6話 魔法の練習
翌日
みんなで柵を作っているバークの指導のもと、何とか形になってきている。
「あっここはね木をバッテンにするんだ、そうすると強くなるんだよ。」
「ありがとう。こうだね。」
「そうそう。あっそこはね下を重くするために太い木にしようね。」
12人は穴を掘り高い柵を埋めて衝立をつくり梯子をつくり上に登れるようにしていった。上に登れば見張りが出来る様になり魔物が来ても早く気付くことが出来るようになる。
スタンピードのようなものは防げないが2,3匹の魔物ぐらいなら何とかなりそうになってきた。
マルスは又スタンピードのようなことが起きれば地下倉庫に入る事にしていた。
数日かけて柵を完成させたマルスはエミーと村の外に来ていた。
「エミー、10歳の儀のこと覚えているよね。」
「勿論よ、まだ一月も経っていないもの。」
「10歳の儀でさぁ俺は鑑定と融合と分離の3つのスキルだったんだ。」
「・・・・・鑑定は便利なスキルね。」
マルスはスタンピード後に村の外での出来事をエミーに伝えた。
「うそ、融合ってそんなことが出来るの。」
「それでね実験したいんだ、協力してほしい。」
「まさか私と融合して私の体をもてあそぶの。」
「エ、エミーそんな事しないよーー。」
「冗談よ。マルスって少し真面目なのよ。」
「融合って言ってもね手と手と繋ぐだけなんだ。」
「えっ、手を繋ぐのなんか恥ずかしいよー。」
「ち、違うんだ手と手を融合するんだそれでスキルをエミーに魔法スキルが残せるか実験したいんだ。」
マルスはエミーと手を繋ぎ融合してみる。だが手と手を融合しただけではスキルを移すことはできなかった。
「一部の融合だけじゃだめかー。人間同士の全部の融合は怖いしなー。」
「マルス、マルスはスライムのライムと融合したんでしょう。それで平気だったんでしょう。」
「うん何ともなかったよ。」
「なら私もスライムと融合してみる。融合できれば分離も出来るでしょう。」
「あっ、そっかーー。自分だけじゃないんだよね。じゃぁスライムを探そう。」
マルスはスライムを捕まえてきた。そしてエミーにスライムを持たせてエミーとスライムを融合させる。「融合」
するとエミーとスライムは融合が成功した。
「エ、エミー大丈夫何か変わったことはない。」
「マルス、大丈夫よ別に普通ね。」
「そうだよね、俺もスライムと融合しても何も変わらなかったもんな。」
マルスはエミーを鑑定してみると。エミーはスライムと融合していることが分かる。種族は普人から種族欄は空白になっていた。エミー 女 10歳 レベル2 スキル 料理 収納 弓 火魔法となっていた。
「エミーって料理スキルがあるんだね、だからごはんが美味しいんだね。」
「そっかマルスには今見えているのね、ごめんね私弓のスキル貰っていたの黙っていてごめんね。」
「ごめん黙ってみちゃって。」
「マルスならいいよ。」
「あっ、火魔法がスキルについているからこれで分離してエミーに火魔法が残ってくれれば成功だね。」
「うん、マルスお願いね。」
「それじゃぁ行くよ。分離」
マルスはエミーに火魔法が残るようにイメージをしてエミーとスライムを分離させる。
「成功したみたい。エミー、ファイヤーを出してみて。」
「ファイヤー」するとエミーの手先からボッと火が出てきた。
「うおーーっ。成功だね。」
「えーーー、私魔法使ったの。凄い。」
エミーは嬉しいのか何度も何度も火魔法を空に向かい放っている。
「エ、エミー少し話をしよう。」
「あっ、ごめん。マルス私物凄く嬉しいわ。ありがとうね。」
「いいよ、それでねエミー。今俺たちは子供だけしかいないいだろう。だから魔物とかが襲ってきた時にみんなが戦えないといけないと思うんだ。だからエミーが魔法を使えるようになったからみんなにも魔法とか色々なスキルを使えるようにしようと思うんだけどどうかな。」
「んーー、そうねいいと思うけど10歳の儀の前でいいのかな。」
「そうか、10歳の儀でスキルを教会でもらうんだよね、その前にスキルが使えるようになったらまずいのかな。」
