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第1話 おねえちゃんだから

新作ですん!


今日は四話



「おかあさん、大っ嫌い!!」



 言っちゃった。


 言いたく……なかったのに。


 あたしは、おかあさんに言ってから……返事を聞きたくなくて、お店から出て行った。


 水乃(みずの)町のパン屋、『ルーブル』。そこがあたし、水城(みずき)桜乃(さくの)のお家。


 おじいちゃんが最初だってしか、あたしはよくわかんないけど。おとうさんがてんちょーさんになっても、お客さんはたくさん来るんだ。


 あたしは、学校から帰って……お店を手伝うのをがんばるのが今年からのもくひょー。


 しょーらい、パン屋さんになるのが……あたしの夢なんだ。


 なんだけど。



「……あたしのバカ」



 夢とかもくひょーがあったんだけど。


 学校に入学して、二年目になった今年で……変わったことが出来た。


 あたしに、弟が出来たの。


 小さな小さな赤ちゃん。


 可愛くて……ちっちゃくて、あたしの大事な弟なのに。


 おかあさんが……ずっとずっと一緒なのが、あたしにとって寂しかった。


 弟……宙太(そらた)は、赤ちゃんだからおかあさんがいなくちゃいけないのは、わかっているのに。


 いつもは、学校の宿題やお店のお手伝いをしたら……ほめてくれるおかあさんが、宙太のことばっかり。


 夜、一緒に寝てたのに……宙太が『よなき』って言うのをするから、おかあさんもだけどおとうさんも大変。


 あたしも……うまく寝れない。でも、赤ちゃんには大事なんだって。


 おねえちゃんだから、わかって。


 この言葉も何回聞いたのかな?


 それが……だんだん嫌になってきて。


 多分……おかあさんが大変なことで、一緒に居られないのが嫌で。


 宙太がちょっとだけ大きくなった頃には……もう『嫌』がダメだった。


 あたしは……おかあさんにいつも言われる『おねえちゃんだから』に、ぷっつんってしちゃって。


 言いたくないことを言っちゃって……お店から出て行ってしまった。


 すぐに……反省したけど。



「……どうしよう」



 走っていたら、おじいちゃん家の方まで来ていた。


 おばあちゃんはいないから……お家の中かな?


 あたしのお家は、お店以外に二つのお家があるの。おじいちゃん家とあたしのお家。にせたい? って言うんだっけ? そう言うお家。


 だから、おじいちゃんのお家にはすぐに来れるんだけど……気づいたら、『蔵』の前まで走ってたみたい。


 後ろを見ても、おかあさんはいなかった。



「……来ない、よね」



 宙太がいるから走れないもん。


 だから……また悲しくなってきたけど、あやまるにもどうしたらいいかわかんなくなって。


 とりあえず……一人になりたくて。


 あたしは、おじいちゃんのお家にも行く気になれず……蔵の中に入ることにしたのだ。

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