きざし。(前編)
前書いてた小説の完全リメイクです!!私が大好きな百合×バトル×魔法の小説になってます!!
pixiv上がりの初心者の文章ですが、読んでくれたら嬉しいです。
◇
大陸に存在する『七国』の内の一つ、フラルド・チューズの国境付近。
誰も知らない平野。冷たい空気と、薄く広がる霧だけが広がるその場所に、今日は二人のイレギュラー。いつしか霧から雨へと移った水が、二人の剣を濡らしていた。
青髪の少女と、白髪の少女。向かい合った二人は剣を交え、言葉を交わす。技がぶつかり、音が響く。
水と鉄の匂いが混ざり合い、空気を重く歪めて言った
「……キミはこの選択しかないのかい!?鏡!!」
白髪の少女は叫ぶ。縋るように、だが反面強い意志で止めるかのように。
「ないですよ、私には。これしかもう、凛に返せるものがない」
青髪の少女には届かない。淡々と、必死で剣を振る白髪の技を受け流すだけ。
『ねー鏡ー、学校だるいよー。凛ちゃんとゲーセン行こーよー』
青髪の少女の頭に響く懐かしい声。
それがより一層、白髪の少女の叫びをかき消していく。
もう青髪の少女の頭には、親友への罪滅ぼしと、ひとつの疑問しか残っていなかった。
(平和って、なんだったんだろう。あの退屈な日々は、平和だったのかな)
◇
「……くら、おい佐倉!!」
耳をつんざくような怒号が、私をまどろみから引っ張りあげる。なんだ?授業中に私を起こすなんていい度胸じゃないか。
「なんですか?」
「お前なぁ……寝すぎなんだよ。いくら成績がいいからと言ってその態度は目に余る!!!!」
「あの、理事長先生に許可もらってるんですけど」
寝起き特有の頭痛に急かされ、あまり冷静な返しができない。目の前の教師の顔はどんどん真っ赤になっていくし、周りからは冷めた目線を感じる。
梅雨特有の雨の匂いが鼻腔をつき、少し鼻がツーンとした。それがどうしても気になって思わず水を飲んだ、その時だった。
「よし、わかった。お前がそこまでするのなら考えがある。これを解け」
教師は何が気に入らないのか、黒板に数式を書いた。雨粒が窓を叩く音だけが教室に響き渡り、なんだか世界で私だけ一人みたいな気分になる。
「いいか、これは大学数学の中でも」
「117√59」
「…………正解」
胸に染み入る雨粒の音。それに雑音が入ったからとりあえず黙らせた。これで、世界はまた心地よいノイズで満たされてくれる。
この世はいつだって規則的なリズムが好きだ。まるで、それが生命線かのように守ろうとすらする。
毎朝見るサラリーマン、変わらない風景、決まりきったカリキュラム。整った何かを、無理やり演出するようなそいつらが私は嫌いだった。
私が欲しいのはもっとこう、この雨のようなノイズみたいな、ループするレコードをかき乱すものなのに。
「これでいいですか?」
「……ああ、もう文句はない」
あれからまた寝ていたら、気づいたら授業は終わっていた。今は昼休だしそろそろあいつが来る時間だ、空き教室に行かないと。
四階の隅にある空き教室。そこで待っていると、私の耳はひとつの大きな足音を捉えた。
「鏡ーーーー!!凛ちゃんだよーーーー!!」
「凛、うるさい」
「いやいや、鏡……久しぶりに最愛の妻に会ったら、誰だってこうなるものではないのでしょうか……」
「は?いつ私が凛と結婚したの?」
「出会った時から、かな」
優等生とは言い難いピアスと、ライトグリーンの煌めくウルフヘアーを携えた少女。私の親友、柳田凛。
そして同時に幼い頃から独りだった私の、唯一の理解者でもある。旦那ではない、決して。
「凛さぁ、今日も昼休みまでサボったの?留年するよ?」
「僕は成績鏡の次にいいから、別にいいんですー。それに鏡だっていっつも授業中寝てるじゃん、同じだよおんなじ」
「単位って知らないでしょ。学校に来て寝る私と、学校に来ない凛。この差、わかる?」
「わかるけどいいじゃん、ダイジョブだって。僕大学行かなくてもいいし別に、鏡だってそうでしょ?」
「まあね、大学行かなくても生きて行けるでしょ株とかやって。だから……」
ふとその時、掲示板に貼ってあるポスターが目に入った。無数に貼られた紙の集合の中で、一つだけ光っているかのような不思議な引力を持つ一枚に、目が吸い込まれる。
そこで紹介されている国立フラルド国防大学、通称『軍』。もう数十年も前に大戦が終わった今の世に、あまりそぐわない時代錯誤な学校。
それなのに何故か何年もずっと続いている。それに加えて大学内部情報が入学するまで一切非公開である、不気味な学校でもあった。
「鏡、どしたの?ぼーっとしてさ」
「ん?あーいや、あそこのポスターが気になっただけ。軍のやつ」
「軍のこと?ふっふっふっ、凛ちゃんはその答えを既に知っているのですよ、鏡……」
「は?なんで?」
得意げに私に無い胸を張る凛。一見ふざけている不良にしか見えないが、仮にも私と会話できる数少ない人物のひとりだ。
何か面白い情報でも掴んだのだろうか。
「凛ちゃんのリサーチ力を舐めないでね、この前テレビでやってたのを偶然見たんだよっ!!」
「……聞いて損した。それで、結局ここどういう学校なの?」
「えっとね、話してた白髪のお偉いさんが可愛くてー、おっぱいおっきくてー、声も最高で、もう僕の好みどストライク!!大好き!!」
「凛さぁ……」
「なんてうそうそ嘘だよごめんって、僕のお嫁さんは鏡一人だから。凛ちゃんは浮気なんて、しないよ」
濡れることを気にしていないのか、凛は勝手に私の手にキスして膝まづいた。いや、キモいしやめて欲しいけど普通に。
「…………キレるよ?」
「あ、はい。真面目に言うとね、あんま具体的なことは言ってなかったよ?学校の歴史とかー、教育理念とかー、そんなことばっかり」
「なんか怪しいね、やましい事でも隠してんじゃない?横領とか」
「かもね。あ、でも!!話してたお偉いさんは大戦時代の英雄なんだって、すっごい可愛いのに!!それは言ってた!!」
相変わらずの女好きが出ているが、それよりも私は凛の発言の矛盾が気になった。大戦なんて、もう何年も前の話だ。凛がお年寄りに欲情するタイプなら納得できるが、あいにく凛は美少女好きなのでそれも有り得ない。
「大戦の英雄が可愛い?ありえないでしょ、あれ何年前だと思ってんの」
「いやでもほんとなんだって!!ほんとのほんとに美少女ーって感じだった!!」
「……まあホントならすごいね。ずっと若いままで歳取れるなんて、なんだかアニメみたい」
(まあ、大方加工か動画映えだろうけどね。)
異様に若い大戦時代の人間と、最近メディア露出が増えてきたのに詳しいことが一切わからない軍。
そんな謎めいた大学を頭に刻み込んで、私はお昼を食べ始めた。
読んでくれてありがとうございます!!
凛ちゃんは、可愛い。こんな子が旦那じゃなくて嫁に欲しいけど、百合に挟まる趣味はないので控えます。
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