第53話『旅立ち、交わした約束』
──第七支部、早朝。
まだ朝日も昇りきらない薄明の中、
シェルターの正門前に、三つの影が立っていた。
タケル、シュン、そして──ハル。
三人とも、それぞれ荷物は最小限。
けれど、その背には確かな決意があった。
「……じゃ、そろそろ時間か」
タケルがぽつりと呟いた。
その後ろに、リカ、セイ、ミナが揃って見送っている。
「ねぇ、あたしだけ仲間はずれじゃない?」
軽く笑いながら、ハルが言った。
「タケルとシュンは同じ支部で修行でしょ? あたしだけ別じゃーん」
「まあな。でもハル、お前は何となく平気だろ!」
「ひどっ!」
笑い合いながらも、その声の奥にほんの少し寂しさが滲む。
「……でもまあ、いいや。あたしも負けないし」
「ユウトが目覚めて、元気になったとき──
びっくりするくらい強くなって戻ってくるから!」
拳を突き出すハル。
タケルとシュンも、その拳に自分の拳を重ねた。
「俺もだ。もっと力付けて目の前の敵全部倒せるぐらい強くなってやる」
「……僕も、ちゃんと支えられるように」
三人の拳が、静かにぶつかる。
それは、言葉よりも確かな“約束”だった。
リカがぽつりと呟いた。
「……気をつけて」
ミナは、少し涙ぐみながらも言葉を紡ぐ。
「また……帰ってきてね。お兄ちゃん、みんなのこと大事に思ってるから」
セイは、穏やかな口調で締めくくった。
「……大丈夫。君たちなら、戻ってこれる」
3人はそれぞれ、頷いた。
「んじゃ、行ってきまーす!」
「……行ってくる」
「またな」
そして、振り返らずに歩き出す。
シェルターのゲートが、静かに閉まる。
それぞれの新しい修行場所へと向かう三人の背中は、
不安よりも希望と覚悟に満ちていた。
──戦うために。
──守るために。
──そして、またここへ戻るために。




