第23話『カイ乱入──断片発動
──戦場は、制御不能だった。
黒環と紅眼が互いにぶつかり合い、
異能と怒号が飛び交う地獄絵図。
リカとハルは必死に戦い、
ユウトはターゲットの女性を守りながら、
必死に周囲を見張っていた。
◆ ◆ ◆
──そのとき。
空気が、変わった。
リカが表情を引き締める。
「……来た」
──ズシン。ズシン。
瓦礫を踏み砕きながら、
黒いフードを深く被り、
口元を黒いマスクで覆った男が現れた。
黒に染まったその姿と鋭い眼光は、
この戦場で異様なほどの圧を放っていた。
──獅堂カイ。
紅眼の中でも、
特に危険視される狂戦士。
◆ ◆ ◆
カイの視線が、
ターゲットを守るユウトに向けられる。
フードの奥で、
ニヤリと笑ったように見えた。
──次の瞬間。
カイは迷いなく地を蹴った。
獣のようなスピードで、
ユウト目掛けて突撃してくる。
◆ ◆ ◆
「ユウト!!」
リカが叫んだ。
ユウトは、反射的にターゲットの前に立った。
だが、
カイの突進は速すぎた。
その瞬間。
ハルが飛び出し、
ユウトを突き飛ばした。
代わりに、
ハルの小さな身体に、カイの拳が叩き込まれる。
──ドゴッ!!
鈍い音。
ハルは吹き飛び、地面に叩きつけられた。
「ハル!!」
ユウトが絶叫する。
ハルはかすかに笑って、
そのまま意識を失った。
◆ ◆ ◆
──心が、割れた。
守れなかった。
それでも──守りたい。
その想いだけが、
ユウトの胸に、爆発するように溢れ出した。
◆ ◆ ◆
ユウトの身体から、
淡い光と震える空気が立ち上る。
──断片。
カイが警戒しながら突進してくる。
その瞬間だった。
ユウトの体から、
真っ直ぐ前へ、透明な衝撃波が放たれた。
──ドンッ!!!
カイだけを正確に捉え、吹き飛ばす。
瓦礫を蹴散らしながら、
カイは地面に叩きつけられた。
右腕を押さえ、
低く唸る。
──軽傷。
だが、確かに効いた。
カイは、
フードの奥から鋭い眼光を光らせたまま、
ユウトを睨みつけた。
◆ ◆ ◆
ユウトは、
ターゲットと倒れたハルを背に、
拳を握りしめたまま立ち尽くしていた。
──絶対に、守る。
その決意だけを、
この胸に、深く刻みつけた。




