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【完結済み】社畜にもなれなかった俺が、JSに転生して経営の才能が開花した件 〜駄菓子屋からはじめて100億円企業を創るまで〜  作者: しけもくパイポ
第一章 最初のビジネス

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下の名前で呼ばれたい

 労働。それは国民に課せられた義務である。


 (働かなきゃ……)


 こんなこともとの姿の頃は少しも思わなかったのに、働かなければ明日食う飯もないのだ。叶は甘えてもいいのだと言ってくれたが、いつまでもそうしているわけにはいかない。


 チャッピーを働かせようかとも思ったのだが、彼女には戸籍もなければ身分証もない。これでは働き口もみつからないのがわが国なのだ。さてどうしたものか。悩める小学生である。


「あー早く家に帰ってお菓子食べたいなあ」


 冴が無邪気に言う。冴、芽依、そして俺は、いま一緒に下校しているところだった。みんな偶然南門側に家があるもの同士で、必然的に同じ道を帰ることとなったのだ。


 とはいえ南門を出てすぐに家に着く。そう、一緒に帰るといっても、ものの5分ほどなのである。少し名残惜しいような、なんというか。


「じゃあ、家ここだから」


「近っ。いいなあ縋野さん」


 冴たちはここからさらに15分ほど歩くらしい。二人は家が隣同士で、幼い頃から家族ぐるみの付き合いなのだという。


「家が近いと朝ぎりぎりまで寝れていいなあ」


「冴はいっつも授業中寝てるもんねぇ」


「寝てない! 睡眠学習だ!」


「寝てるじゃん」


(うーん。幼馴染の女子小学生、尊い!)



「じゃあ縋野さん、また明日な!」 


「うん、また……」


 明日。言いかけて、やめた。胸がきゅぅとなる。明日への漠然とした不安からか、小学生を謳歌してしまっていることへのいたたまれなさからか。あるいは明日には異形の何かになっているかもしれないという恐怖か。多分そうしたことに起因する感情だろう。


 それにしても“縋野さん”か。なんか叶の苗字で呼ばれると、まるで俺が婿養子にでも入ったかのようでむず痒い。せめて下の名前で呼んでくれれば、元の苗字と同じ(イントネーションは「育児」と同じ「和泉」から「仕組み」と同じ「泉」となったのだが、みんな地方出身者の大訛り少女だと思えば、まあ)だから照れることはないんだけど。


 うん、だからだな。だから早く名前で呼ばれたい。下の名前で呼ばれたい。仲良しの印が早く欲しいとかそんなんじゃなくて、縋野姓に慣れるのがよくないから。だから、下の名前で呼ばれたいなあ。いやほんと、ほんとに。

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