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`お越しいただきありがとうございます。すいません。アーヤが余裕で崩壊を止めてます。

「もう良い。止めよ」

 武田の者たちが恐怖に支配される中で、澄んだアーヤの声が頭の中で響き渡る。頭から体全体に春風の様に光風が吹きわたり、恐怖と言う嵐を打ち消して行く。三方ヶ原にいる全ての武士に平安が戻り、時間が止まった様に目の前に広がる世界の崩壊が止まっていた。


「シャーリィよ我が下へ」

「ハァッ」

 呼ばれたシャーリィは膝をつき臣下の礼をする。アーヤはシャーリィに目を向けた後、崩壊した地に必死にしがみつく武田の者達を見て言う。

「我らがこの者達を知らぬ様に、この者達も我らを知らぬのだ。我が神と名乗ろうと主人を想い助けようとした行いだ。我はこれ程に家臣に慕われる信玄に出逢えたことに感謝し、主人の為に命さえ厭わない家臣らの勇気に敬服の念さえ抱くのだ。我はこの惑星に生きる者と、この地に住む者たちを知り、理解して共に生きたいと願う。シャーリィよ我に免じてこの者たちを許してやれぬか」

「御意に従います」

 

シャーリィの意思を確認するとアーヤの体が白金に輝き、地球が復元していく。武田の者たちの目に信じられない光景が映し出される。

 止まっていた景色が動き出した…映像が巻き戻される様に吹き飛ばされた木々が戻り、消し飛んだ山が戻り、裂けた大地が閉ざされ…先ほど合戦で信玄以外の亡くなった者達も息を吹き返しっていた。

 そのなかには前田利家の弟、佐脇 良之(さわきよしゆき)や徳川家臣の本多忠真(ただざね)、夏目吉信(よしのぶ)の姿も見えた。


 武田の者たちの体の自由が戻ると助かった事に歓喜で沸いたが………シャーリィの罵声がとび静まりかえる。

「「虫けらども本気で滅びたいならそうしてくれよか」」

 場が鎮まり全員がシャーリの言葉を待つ。


「「貴様らが助かったのはアーヤ様の慈愛によるものだ。理解できるなら態度で示せ。出来ぬものは魂ごと葬ってやる」」

 

 シャーリの言葉を受け、この場にいる者、三万人以上が一斉に地面に両手両膝をつき頭を下げた。シャーリはそれを見届けアーヤに場を譲る。


「皆にとって我は無名の神であることは十二分に理解している。信玄が我と共に生きると誓ってくれた時に約束した様に、其方らが我と共にある限りは其方らの繁栄は約束されている。だが決して傲慢になるな、常に末端の者と共にあれ。弱者を見下すな、弱者と共にあれ。この誓いが守られるなら末代まで永遠に栄え続ける事を此処に誓おう」

 

 武田だけでなく、三方ヶ原で散るはずだった徳川、織田の者までもが、今やアーヤの家臣たちと言える。その家臣たちが歓喜し三万以上の歓声が三方ヶ原に広がった。アーヤは右手を前方に差し出し歓声を静めると家臣たちに忠告する。


「其方ら。誰の為に我に切り掛かったのだ、我が夫である信玄の為であろう。その信玄が事切れようとしている」

 アーヤは最前列の中央にひざまずく者へ声をかける。

「其方が信玄の子、勝頼であろう。其方が指揮の下に我が夫、信玄を丁重に運ぶのだ。儀式を行う為に神殿へ向かう。我について参れ」

 勝頼は“何故我が名を存じているのか”と驚きの顔を見せるがすぐに頭を下げ家臣数名を連れ信玄の元へ急ぎ駆ける。

 

 エーヴィに指示を出す為に顔を向けたが、エーヴィは無言で頷き踵を返し五、六メートル歩き止まると、地上と上空に直径1kmを超えるオレンジ色に輝く十星紋の印を出現させる。

 エーヴィは両腕を広げ下から上へとゆっくりと動かすと、腕の動きに合わせて巨大な構造物が地面から浮き出す様に徐々に姿を見せていく。エーヴィの手が上げきった時、構造物の全容が明らかになった。高さ60m長さ900m幅700mの金青(こんじょう)に輝く長円のドームが現れのだ。


 無表情で控え立っていたエーヴィも武田の者たちの無礼を怒っていたのだ。シャーリィが力を誇示したようにエーヴィも力を誇示したかった。エーヴィはドヤ顔で武田の者たちを見ると、目を輝かせる者、呆然と立ち尽くす者、腰を抜かし尻餅をつく者、歓喜し驚愕しザワついていた。だがまだ腹の虫が治らないエーヴィは彩凰へ念話を入れる。


