7話 ゴブリン
マルス、トリス、ジミー、バークの4人は隣村へ向かっていた。
「マルス、火魔法で魔物を殺せるかな。」
「どうだろう、まだ火魔法を魔物につかったことが無いから分かんないな。」
「そうだよね、魔物が今はいなくなっているからね。」
「魔物は必ず戻ってくるからそれまでには魔法や剣、槍、弓で魔物を倒せるようにしないとな。」
「そうだよね、魔物を倒せないと住んでいられないもんね。」
「そうだよ、もう大人がいないんだ俺たちだけで全部やらないと行けないんだぞ。」
「そ、そうだった。」
「今回ジャガイモを確保したら、当分は食料に困らないからあとは訓練だな。」
「そうだよな、早く強くならないといけないもんな。」
マルスたち4人はとなり村まで走っていった。1日半で隣村に着きすぐにジャガイモ収穫に入る。
時間をかけて行う事は考えていない。村を離れる時間を少しでも短くするためにみんな必死でジャガイモを収穫している。
「マルス、明日にはジャガイモの収穫は粗方終わるね。」
「そうだね。明日一杯収穫してから、次の日の朝ここを出る事にしよう。」
「そうだね、夜の出発はないね。」
それからはみんなでジャガイモ堀に専念していた。リヤカーを4台探し出して利用できるようにした。リヤカーにジャガイモを乗せて乗らないものはこの村で保管する事にした。この村の地下倉庫2か所に保管する。
「大丈夫かな、盗まれないかな。」
「バーク心配し過ぎだよ。」
「この場所を知っている者はこの4人と多分地下倉庫があると分かっている者だけだろう。地下倉庫があると知っている者はこの村の住人だけだろう。もしジャガイモが無くなっていたらこの村の生き残りがいるかもしれないじゃないか。逆に期待しろよ。」
「そ、そうだよね。生き残りがいるってことだよね。」
「それじゃ積み終わったら今日は早めに寝て明日は夜明け前に出発するぞ。」
「マルスその前に飯にしようぜ、腹が減って眠れないよ。」
「あっ、そうだね、なら野菜を煮て食べようか、干し肉も中にいれれば美味しくなると思うよ、エミーが行っていたよ。」
「マルスはエミーといつも仲良しだね。」
「そ、そんなことないよー。は、はやくご飯を作ろうよ。」
「うひひひひひっ」
「トリスはご飯がいらないみたいだね。」
「ご、ごめんマルス。」
「冗談だよ、早くご飯を作ろう。」
マルスたち4人は元のバークが住んで居た家で野菜たっぷり干し肉入りのスープとジャガイモを入れた具沢山スープを作っていた。
「ジャガイモは4つぐらいに切らないと中に火が通らないからね。生で食べることになるよ、気をつけてね。」
「わかってるよー。今切ろうとしてたんだよ。」
「なんかいい匂いがしてきたね。」
「そうでしょう、色々な野菜を入れるとコクが出るんだ。今回は干し肉も入っているからね。」
「いいかいこの串がジャガイモにすっと入ったらジャガイモの煮えた証拠だから覚えて置いてね。」
「マルスは物知りだな、流石村長の子供だなーー。」
「もういいころだね、熱いうちに食べようか。」
「「「「いただきまーーす。」」」」
「あっ」「あっちぃ」「でも美味しい。」「うまうまー」
翌朝まだ夜明け前にマルスたちはとなり村を出て西13村へ向かった。
リアカー4台を一人一台引きながらの道のりはもの凄く大変であった。
丸二日かかりもうすぐ西13村という所まで来ていた。
「マルス村の方でなんか燃えていないか。」
「んーー、あーーっ、柵から魔法を撃っているんだ。みんなリアカーを置いて村に行くぞー。」
マルスたち4人は全速力で村へかけた。近づくとゴブリンであろう魔物が柵の中に入ろうとしていた。マルスは走りながら魔物に向けて火魔法を放った。「いけーファイヤーー。」マルスの放ったファイヤーはバレーボールぐらいの大きさの丸い火の玉であった。魔物は気づいておらず柵の穴に手を突っ込んでいて動けないようだ。そこにマルスの放ったファイヤーボールがゴブリンの頭に命中した、ゴブリンは突然自分の体が火に包まれてもがき苦しんでいる。そしてゴブリンは燃えて動かなくなった。
