4話 隣村
マルスは村を離れて村の周りを調べている。実際は魔法の訓練と実験をしている。
スライムを探しスキルを吸収している。同じ魔法を吸収すると威力が少しだが上がる事を突き止めたマルスはひたすらスライムを探しまわっている。
スライムは至る所にいる。体が軟体であるためにどこでも入っていける。少しの隙間があればその中に入る事が出来る。
スライムはスキルを取られても普通にしている。スライムはスキル自体を使っていないのだろう、だけど不思議だ使えないスキルをなぜ持っているのだと疑問を持ってしまう。マルスは実験をしてみる事にした。
まずは相棒であるスライムが、他のスライムからスキルを吸収できるかやってみる。
マルスはスライムに話しかけるが返事がない。当たり前だ。
意思疎通が出来ないのだから通じるわけはなかった。がっくりとするマルスであったが何か方法がないか探してみる。
マルスは閃いた。スライムと融合してスキルを吸収し、分離するときにスライムに残せればスライムにスキルを付けることが出来るかもしれないと思い。スライムと融合してみる。融合したマルスライムは火魔法スキルをスライムから吸収してみる。きちんと吸収が出来た。「分離」マルスはスライムと分離するときに吸収した火魔法をスライムに移るように意識をしながら分離した。スライムを鑑定すると火魔法が付いていた。マルス自身を鑑定してみると。自分の火魔法もきちんと残っている。「おおーーー成功だな。」
マルスは又スライムに話しかけるが何を言っても通じない。またがっくりと肩を落とすが仕方がない。
「なぁライムお前と話せないのかな。」
「マルスはスライムに名前を付けて話しかける。だがスライムは返事をしてくれない。」
マルスは何か方法がないかと考えている間、スライムはマルスの周りをウロチョロとしている。
「まぁ考えても答えは出ないよな。試してみるか」
マルスはいったんライムの事を考えることを止めた。他のスライムを探して色々と試そうとしている。ライムで試して殺してしまってはいけないと思い、他のスライムで実験をするつもりなのだ。
マルスは適当なスライムと融合する。このスライムは水魔法を持っていた。そして水魔法を残るように意識しながら分離してみる。「分離」
すると分離後に水魔法はマルスの中に残っている。スライムを鑑定してみると、スライムの水魔法は消えていた。「おーーー。」
「あれ、これって吸収スキルいらなかったんじゃないのか。でもまぁいつでも融合できるとは限らないしな。」
マルスの実験は続いていく。融合と分離を繰り返しスライムからスキルを取る時に半分だけスライムに残るように意識して分離を行なうと。スキルがマルスとスライムに二つに分かれていた。マルスが二つに分かれたスキルの鑑定をしていると、鑑定の内容が変わった。鑑定にもレベルがありレベルが上がったようだ。
スキルのレベルが見れるようになっていた。
普人種 マルス・ケントレー 男 10歳 レベル6 スキル 鑑定2 融合1 分離1 吸収1 火魔法2 水魔法1 土魔法1 光魔法1 治癒魔法1 付与魔法1 剣1 俊足1 強化1となっていた。
そしてスライムをもう一度鑑定してみる。 スライム レベル1 スキル 水魔法
「あれ、水魔法のレベルがない。」
マルスは他のスライムを鑑定してみる。「鑑定」 スライム レベル1 スキル 土魔法1
「そうかスキルには1以下もあるのか。」
マルスはスライムを鑑定しまくった。そうするとスライムにもスキルレベルに違いがあるのが分かった。スキルレベル1のスライムや、数字無しのスライム、さすがにスキルレベル2のスライムはいなかったが、スキルレベルが上がればスライムでも魔法が使えるのでは疑問が浮かんできた。
マルスは実験することにした。ライムと融合して自分の火魔法を分離時にライムに残す様にしてみた。
ライムに火魔法2が残っていた。後はライムが火魔法を使えるかだがライムにいくら火魔法をつかえと言っても使ってくれない。ライムをじっと観察してもうあきらめかけたとき、ライムはスライムへ向けて火魔法を放ったのだ。一瞬の炎であったが確かにスライムが魔法を使った。そしてスライムがスライムを倒したのだ。ライムは倒したスライムへ近づきスライムの核を食べている。マルスはスライムって核を食べるのか、なら魔石も食べるのかなと疑問に思い、マルスは魔物から取った魔石をライムの前に置く。するとなんだかライムがこの魔石を見ているような感覚がある。マルスは言葉でライムのご飯だから食べていいよと伝えると。ライムはその魔石を包み込んでいった。するとほんの数秒後には魔石は消えてライムだけとなっていた。