『彩凰。今から打ち出す物をブレスで破壊しろ』

 彩凰も怒りの吐口をくれたことに喜び即答する

『エーヴィありがとぉーー。全て粉砕するから好きなだけ打ち上げていいよ』

 当然アーヤも二人の念話を聞いていたが、ここである程度の憂さ晴らしをさせないと後が面倒なので、ただ溜め息を吐くだけだった。


 金青に輝くドームの屋根が低音を響かせ開くと、5発の全長80m、直径7mの筒が轟音を轟かせ打ち上げられた・・ICBMではなくISBM“星空間弾道ミサイル“一発で惑星の核を破壊する凶悪な5発が、武田軍を威嚇するだけに打ち上げられた。


 上空へ向け炎を吹き出しながら飛び続ける5発の星空間弾道ミサイルを見て、武田の者たちは皆驚愕していた。打ち出された巨大な筒が自分達を喜ばす為のものでは無いことは理解できた、なら何故打ち上げたのか………警告のため。我々を脅すための行為だと理解すると。

 アーヤにより与えられた高揚感は消し去られ恐怖し。全員が崩れ落ちた。だがエーブィの仕置きはこれからである。

 武田の者が恐怖する中、彩凰がけたたましく鳴き、上空へ向け垂直に飛び立った。“次は何を見せられるのか”恐怖で失禁し気を失う者が続出する中、彩凰から強大で凶悪な白く発光するブレスが放たれ5発のミサイルが一瞬で消滅した。


 武田の者たち全員が魂に刻んだ“アーヤ達には楯突くな。歯向かへば滅びのみ”と、そして代々言い伝えられて行くのであった。


 家臣達、兵達はまだ何かあるのか恐る恐るアーヤを伺うと、そこには項垂れているアーヤの姿がある。その様は疲れた様にも申し訳なさそうにもとれた。

 家臣たちに背中を押された勝頼がアーヤの前に来て話しかける。


「あぁあぁ……アーちゃちゃま」勝頼はかんだ、恐怖で激しく噛んだのだ。

 アーヤはそんな勝頼に、困った様に優しく微笑んで見せ話しかける。

「勝頼か。そんなにも恐るでない。今日のこれは……そうだ挨拶だ。我の従者たちが“これから宜しくねって”可愛らしく挨拶したのだ。まあ少し過ぎた事もあるが……気にするでない」

 アーヤは何とか誤魔化そうとしているが…家臣達は心の中で叫んだ。

『『挨拶で世界を滅ぼそうとするなぁーー』』


「それよりも勝頼、信玄を中へ運ぶのだ。既に事切れているからな」

 勝頼はアーヤの言葉を理解したくなかった。出来なかった。

「そぉそ…そんなことが。父上が亡くなったなんて……」

 勝頼の嘆きを家臣達が拾う

「おぉ……お館様が……」

 亡くなったとは言いたくないのが良くわかる、言葉にする勇気がないのだ認めたくないのだ。悲しみが空気感染の様に広がって行く。泣き崩れる者が続出する中、勝頼はアーヤを”騙しやなと”罵倒したい想いを堪え怒りを抑え、震える唇でアーヤに問う。

「……アーヤ様は父上をお救い下さると仰ったではありませんか。何故に父上が……」

 

 勝頼は最後まで言い切れなかった。言ってしまうと自分が抑える事が出来ないと思ったからだ。自分の行いで皆を世界を滅ぼす訳にはいけないと必死に耐えた。

 悔しさの余り下唇を噛み切る程に耐えたのだ。勝頼の姿を見て家臣たちが勝手に動く事が出来ずにただ耐えた、握った拳から血を滲ませながらも悔し涙で顔を濡らしながら耐え抜いた。


 アーヤは思う。“なんと誇り高く猛々しい者たちか”と。そして心の中で誓った“我が神名に掛けこの者たちを庇護しよう”と。

 アーヤは秘技女神の微笑みを使い、自分より背が高い勝頼の顔を見上げながら左手を勝頼の切れて血が滲む唇に優しく添わすように当てて話し掛ける。

「我は命を司る神よ。勝頼よ、其方は我を見くびっているのか」

 勝頼は心の痛みと唇の怪我が癒えて行くのを感じ、ただアーヤを無言で見つめる。


 見つめられ続けるアーヤはそれを気にするでもなく、体を家臣団に向け一人一人の手を取り心と体の傷を癒し「よく耐えた」と声を掛けながら周り、最後は全員に届くよう言葉に癒しの力をのせ口上する。


