室を出た瞬間、肩に重量を感じた。思わず前へ跳んで振り返ると、薄暗い廊下にただ一人、燃えるようなショートヘアを輝かせた女の子が立っていた。
顔はサングラスをしてるからよく分からないけど、雰囲気で怒っているのがわかる。
「そこの先生様はお優しいのね。本来特選クラスっていうのは、入学式の時点で決まるって聞いたのだけど」
「……あなたは?なんでそんなこと知ってるの?」
「さっき教えてもらったの、“特選クラス”の教官にね。今は好きにしていいらしいから、探検でもしようかと来ていたところ」
不思議と話し方が耳障り。なんだか見下されている感じがする。ずっと付けたままのサングラスの奥も、見下した目線が透けて見えるようだ。
「質問に答えてないね。私は佐倉鏡、あなたは?」
「私?……あなた一応クラスメイトになるのか、たった一人の。だったら名乗っておいてあげる」
その時、真っ暗だった廊下に窓から光が差し込んだ。東条の赤い髪は光を反射してより一層輝き、サングラスの向こう側にある目からも光を感じる。
「私は東条美炎。あなたと違う、本物の天才ってところ。これからよろしくね、凡才さん♪」
読んでいただきありがとうございます!!
これからついにバトルや、百合の次に書きたいとこですね。
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