第46話『それぞれの帰り道』
夕暮れのモール前。
一日中遊び倒したみんなが、
少し名残惜しそうに立ち止まっていた。
「よーし、じゃあ解散か!」
タケルが伸びをしながら言った。
「また食いすぎたー……」
ハルが苦笑しながら、お腹を押さえる。
「次はもっと計画的にね」
セイが静かに笑った。
「……楽しかった、です」
ミナがにこっと笑顔を浮かべる。
シュンもその隣で、穏やかに頷いた。
「また、みんなで行こう」
──それぞれ、笑いながら。
それぞれ、自然な足取りで、
帰路についていった。
ユウトとリカは、無言で並んで歩く。
特に何を話すでもなく、
けれど、妙に居心地のいい静けさだった。
ふと。
リカがぽつりと呟いた。
「──今日は、楽しかった」
ユウトは、驚いたようにリカを見たが、
すぐに視線を前に戻し、静かに頷いた。
「……ああ」
──帰り道の途中。
ユウトとミナは、自然に2人きりになった。
「ねぇ、お兄ちゃん」
ミナが小さな声で呼びかける。
「今日、楽しかったね!」
明るく言いながら、
その瞳の奥に、ほんのわずかな影を落とす。
──最近、兄が何かを隠している気がする。
でも、今はまだ、聞けなかった。
「……ああ」
ユウトは、ミナの笑顔を見ながら、
静かに、そして強く、心に誓った。
──守りたい。
この日常を。
この温もりを。
何があっても。
──空は、少しだけ、赤く染まり始めていた。
誰もまだ知らない。
これから訪れる、大きな運命を。
だけど今は。
ただ、静かに歩いていた。
(第1部完)
第1部は何度もユウトが守りたいと思う話でした。
誰かを守る、守りたいという「感情」を自分の中のベースにして来ました。
第2部も変わらずあまり顔には出しませんが、リオをはじめみんなを守っていける存在になってくれるはずです。
応援お願いします。




