第47話『静寂を破る影』
第2部始まります!
──シェルター第七支部。
昼下がりのラウンジ。
ハルがソファに寝転び、
タケルがゲームを片手に座り込み、
シュンとセイはそれぞれ飲み物を手にテーブルを囲んでいた。
「ねぇ、ユウトは今日どうしたのー?」
ハルがごろりと寝返りながら尋ねた。
「今日はミナさんと一緒に外出したって」
シュンが答える。
「へぇ~、デートか~」
タケルがニヤつきながら言うと、
リカがソファの肘掛けに座ったまま、冷めた声で返した。
「……茶化さないの」
「はいはい」
タケルが苦笑する。
セイは静かにコーヒーを啜りながら、
その様子を穏やかに眺めていた。
──そんな穏やかな空気を、
鋭い気配が切り裂いた。
ガシャン、と自動ドアが開く音。
現れたのは──
無骨な黒ジャケット。
小柄ながらも凛とした立ち姿。
銀色のショートカット。
鋭い軍人のような眼光を持つ女。
ラウンジに入るなり、無駄な言葉は一切なく、
低く、はっきりとした声で言い放った。
「加賀見シンイチはどこだ」
──その瞬間、ラウンジの空気が一気に引き締まった。
ハルがぴくりと肩をすくめ、
タケルも思わずゲーム機をポケットに押し込む。
リカは落ち着いた表情で立ち上がり、
冷静に応じた。
「……指揮官室。
廊下をまっすぐ、右奥」
女──真堂レイコは、
リカに一瞥だけ送ると、無言で通り過ぎる。
そしてすれ違いざま、
五人を見渡し、
無表情のまま、短く呟いた。
「……だらしない」
その一言を残し、
レイコはラウンジを後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
支部司令室。
静かな空気の中、二人の指揮官が対峙していた。
「よく来たな、レイコ」
加賀見シンイチが立ち上がり、
軽く敬礼を交わす。
レイコも無言でそれに応え、
無駄な言葉は一切なかった。
「……ただの視察じゃないだろ?」
シンイチが尋ねると、
レイコはふっと鼻で笑った。
「お前の支部に──
私に“似た異能”を持つガキがいるって噂を聞いた」
シンイチは少しだけ表情を崩した。
「確かにな。
波動を操る異能だ。
お前に近いタイプかもしれない」
「……ほう」
レイコが興味深そうに眉を上げる。
「詳しくは見てから判断する」
そう言い残し、
レイコは踵を返した。
「どこにいる」
「今日は休みだ。
街に出てるはずだ」
「……なら、私も散歩してくる」
ポケットに手を突っ込んだまま、
レイコは静かに司令室を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街の雑踏に紛れ、
静かにその姿を消すレイコ。
ポケットに手を突っ込んだまま、
無駄な動きを一切せず、
ただ標的を捜すように歩く。
「波動を操る、ね……」
銀色の瞳が細められる。
──静かな午後。
だがその裏で、
新たな脅威が、静かに姿を現しつつあった。




