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ユウキ・ノ・カケラ  作者: ハキ
第1部
27/67

第25話『戦場分断──ユウト、背負う覚悟』

──戦場は、さらに混沌としていた。


 


黒環と紅眼の激しいぶつかり合い。


その中で、リカ、ユウト、ハル、ターゲットは必死に戦線を維持していた。


 


 


リカは前線で黒環の工作員たちをいなしながら、

一瞬だけユウトたちの方へ視線を向けた。


 


(……ユウト、ハル、ターゲット──無事でいて)


 


祈るように、

でもすぐに意識を戦場へ戻す。


 


──今は、目の前を守るしかない。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


その瞬間。


 


紅眼の戦闘員が起こした爆発が、

周囲の瓦礫を大きく揺るがした。


 


ゴオォォォン──!!!


 


地面が割れ、

瓦礫が崩れ、

砂煙が戦場を覆い尽くす。


 


 


「──リカ!」


 


ユウトが叫んだ。


 


だが、

視界は遮られ、

リカの姿は見えなくなっていた。


 


 


──分断された。


 


完全に。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


ユウトはすぐに状況を確認する。


 


後ろには、倒れたままのハル。


震えるターゲットの女性。


 


「……ハルは……」


 


脈を確認する。


 


──生きている。

だが、まだ意識は戻らない。


 


 


ユウトは奥歯を強く噛み締めた。


 


(動かなきゃ……!)


 


 


ターゲットの女性に向き直る。


 


「ここじゃ危ない。……一緒に、逃げるぞ」


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


ユウトはハルを背負い、

ターゲットと共に撤退を開始した。


 


ハルの体温、

ターゲットの震える呼吸。


 


その全てを、

背中と隣から感じながら走る。


 


 


「君の能力、教えて」


 


ユウトが息を切らしながら訊いた。


 


ターゲットの女性は戸惑いながら答える。


 


「わ、わたしは……植物を育てる力です!

 土や季節に関係なく、どんな植物でも育てられる……だけ、です!」


 


戦えない──


だからこそ、狙われる。


だからこそ──守る。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


その時。


 


背中のハルが、微かにうめいた。


 


「……ぅ……ん……」


 


ユウトが驚いて背を向ける。


 


「ハル! 目、覚ましたか!」


 


ハルは顔をしかめながら、

かすかに頷いた。


 


 


「まだ……動けないけど……」


 


「大丈夫。少しでも動ければいい」


 


ユウトはハルをゆっくり地面に下ろし、

ターゲットに向き直った。


 


 


「ハルと一緒に逃げろ」


 


「で、でも……!」


 


「頼む。

 ……絶対に、逃げ切ってくれ」


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


その時だった。


 


──ゴオォォォォン!!!


 


背後で巨大な爆音が響く。


 


 


振り向くと、

瓦礫を吹き飛ばして、

黒いフードと黒マスクの男が立っていた。


 


──獅堂カイ。


 


 


カイは、

まっすぐユウトを見据え、歩み寄ってくる。


 


 


「──俺が止める」


 


ユウトは小さく呟いた。


 


拳を、握る。


 


背後には、

傷だらけのハルと、怯えたターゲット。


 


守るべきものは、ここにある。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


「ハル、ターゲットさん。

 ──振り返らないで、逃げて」


 


 


ハルは悔しそうに唇を噛み締め、

それでも頷いた。


 


「……絶対に、戻るから」


 


ターゲットの女性も、必死に頷く。


 


 


二人が走り出すのを確認して、

ユウトは、

カイの方をまっすぐ見据えた。

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