第27話『絶望と希望──リカ、突破へ』
──瓦礫と煙に包まれた戦場。
リカは、
崩れた壁の影に身を潜めながら、
深く、静かに息を整えていた。
──ユウトたちと合流する。
それが今、
自分にできる唯一の選択だった。
◆ ◆ ◆
瓦礫の隙間から、
紅眼と黒環の残党たちが交戦しているのが見えた。
どちらも、異能を持つ者たち。
だが、混戦のせいで隊列は乱れており、
隙も多い。
(……突破できる)
リカは、
帽子を深く被り直し、
ジャケットの下のガンホルダーから小型拳銃を引き抜いた。
◆ ◆ ◆
──パンッ!
乾いた一発。
瓦礫の陰から姿を現していた黒環の戦闘員の足元を撃ち、
バランスを崩させる。
敵が振り返った隙に、
リカはすばやく反対側の瓦礫へ跳んだ。
◆ ◆ ◆
「──何だ!? 敵か!?」
「紅眼か!?」
混乱する戦闘員たち。
リカはその隙に、
瓦礫の合間を低く、静かに駆け抜けていく。
◆ ◆ ◆
紅眼の異能者が重力を操作し、
瓦礫を浮かせる。
それに気づいたリカは、
すかさずオーラを読む。
軌道予測。
踏み出す方向を計算。
──ズシン!!
瓦礫が空気を裂く音。
リカは一瞬早く横に転がり、
僅かな隙間から滑り出た。
──パンッ!!
瓦礫を飛ばした紅眼戦闘員の近くに牽制射撃。
殺す必要はない。
あくまでも、道を開くため。
◆ ◆ ◆
「──このままじゃ……!」
黒環の戦闘員たちが動き出す。
だが、
リカは冷静だった。
彼らの視線が紅眼に向いた一瞬を見逃さない。
混戦を逆手に取り、
一気に抜ける。
◆ ◆ ◆
跳ねるように瓦礫を飛び越え、
リカは戦場の外へと飛び出した。
振り返らない。
──今は、敵を相手にしている暇はない。
守るべきもののために。
絶対に、辿り着かなければ。
◆ ◆ ◆
リカは、
赤いスカジャンをはためかせながら走った。
その目には、
まっすぐな意志だけが宿っていた。
──必ず、仲間たちのもとへ。




