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第19話『出発前──静かな決意』
──夜明け前。
外はまだ、静かな闇に包まれていた。
ユウトは、目覚ましが鳴る少し前に目を覚ました。
布団を抜け出し、
静かに息を吐く。
◆ ◆ ◆
身支度を整え、
黒いジャケットを羽織る。
最低限の装備も確認済み。
──音を立てないように、
リビングへと向かう。
ソファの上、
毛布にくるまれた小さな寝息。
ミナ。
その無防備な寝顔を見て、
ユウトは静かに胸に誓った。
(……守らなきゃ)
◆ ◆ ◆
胸の奥に、
名前のない熱が積み重なっていく。
──形のない、でも確かな力。
──きっと、それはいつか、自分を動かすものになる。
ユウトは拳をぎゅっと握った。
◆ ◆ ◆
「……いってきます」
小さく呟き、
そっと玄関のドアを閉める。
──そして。
その様子を、
少し離れた建物の陰から静かに見守る人影があった。
黒いコートを羽織った中年男性。
手には、小型の通信端末。
男は、短く通信を送った。
「こちら監視班、如月ユウト、予定通り出発。
ミナ嬢は問題なし。
引き続き、監視続行します」
──通信は即座に、シェルター第七支部へ届く。
誰にも知られることなく。
静かに、
しかし確かに、
彼らの“守る手”は伸びていた。




