5話 カレンとバーク
バークとカレンの住んでいるという家に案内された。
魔物に壊されていたが家を直してある。バークとカレンが二人で住めるようにしていた。
「こっちにどうぞ。」
「うんありがとう。」
マルスは持ってきた干し肉をバークとカレンに渡す。
「貰っていいの。」
「いいよ食べて、俺たちは魔物の干し肉はまだあるから遠慮しないで食べていいよ。」
「「ありがとう」」
二人はお腹が空いていたのだ、残り少ない食料を節約しながら食べていた。それでもマルスに少しなら分けると言うあたりかなりのお人好しに見える。マルスはこれじゃ生きていけないだろうと思ったが何も言わなかった。
干し肉を3人で食べながらこの村のことを聞く。
「怖かったよ、一杯の魔物が村の中に入ってきて人を食べていったんだ。僕とカレンは木の上にいたから気づかれなかったみたい。木の一番上まで登っていたからかもしれない。」
「村の人たちは埋めたの。」
「そうだよ、もう骨になっていたからね。そのままだと可哀そうだったんだ。」
「あのー、私たちを隣村に一緒に連れて行ってくれませんか。」
「カ、カレン無理な事は言わないの、食料が無いのに二人も増えたらみんな餓死しちゃうよ。」
「だってこのままなら私たちは食料が無くなってしまうわ。」
「・・・・・」
「いいよ一緒に行こう。何とかなるよ。」
「えっ、いいんですか。」
「その代り頑張って仕事してね。」
「「うん、どんな仕事でもするよ。僕は大工の息子だったんだ。少しなら大工仕事は出来るよ。」
「大工かありがたいね、西13村の子供たちはみんな農家の子供だからね、助かるよ。」
「あ、あの私は薬をつくれます。薬草はないけど、集めれば傷薬とか簡単なものは作れます。」
「おおーー、薬が作れるのはいいねーー。」
それから3人は色々と話をした。各家の食料は殆んど食べてしまっていたが、畑に残っている野菜等は手を付けていなかったようだ。畑は魔物に荒らされている為に全滅と思っていたようだ。マルスは土の中に埋まっている野菜等はまだ食べられると説明をして明日から野菜等の確保をしていくことになった。村の家にも塩などを探すためにもう一度見て回る事になった。
翌日
「おっ、このリヤカー使えそうだな。」
「野菜を載せられるね。」
「そうだな、じゃぁバークとカレンは家々を回って塩と使えそうな物をリヤカーに積んできてくれな。時間が無いから急いでくれ、俺はその間に畑の野菜を持ってくるから、終わったら手伝ってくれな。」
「うん急いで回るよ、でもこの畑ジャガイモしかないよ。」
「えっ、ジャガイモ。」
「そうだよ、うちの村はジャガイモを専門で作っていたんだよ。少しは他の麦や野菜もあるけどほとんどジャガイモだよ。」
「おーーーっ、ジャガイモは日持ちするから一番いいよ。」
「えーー、そうなの。いつもジャガイモ食べてたけどだけど知らなかった。」
「そうだよもし持って帰れないほど残っていたら倉庫かどこかに隠しておこう。そうすれば又取りにくればいいしね。」
「分かった。」
「じゃぁ早速、始めようか。」
マルスは畑へバークとカレンは各家々へとバラバラになり食料等の確保に向かった。
マルスが畑に着いて見たものは魔物に踏みつぶされた畑であった。だけどマルスはニンマリとした、ジャガイモは土の中にあるから無事だと思っている。マルスは畑でジャガイモを掘り起こしていく、魔物に踏みつけられていた畑は少し固くなっていたがジャガイモは無事だった。この村の畑はジャガイモが大量にあった。マルスはすべてを持って帰る事は諦めていた。ある程度持って帰り、今度は人数をそろえてまた来ることにする。ジャガイモがあれば食糧問題は解決される。全員で12人しかいないために持って帰れるものだけで数か月は持つと思っていた。
