第43話『それぞれの時間』
モール内
ハルが両手を大きく広げた。
「で? どこ行くー? せっかくだし、好きなとこ見て回ろうよ!」
ハルの提案に、
それぞれが小さく頷いた。
「俺は……フードコート行きてぇな」
タケルが即答する。
「わたしも食べ歩きしたい!」
ハルが嬉しそうに手を挙げた。
「私は雑貨屋さん、見てみたいかも……」
ミナが控えめに言った。
「じゃあ、俺も一緒に行くよ」
シュンが自然に隣に立った。
「……私は、服でも見る」
リカがカジュアルに答えた。
ユウトは一瞬だけ迷ったが、
無言でリカの隣に並んだ。
「俺は……本屋かな」
セイが手に資料袋を持ったまま、小さく答えた。
「オッケー!じゃあ、みんな一通り見終わったら
フードコート来てね!!」
──こうして、自然にグループが分かれた。
・ハル&タケルはフードコートへ。
・シュン&ミナは雑貨屋エリアへ。
・ユウト&リカは洋服売り場へ。
・セイは単独で本屋へ向かった。
──モール内、雑貨屋エリア。
「これ、かわいい……」
ミナが棚に並んだ小物をじっと見つめていた。
「こっちも似合いそうだよ」
シュンが、小さな髪留めを手に取って差し出す。
ミナは顔を赤らめながら、そっとそれを受け取った。
「ありがとう……」
シュンは静かに微笑むだけだった。
──フードコートエリア。
「うおー! どれもうまそー!」
ハルがきらきらした目で屋台を見渡す。
「とりあえず、片っ端から食うぞ!」
タケルが豪快に宣言した。
「賛成!」
ハルは嬉しそうに拳を突き上げた。
串焼き、たこ焼き、クレープ──
次々に食べ歩きながら、2人は大笑いしていた。
「……あれ?」
ふとハルが目を細めた。
「セイじゃん!」
──本屋の帰り道、セイがフードコートに現れた。
「やぁ」
軽く手を挙げるセイに、
タケルとハルが同時に走り寄る。
「よし、セイも食え!」
「これ、めっちゃうまいよ!」
タケルが肉串を、ハルがクレープを、それぞれセイに押し付けるように差し出した。
「……いや、俺は──」
セイが困ったように目を伏せたが、
タケルとハルの勢いに押されて、
結局肉串を受け取った。
「……ん。うん、美味しいね」
無表情のまま頷くセイに、
ハルが満足そうに笑った。
「ほらほら、もっと食べなって!」
「次これな!」
どんどん料理が積み上がっていく。
セイは静かに、小さなため息をついた。
──みんなそれぞれ、違う場所で。
でも、同じように、確かな時間を過ごしていた。




