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ユウキ・ノ・カケラ  作者: ハキ
第1部
37/67

第35話『脱出戦』

──崩壊した街を、必死に駆け抜ける。


 


ユウトたちは、小競り合いを繰り返しながら

迎えの到着を待っていた。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


「後ろから来てる、数人!」


 


タケルが振り返りざまに叫ぶ。


 


紅眼と黒環の戦闘員たちが、

瓦礫の間を抜けて追いすがってくる。


 


人数は多くない──


だが、異能持ちだ。


油断すればすぐに追いつかれる。


 


 


「リカ、まだか!?」


 


タケルが叫ぶ。


 


リカは通信機を一度見て、

小さく頷いた。


 


 


「もうすぐ! ヘリの場所までもう少し!」


 


加賀見シンイチ指揮官の判断で、

中型輸送ヘリは出発の、準備はできていた。


 


あとは、それに乗り込むまで耐えるだけだ。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


「ユウト、右から来るよ!」


 


リカの量子視りょうししが敵の動きを読み、

的確に指示を飛ばす。


 


 


「──わかった!」


 


ユウトが衝撃波で、

突っ込んでくる敵を迎撃する。


 


シュンは後衛でバリアを広げ、

ツムギとハルを守る。


 


セイは冷静に周囲を見極めながら、

最後の詠唱チャントを温存していた。


 


 


(……あと1回。使いどころを間違えたら、終わる)


 


セイの額には、じわりと汗が滲んでいた。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


敵の異能が地面を抉り、

炎が走る。


 


紅眼の戦闘員が、

火炎弾を撃ちながら接近してきた。


 


 


「クソッ……!」


 


ユウトが顔をしかめる。


 


普通に走って逃げるだけじゃ追いつかれる。


次の瞬間──


 


 


「今よ、セイ!」


 


リカが叫んだ。


 


セイは迷わず、最後の詠唱に入る。


 


 


「──土よ、重く沈め!」


 


詠唱の声とともに、

炎使いの敵の足元にあった大中小の瓦礫が

重力に引かれるように一気に沈み込む。


 


足を取られた敵がバランスを崩す。




「タケル、そこの建物崩して!」




その隙を突いて、リカの指示通り

タケルが周りの建物を一気に溶かし、崩す。


 

追ってきた敵は下敷きになり、瓦礫は足止めになった。

 


◆ ◆ ◆


 


 


「──ヘリが見えてきたよ!」


 


リカが短く叫んだ。


 


任務場所より離れた所に

轟音を響かせながら中型の輸送ヘリがいる。


 


機体は灰色に塗装され、

機動力を重視したコンパクトなフォルム。


サイドドアが開き、回収班が手を伸ばす。


 


 


「早く……乗り込んで!」


 


リカが叫び、

ユウトたちを促した。


 


 


──運命を繋ぐために。


必死に戦った仲間たちは、

今、最後の脱出へと走り出した。

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