第30話『反撃の狼煙──導く眼と応える拳』
──戦場の空気が、さらに張り詰める。
カイと、ユウトとリカ。
三者が、正面から対峙していた。
◆ ◆ ◆
「まとめて潰してやる……!」
カイが唸り、
黒いフードの下で拳に異能を集中させる。
──異能【震壊】。
殺気が地面を震わせるほど濃密に満ちる。
◆ ◆ ◆
ユウトとリカは、横並びに構えていた。
だが。
互いに無言で呼吸を合わせたりはしない。
リカは、リカの役割を果たす。
──冷静に、指示を飛ばす。
──ユウトは、それに従って動く。
◆ ◆ ◆
リカの瞳が鋭く光る。
──異能【量子視】。
オーラの揺らぎが、次の行動を示していた。
「──ユウト、右に避けて!」
指示が飛んだ瞬間、
ユウトは迷いなく体を動かす。
直後、カイの拳がユウトのいた位置を砕き裂いた。
◆ ◆ ◆
リカの銃撃が、カイの腕を牽制する。
ユウトは即座に距離を詰め、
カイの脇腹に拳を叩き込もうと踏み込んだ。
「──上から来る、かわして!」
リカの声が再び飛ぶ。
ユウトは咄嗟に身を屈め、
カイの振り下ろす拳をかすめるだけで躱した。
(──すごい……!)
リカの指示が、正確にカイの動きを封じている。
それに合わせて、自分も戦えている。
今、確かに──
自分は【戦力】になれている!
◆ ◆ ◆
「ユウト、正面から叩き込んで!」
リカの鋭い声に、
ユウトは拳を固めて踏み込んだ。
全身の力を込め──
──ドゴォッ!!!
拳が、カイの腹部に炸裂する。
カイが低く呻きながら後退した。
◆ ◆ ◆
「チッ……小癪な……!」
カイが殺気を迸らせながら踏み込み直す。
だが。
リカの量子視が、それすらも読み切っていた。
「──次、左から!」
ユウトは即座に反応し、
カイの拳を紙一重で躱しながらカウンターを叩き込む!
──ズガァン!!!
カイが大きくバランスを崩す。
そこを、リカが銃撃で追撃!
──バンッ!!
銃弾が、カイの右肩を弾き飛ばす。
さらにユウトが全身を捻って、渾身の拳を振り抜いた。
──ドガァァン!!!
カイの顎に直撃。
黒いフードが揺れ、
カイの身体がくの字に折れ、そのまま地面へと叩きつけられた。
◆ ◆ ◆
「……が……」
カイは呻き声を上げかけたが──
そこで意識を手放した。
──カイ、気絶。
◆ ◆ ◆
戦場に、静寂が落ちた。
ユウトとリカは、互いに視線を交わす。
リカは小さく息を吐き、
ユウトは、汗まみれの顔で小さく笑った。
──今、確かに。
仲間として。
戦えていた。