まだゴブリンは2匹残っていた。だがその2匹は重傷でほぼ死にそうであった。村に残っていた子供たちはゴブリンをいち早く発見して柵の中に避難をした、ゴブリン3匹は人間の子供と気づいたのだろう。ニヤニヤしながら近づいてきた。
近づくことはできたが柵に阻まれて戸惑っているゴブリンに、村に残っている子供たちはいっせいに火魔法を撃ちこんだ。はずれる子も何人かいたがみんな2発か3発火魔法を撃ちこんだおかげでゴブリンは虫の息となっていた。」
マルスはそんなゴブリンに止めを刺していく。
「みんな無事かーー。」
「マルスーーー、おかえりーー。」
「マルスだー。ゴブリンをやったよーー。」
「おかえりーー。」
残っていた子供たちは全く怖がっていなかった。マルスはあれっと思ったが流れに任せた。
「エミー、だいじょうぶだった。」
「マルス、大丈夫よ。みんなで魔物が来た時の対応を練習してたの。上手くいったわ。」
「おーー、そんな事してたんだエミーはやっぱりすごいなーー。」
「何言っているのマルスがみんなに魔法を使えるようにしたから出来る事よ。魔法が使えなかったら死んでいたわ。」
「そんなことないよ柵が役立っていたよ、槍でもゴブリンなら倒せるね。」
「そうかな。柵の穴から槍を突き刺すんでしょう。火魔法の方が遠くへ飛ぶし安全だわ。」
「まぁそうだね。でも魔法ばかりだと近づかれたときに危ないからみんなで槍の訓練もしないとな。」
「マルスそれよりジャガイモはどこ。」
「あーー、みんな取りに行くぞーー。」
マルスたち4人は大急ぎでリヤカーまで戻り村へリヤカーを引っ張っていった。
「みんなこんなに、ジャガイモ持ってきたぞーー。」
「「「「おおーーーーー。」」」」
リアカー4台に積まれたジャガイモは子供12人が食べるには多すぎるぐらいの量であるが人が増えた時に足りなくならない様にマルスはもってきた。
「エミー、ゴブリンが襲ってきたのは今日が初めてなのか。」
「そうよ見張りをみんなしていたけどスライム以外で魔物を見たのはこのゴブリンは初めてね。」
「魔物が森に戻ってきているのかな。」
「そうなるわね。もう森の方はいけないわね。」
「でも一度確認に行かないといけないな。」
「えっ、マルスもしかしてマルスが行くつもり。」
「そうだよ、俺しかいないでしょう。」
「・・・・そうだけど、あまり危険なことしないで。」
「エミーみんなを守らないといけないんだ。俺も怖いけどやらなければいけないんだよ。」
「そうよね、ごめんねマルス。マルスたちがいなくて心細かったの。」
「あっそうだね、気づかなくてごめん。」
「もう平気よマルスが戻ってきたんだもの。フフッ。」
「よーーしみんなー、今日はみんなでジャガイモパーティーだ。」
「おおおーー。」
みんなで早速ジャガイモ入りのスープと残りの麦を使いパンを焼いた。
「みんな今日はゴブリンがこの村に襲って来たけどみんなの魔法で倒すことができた。魔物を倒したお祝いだ、今日はお腹いっぱいたべるぞーーー。」
「おーーーー。」
「「「「「いただきまーーーす。」」」」」
子供達12人はご飯をお腹いっぱいになるまで食べた。小さい子供たちは楽しいのか大はしゃぎしている。マルスたちがいない間、小さい子供たちも頑張っていたようだ。マルスたちが帰ってきて凄く安心していることが分かる。マルスはもう少し色々と計画を立てないと拙いなと思うようになってきた。
これからは魔物の襲撃が出てくると予想される。夜も見張りをきちんとしなければならない。12人ではどうしても人数が少なすぎる。
マルスはみんなとご飯を食べながら笑顔をつくり考えこんでいた。
「どうしよう。」