二人はいくら考えたが分からない。仕方がないのでみんなの意見を聞くことにした
その日のみんなに伝えると。
「マルス何言ってるんだよ。10歳の儀なんて教会で受けられるか分かんないし。」
「そうだよ。今スキルが貰えるならその方がいいよ。」
「うんうん。」
「絶対そうだね。」
「テミとシルクはまだ分かんないかもしれないけどスキルを使えるようになると。ここでの生活が楽になるんだ。どうする。」
「テミはスキルを貰いたい。」
「シルクもスキル欲しい。だって10歳の儀は教会に行かないと行けないんでしょ。もう教会ないもん。」
「・・・・・・・・」
「そうねテミ、シルク。明日5歳の儀をやりましょうね。」
「ほんとーー、エミーおねえちゃん。」
「よしそれなら明日はみんなでスライム探しをしよう。」
「おー。」
翌日は朝からみんなそろって村の外へスライム探しに出かけた。みんな一緒の行動となりスライムを見つけるたびに1人ずつ融合して分離していった。スライムは火魔法を所持している事が多く、次いで水魔法、土魔法、風魔法の順であった。治癒魔法や付与魔法持ちは少なく、光魔法のスライムは見つける事が出来なかった。マルスはスタンピード直後で貴重なスライムが、森などから多く出てきていたところを見つけたようだ。
「取りあえずは火魔法と水魔法は全員が使えるようになったからな。後は後日またみんなでスライム探しをしような。
「マルスぅありがとう。頑張って魔法の練習するよ。これで父ちゃんの敵がとれる。魔物をやっつけるんだ。」
「ルイス、すぐには魔物を魔法ではやっつけられないぞ、一杯練習して、火魔法を使えるようにしないとな。そうだ明日から仕事が終わったらみんなで魔法の練習しよう。」
「おおー、そうだね。速く魔法を一杯使えるようにならないと魔物が来たら負けちゃうからね。」
魔法の練習と言ってもマルスも魔法が使えるようになってまだ数日しかたっていない。人に教得る事などできない。マルスは必死に考えた。火魔法が使えれば魔物を追い払うことが出来るのは知っている。魔物は火を恐れている。魔物だけではなく動物は火を恐れている。マルスは火を飛ばす事と水を出すことを最初に訓練することにした。火を飛ばせれば魔物を追い払うことが出来る、水を出すことが出来れば水を飲む事が出来る生き残れることが出来る。まだ5歳の子供もいる中、魔物と戦い勝つことは考えていない。追い払う事が出来ればいいのだ。
今の所この村に魔物は戻ってきていない、だがいつ戻ってくるか分からない状態の為、少しでも早く魔法を使えるようにしないといけない。
翌日から畑の仕事などが終わるとマルスはみんなを集めて、火を出す訓練から始める。まずマルスがお手本を見せる。実際に見たことを思い出しながら炎を出し練習をしていった。みんな驚くべき速さで習得していった。子供でも魔物への危機感が高い、目の前で親が食い殺され、友達が殺されている。子供たちは少しでも早く戦えるようになりたいという気持ちが魔法を使えることにつながっている。
教えるマルスの方が必死になっていた。マルスも魔法を使い始めて日がたっていない。エミーと相談しながら魔法の使い方を研究していった。研究して実験した次の日にはみんなに教えるというサイクルを繰り返していった。
隣村にもジャガイモを取りにいかなければならないがみんなが魔法を使えるようになった方がいいと思い。隣村へは魔法の訓練が落ち着いてから行く事になっていた。
少しずつだが火魔法が飛ばせるようになっていった。魔物に当てたことがないので威力はまだ分からないが、追い払う事は出来そうだ。
一段落した魔法の練習をこれからは各自で練習として、マルスは隣村にジャガイモを取りに行く事にした。マルスが隣村に行く事を伝えると、みんながもめてしまった。誰が一緒に行くのかをもめている。マルスも困ってしまった、そこにエミーが仕切った。一緒に行くのはトリス、ジミー、バークの3人にしたのだ。みんなは自分たちも行きたいとなったが。ジャガイモを運ぶのに体の大きい人優先と言われみんなを納得させた。
心の中でマルスはエミーに拍手を送っていた。
「エミー凄い。」