「皆のものよく聞くが良い。我が神名アーヤにかけ我が夫であり其方らの主人信玄が其方らの前に再度姿を表す事を誓う。そして其方らはこの時より我が庇護下に入る。

 それは此処のもの全てが、其方らの愛おしく想う全てが老朽ちるまで命が絶つことは無い。それは戦場でも変わる事が無い。其方らは戦場では死なず、愛する人の下で暖かな床の上でのみ死を許された者達。良いか死を恐れる事なく修練せよ。己を磨き慈愛を持って他者と接しよ。これは末代まで続くアーヤとの契約である」

 兵士たちの歓声で沸き立つ中アーヤはそれを制する事なくアーヤは続ける。

「長きの軍行、数多の戦により疲れた身体を神殿で癒す事を許す。それぞれの(おさ)の指示の下で行動せよ」


「上位の者達30名ほど連れて本殿に向かう。それ以外の者は神殿施設で身体を癒すが良い。では参ろうか」

 アーヤが勝頼を見て言うと困ったように勝頼が口を開く。

「施設とは一体どのような物で…全員とは小荷駄隊までの事を言われているのですか」

「その様な些事どの様にもなろう。今は信玄が最優先では無いのか」

「父上は既に事切れていますのでアーヤ様が落ち着いていられますから我らが右往左往しても仕方ないこと。それよりも皆が戸惑はないようする事が大事かと」

 勝頼がアーヤを信用しているのが嬉しかったのだろう。気持ちを隠す事なく嬉しそうに信玄を見る。


 その様子にアーヤの従者全員が思う“やりすぎる”と。武田の者たちの手前でアーヤに忠告も出来ず黙認するしかないと悟ると、アーヤが侍女頭代理を呼び勝頼に紹介する。

「施設の使用はこの者たちに聞くがよい。末端の兵まで全員に施設を使用させよ。何度も言うが末端の者を疎かにするなよ。其方らは末端の者に生かされている事を忘れるな」そう言いエーブィを見る。


「エーヴィ門を開けてくれるか」

 エーヴィは頷き勝頼たちが置物だと思っていた20mを超える明王にも似た石像が動き出し、1枚が縦30m横15m厚さ2mの鉄の扉を、ゴォゴォゴォゴォと音を立てて引き開けると、アーヤに出会い驚かされ続けた武田家臣団は余程の事がなければ驚きまいと思っていたのだろうが……皆が驚きの余り顎が外れた。

 

 その様を気にせずにアーヤたちがスタスタと暗闇の中を入って行くのを見て、武田家臣団は急足で後を追う。通路と言うには規模が大きすぎる。トンネルの先にはの明かりが見えるが、

 武田の家臣団は足元は暗く歩きにくい中、アーヤ達に遅れ始めると、手前から奥に向かい光が灯し始めトンネル内が明るくなり全容が見えた時、武田家臣団は恐怖の余り足がすくみ歩みが止まる。

 

 左右には数十体の7mもある明王に似た石像が、左手には松明を持ち、右手は剣を振り上げ、武田家臣団を睨む様に立っていた。門の前にいた石像も動かないと思ていたものが動き出したように、今この時にも動き出したらと思うと……恐怖で足が動かないが、唯一の救いであるアーヤを探すと、既にトンネルを出ようとしていた。

 救いを求めて彼ら武田家臣団は必死に走った。走りアーヤ達に追いついた安堵からの余裕が生まれると、トンネルを抜けたことを知る。

 これで”一息付ける”と思い進行方向に目を向けると、先には高さ20mはある黄金の六角錐の尖塔が建っており、尖塔を囲む様に内から外に高くなるように階段状の建造物が確認できた。


 現代人ならば見た瞬間、それは住居又はリゾートホテルに見えるだろうが、それを知らない彼ら武田家臣団は、その等間隔配置された窓やガラスの扉を狭間(さま)に見えてしまった。

 ※狭間とは天守や堀の壁面に開けられた小さな窓。丸、三角、四角(長方形)の形状があり、敵を狙い撃つ為の穴。


 建造物を確認した瞬間に馬場信春が叫んだ「「お館様を守れぇーー」」

馬場の号令で武田家臣団は一斉に動き出す。信玄を運んでいた板戸が地面に置かれると、信玄を中心に二重三重の人の壁が出来上がり、武田家臣団は抜刀し槍を構えた。


 





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