第29話『共闘の始まり──仲間の力』
──戦場に、乾いた銃声が鳴り響いた。
◆ ◆ ◆
ユウトの視界を、鋭い弾道がかすめる。
牽制の一撃。
注意を逸らし、流れを断ち切るため。
──リカだ。
振り返ると、
赤いスカジャンを翻し、
黒い帽子を深く被った少女が駆け寄ってきた。
背後にはハルとターゲットを従えて。
◆ ◆ ◆
リカは、ユウトの姿を一目見て
わずかに目を見開いた。
(……ユウト……?)
確かに、彼は震えていた。
傷だらけだった。
それでも、目は、折れていなかった。
──違う。
出会った頃の彼とは、何かが、明らかに違う。
◆ ◆ ◆
リカはすぐに判断を下す。
今は後回しだ。
今は──戦わなきゃ。
「ユウト、援護する。合わせて!」
短く、鋭い指示。
ユウトは。
一瞬も迷わず、拳を握り直して──
「──了解!」
力強く応えた。
◆ ◆ ◆
リカは小さく、微笑みそうになるのを必死で堪えた。
(──頼もしくなったじゃん)
◆ ◆ ◆
ハルとターゲットは、
リカの指示で近くの瓦礫の陰へと避難を開始している。
リカとユウトは──
自然に、横並びに立った。
互いの存在を意識しながら、
それぞれ独立して構えを取る。
──頼れる。
──任せられる。
そんな無言の信頼が、二人を繋いでいた。
◆ ◆ ◆
カイが、
殺気を撒き散らしながら迫ってくる。
「クソガキどもがァ……!」
獣のような声が、空気を震わせる。
──だが。
ユウトも、リカも。
微動だにしなかった。




