さあ、おいで……
この物語の題名が決まらない。
『海乃いるか』自分のペンネームだけ入れてまだ、題名が空白だった。
ちなみに今書いている、このページは後書きではない。この物語の最後のシナリオだ。
僕は部屋の四隅をふらふらと、隈無く巡っる道順で台所のマグカップに手を掛けた。
少なすぎるであろう水をケトルに注ぎスイッチオン、マグカップにはブラックのインスタントコーヒーと小スプーンをスタンバイしてその時を待つ。
少量過ぎる水量にケトルがもがきはじめると僕は直ぐ様、手に取りマグカップへと全量注ぎ込んだ。
カラカラと言う小スプーンのリズムと共に湯気のダンスが嗅覚を誘う。
そして、誘われるがまま一気に頬張る。若干ジャリジャリと残る舌触りの一方で、それが砕ければ砕ける程に一気に高まっていく香りと苦味。
そう、この一杯こそ次なる集中力への切り替えに相応しかった。
ゴクリと喉をならして飲み込んだ僕は鼻息を荒くしてデスクへと急いだ。
そして、口ずさみながら文字を打つ。
「ゆうくん、ゆかちゃん、この物語の世界で超越者となった君達なら、この最後のページに気づけるはずだ。この物語がこちらの世界で沢山の人々に読まれ愛された時、この物語は力を持つ。その時こそ、君達ならこの物語をゲートにしてそちらの世界の力を繋げる事が出来る。そして、君達はまた人として転生するんだ。そう……それこそが君達の……」
それこそが君達の……そうか題名なんて単純で良かったんだ。僕は思い付いた事で笑みが溢れた。
「そう、それこそが君達の幸せだと思うから。そして、こちらの世界でこの物語を知り……そして、君達はお互いの事を思い出すんだ。愛で刻まれた記憶は忘れることはない。そして、探して、必ず君達は、また出会う。」
そして、この本の題名は……。
『僕は君達を幸せにしたい。』だ。
……さて、題名も決まった事だしフィナーレと行こうか。
最後に彼女達へのプレゼントとして『日立、桜祭りデート編』のエピソードを書いて終わろうと思う。
読者の皆様にはもう少しだけお付き合い頂きたい。




