第40話『芽吹き──小さな畑、小さな変化』
──数日が経った。
シェルターに流れる空気も、
ようやく落ち着きを取り戻してきた。
訓練棟の破損箇所も修復が進み、
医療棟ではハルが順調に回復しているという。
そして──
シェルターの中庭に、
新しい“命”が芽吹き始めていた。
◆ ◆ ◆
「……ここ、いいかな」
ツムギが、そっとしゃがみ込む。
中庭の一角、
柔らかい土を手で均しながら、
小さな苗を植えていく。
春でもないのに、
青々とした葉が、ツムギの指先からそっと育っていった。
異能──植物を育てる力。
それを使い、
ツムギは自分なりに、
ここで生きる意味を見つけようとしていた。
◆ ◆ ◆
「おお、すげぇな」
タケルが感心したように声を上げた。
ユウト、リカ、シュンも、
それぞれ少し離れた場所から畑を眺めている。
セイは資料を片手に、
ツムギの活動をメモしていた。
「思ったより本格的だね」
リカがぽつりと言う。
「……すごい、です……」
シュンも目を輝かせていた。
「いや、マジで助かるぞ。
これから食料自給率とかも大事になりそうだしな」
タケルがツムギに親指を立てる。
ツムギは照れたように、小さく会釈した。
◆ ◆ ◆
ユウトは、
静かにツムギの手元を見つめていた。
生きようとしている。
この場所に、
根を張ろうとしている。
──その姿が、
どこか自分自身と重なって見えた。
◆ ◆ ◆
ツムギの小さな畑。
そこに芽吹く緑は、
このシェルターでの、
新たな希望の象徴だった。




