第26話『決意の一歩──ユウト、初めての反撃』
──獅堂カイが迫る。
黒いフードに黒いマスク。
そこから溢れるのは、
鋭く、濁りない殺意だった。
ユウトは、
背後にハルとターゲットを走らせながら、
カイの前に立ち塞がった。
──逃げない。
──もう、絶対に、逃げない。
◆ ◆ ◆
カイは、ゆっくりと歩を進める。
フードの奥から、
かすれたような声が漏れた。
「……ヨォ。見つけたぞ、坊主」
低く、獣じみた声。
その声に、
ユウトの背筋が微かに震える。
──でも、退かない。
◆ ◆ ◆
次の瞬間。
カイが、地面を蹴った。
爆発音すら置き去りにする速度で、
ユウトへ突進してくる。
(……速い!)
ユウトは本能的に攻撃体勢をとる。
その瞬間、
胸の奥で何かが弾けた。
──守る。
──絶対に、2人を守る!
◆ ◆ ◆
ユウトの胸元が淡く光り、
空気が震えた。
──断片。
踏み込むカイに向かって、
無意識のまま、透明な衝撃波が
鋭く放たられた。
──ドンッ!!!
空気が裂け、
大地が低く唸る。
◆ ◆ ◆
カイは咄嗟にステップで重心を逸らし、
まともに受けるのを回避した。
──だが。
完全には避けきれなかった。
衝撃波はカイの肩をかすめ、
その身体を横に弾き飛ばす。
ズザザザッ──!
瓦礫を蹴散らしながら、
カイは数メートル滑った。
◆ ◆ ◆
ユウトは、
拳を握り締めたまま、必死に呼吸を整える。
確かに──
今、自分の力が届いた。
(……まだ、やれる)
◆ ◆ ◆
カイは、
フードの奥で低く笑った。
「……クク。……チッ.....クソったれが」
小さく舌打ちしながら、
まるで狩りを楽しむように、
ゆっくりと歩き出す。
「──借りは、きっちり返さねぇとな」
その言葉に、
ユウトの背筋が冷たくなる。
──殺しに来ている。
──遊びでも、好奇心でもない。
ただ、
かつての暴走で負った傷への、
冷たく、粘着質な復讐。
◆ ◆ ◆
それでも──
ユウトは、退かない。
拳を握り直す。
背後に、守りたい人がいる限り。
「……来いよ」
震える声。
それでも、
──膝も、腰も、心も、絶対に折れない。