マルスはひたすらジャガイモを掘っていた。もうリヤカーが満杯になってしまった。まだジャガイモは畑に埋まっている。「こりゃ一人じゃ無理だな。」
そこに丁度、バークとカレンがやってきた。
「マルス君、塩とか食べ物とか色々な物を持ってきたよ。でも食べ物はもうあまりなかったよ。」
「お疲れさん、食べ物はジャガイモがあるから大丈夫だよ。」
「す、凄い量だね。これ腐らないの。」
「保存をしっかりすれば何か月も持つよ。」
「へぇーーー、物知りなんだね。」
「農家ならみんな知ってるぞ。」
「・・・そ、そうなんだ。」
バークはがっくりと肩を落としている。それをカレンが一生懸命に慰めている。マルスは何かほほえましいなと思いながら眺めていた。
「お二人さん、イチャイチャしてないでジャガイモ掘るぞ。」
「えっ、イチャイチャなんてしてないよーー。ねーカレンー。」
「バークは鈍感だなー。なぁーカレン大変だな。頑張れよ。」
「・・・・・・バカ。もう知らない。」
カレンは畑に駆けていき一人でジャガイモを掘っていた。マルスはそれでも仕事をしているカレンに素直に感心していた。対するバークはボケーっとしている。「ほらカレンと一緒にジャガイモ掘ってこい。」
「うん分かった。」バークはカレンの近くに行き一緒にジャガイモを掘っている。
3人はジャガイモ掘りを一日中行った。かなりの量のジャガイモを収穫したがすべてを持って帰る事は出来ないので、リヤカー2台分を持って帰る事にした。残りは地下倉庫にしまって分からない様に隠した。
「これなら分からないだろう、まだ畑にもジャガイモはあるから一度帰ってから又来るようにしないとな。」
翌日マルスたち3人は日が昇るとすぐに西13村へ向けてリヤカー2台を引っ張って村を出ていった。
1台はマルスは引いてもう1台はバークとカレンが二人で引いている。
魔物がいないので順調に進んだが村へ戻るまでに2日かかってしまった。
「みんなーーーただいまーー。」
「あーーー、マルスーーー。」
「マルスだー、おかえりーー。」
「おかえりーー。」
「マルス、無事だったのね良かった。」
「エミーただいま。これ見てジャガイモだよ。」
「うわーー凄い量ね。これで当分は食料の心配しないで済むわね。」
「まだとなり村にジャガイモがあるんだ。」
「また取りに行ってくるよ。」
「えっ、すぐに行くの。」
「ううん、2,3日後に行くよ、流石に疲れたからね。それに今度は5人位で行こうと思うんだ。」
「そんなにジャガイモがあるの。」
「となり村はほとんどがジャガイモ畑なんだ。」
「マルス、後ろの二人を紹介してくれる。」
「あっ、ごめん。」
マルスはエミーと喋っていてバークとカレンの事を忘れていた。バークとカレンはどうしたらいいのかが分からずにじっと待っていた。
「えーーっと、となり村で生き残った。バーク君とカレンちゃんだよ。」
「初めまして私はマルスの幼馴染のエミーです、これからよろしくね。」
「は、はじめまして僕はバークです。」
「始めまして私はカレン9歳です、宜しくね。」
「フフッ、カレンちゃんとは仲良く出来そうね。」
「エミーさんそうですね。フフッ。」
マルスとバークは二人の会話をボケーーっと聞いていた。
それから他のみんなにもバークとカレンを紹介して仲間になる事を伝えていった。
それから夜ご飯はジャガイモを蒸かしてみんなでホフホフ言いながら食べた。
翌日はバークがみんなに大工仕事のやり方を教えることになった。近いうちの又魔物が戻ってくるかもしれない。そのために丈夫な柵を2重に作ろうとみんなで考えた。魔物と戦うためには柵の上から魔物に攻撃するしかできない。まだ子供である12人は正面から魔物と戦えない事は分かっている。楽に乗れるように柵を作る事になった。
マルスは12人全員で柵作りを行ない柵を早く完成させることにした。
「みんな明日から柵をつくるぞーー。」
「おー。」