マルスはライムを鑑定してみると「鑑定」スライム種 ライム レベル2 スキル吸収1 火魔法2となっていた。
「おーーーー。凄いなライム名前が付いているぞ。レベルも2になっているな。スライムを倒したからかな。それとも魔石を食べたからかな。」
ライムに移した火魔法はそのままにしてマルスは新たにスライムから火魔法他も吸収していく。探し回ったせいでもうすぐ日が暮れそうであった。マルスは急いで村へ帰っていった。
「ただいま。遅くなっちゃったね。」
「マルス、お帰り外はどうだった。」
「うん、何もないね。魔物も人もいなかったよ。明日から隣村に行ってみるよ。2,3日帰れないけど大丈夫かな。」
「心配しないで、みんなで協力してやってみるから大丈夫よ。それより外で人を探さないとどうなっているか分からないもんね。」
「そうだよ、スタンビートもどうなったのかも分からないし。情報が欲しいよね。」
翌日マルスは日が昇るとすぐに村を出た。今日中に隣村に着くために俊足を活かし駈けている。マルスが走っていても魔物の姿はない、それに人の姿も全く見えない。マルスは段々と不安になっていく。どうしても一人の時は悪い方へと考えがいってしまう。
「大丈夫、大丈夫。」
マルスは一人ごとを言いながら隣村を目指していく。どうにか日が暮れる前に隣村に着きそうであった。
隣村も無残な姿であった。「これじゃ生き残りなんかいないよな。」
マルスは村の中を見て回る。塩などの貴重品を探すためである。マルスの西13開拓村の隣であるこの村は西13よりも少し先に出来たことも有り人口も村の規模も大きい、だが家は壊され人の気配は全くない。人の死骸もないことにマルスは違和感を覚えたが。食料を探すことが先決と思い家々を回ってみる。
マルスは色々な家の中を見回ったが食料が全くない。これは誰かが取っって言ったという証だろう。マルスの村では調味料などは散らばってはいたが残っていた。だがこの村ではその散らばった調味料でさえないのだ。魔物が塩などを舐めていったとは考えられない。使用用途を分かっている者が取っていったのだ。
マルスは大声で人がいるのかを確認していく。「誰かいるのかーー。俺は隣村のマルスだーー。おーーーい。誰かいないのかーー。」
するとマルスと同じぐらいだろうか、二人、女の子と男の子が家の陰から出てきた。
「やっぱり生き残りがいたのか。」
「お前たちはこの村の人間か。」
「うん、この村に住んでいるんだ。だけど魔物が襲ってきて村の人たちはみんな死んじゃった。グスッ。」
「よく生き残れたな。」
「ううん、たまたま僕とカレンは木登りをしていたんだ一番高く昇って怖くなって降りれなくなっていたんだ。そうしたら村に魔物が着てみんな食べられ死んでしまったんだ。グスッ。」
「君の名前は何ていうの。」
「僕はバーク。」
「私はカレンて言います。お兄さんは、マルスさんでいいですか。」
「あっそっか、さっき大声で自分の名前を言ってたな。俺はマルス隣村から様子を見に来たんだ。」
「えっ、隣村は無事なんですか。」
「いいや、ほぼ全滅だよ、俺を含めて10人しかいない。全部子供だな。」
「そうですか、やっぱりもう助けなんて来ないですね。」
がっくりと肩を落とす、バークとカレンであった。
がっくりしている二人を慰める方法はない、自分たちも助けてほしいからだ。マルスは話題を変える事にした。
「君たちはここに住んでるんだろう。もう日も落ちてくるから明日の朝まで一緒にいていいか。」
「うん、いいよ僕たちも色々と話も聞きたいしね。いいよねカレン。」
「うん、いいよ。でも食料が少ないのあまり上げれないけど大丈夫。」
「大丈夫だよ食料は持って来ているからね。」
マルスは背負っているリュックを見せる。するとスライムが顔を出して来た。
「魔物だーー。」
「待って、待ってこのスライムは俺の友達なんだ。」
「ええーーっ、魔物が友達、それもスライムだよー。」
二人はスライムが弱い魔物である事を知っている。子供でも倒せるほど弱いのだから知らないはずはない。
「スライムだけど襲ってはこないね。」
「大丈夫だよ、隣村でも一緒にいたからね。このライムは人になれているんだ。」
マルスはスライムを撫でて見せる。スライムもじッとして動かない。
「だ、大丈夫そうだね。僕の家が向こうにあるんだ。こっちだよ。」
バークとカレン、マルスはバークの家に向かい歩いていく。