18話 洞窟の結界
マルスは森の中の洞窟に向かっていた。拠点になる事を確認するためである。
結界の事はレギウスから学んだのでかなり詳しくなっている。今回はレギウスは同行してない。レギウスはもう老齢の為に体力がだいぶ落ちている。森の中などを歩き回る事は出来ないのである。
マルスは一人洞窟へ向かっていた。洞窟までは魔物に会う事なく着いたが洞窟の雰囲気が変わっていた。不思議に思いながらも中に入ってみる。
マルスは洞窟内に入りその答えが分かった。今までレギウスの生命維持の為に使っていたエレルギーがいらなくなったために洞窟内の整備がなされたようだ。レギウスの話によるとこのエネルギーは半永久的なものであるためにこの場所には魔物が入る事はないと説明されていた。
マルスは洞窟の中を再確認して回った。よく見ると洞窟内は居住空間になっていた。多分数千年のうちに汚れやコケなどに覆われていた物がキレイになったのだ。水飲み場もあり、料理も出来るようだ。詰めれば100人ぐらいなら住めるスペースはある。50人ぐらいなら余裕である。
マルスは洞窟の外へ出てどこまで結界が有効なのかを確認する。まだマルスには結界を感知することが出来ないでいた。慣れれば結界を感じる事が出来るようだがまだできていない。魔道具で結界の位置を確認する。この魔道具はレギウスの手製である。
結界は洞窟から30メートルの位置に円状に結界が張られている。
「これなら住めるな。」
マルスは洞窟の周りを探索することにした。周りは雑木林のようになっている為かなり見通しが悪い。マルスは洞窟の周り約30メートルを伐採した。かなり周りがすっきりした。切株は残ったままであるが畑にするわけでもないので、そのままの状態で放置しておくことにした。
一休みしたマルスは周りの探索を始めた。周りには魔物の気配さえない、何か魔物が嫌う臭いでもあるかと思うほどに魔物がいないのである。周辺を回りある程度離れると魔物が姿を現す、マルス目掛けて襲い掛かってくるが今のマルスには敵わない。襲って来る魔物もゴブリンやウルフ、オークと以前に比べて種類も増えている。
強力な魔物は出ていないがこれからはもっと多くの魔物が出てくるようになるだろう。
マルスは結界は壁のようになっていると考えていたが違うようだ、洞窟から離れるほどに効力が弱まっているように見える。魔物が洞窟から離れるほどに多くなっていくことが証明している。
洞窟から20メートルの距離は魔物が入らない絶対距離であってそれより離れても魔物が嫌って近づいてこないと思われる。帰ったらレギウスに確認してみようと思ったのだ。レギウスも結界の説明をしていた時にはそんなことは何も言っていなかったのだ。
マルスは結界を10メートル間隔で張っていけば森を魔物から取り戻せるのではないかと思ったのだ。
結界のエネルギー源の問題はあるがエネルギー問題が解決すれば出来ると思った。
ある程度洞窟の周りの魔物を始末したマルスは食べられる魔物をマジック鞄にしまい、村へ帰る事にした。
「お帰りマルス。洞窟は使えそうだった。」
「エミーただいま。洞窟は使えるよ。結界は洞窟から20メートルはきちんと効いているね。」
「凄いね、森の中で魔物に襲われない場所があるなんてすごい事ね。」
「そうだよね、魔物が来ない場所があるんだよね。そう考えると本当にすごい事だね。さすがエミーだね。」
「そうよ私は凄いのよ。もう魔法も弓も使えるんだから。」
「料理もねエミーの料理は美味しいもんね。」
「そうよマルスには美味しい物をたくさん作らないとね。」
「俺はレギウスさんのところに行ってくるよ。」
「分かったわまたね。」
「ああ、またあとでね。」
「レギウスさん。」
「何だマルスか、もう帰って来たのか。洞窟はどうだった。」
「うん、洞窟から20メートルは結界が張られていたよ。この魔道具の数値が示していたんだけど、そこから離れても魔物がいなかったんだ。それでその周りを見て回ると洞窟から100メートルぐらい行くとポツポツと魔物の姿が現われるようになっているんだ。俺の考えだと100メートルを超えても結界の効力があるように思えるんだ。徐々に効力が弱まっていくような気がしたんだけど、レギウスさんどうなんですか。」
「ワシの時代には外に魔物がいなかったからな、結界も魔物用では無かったんじゃ。検証していくしかないだろうな。」
「そうですか、魔物用の結界ではなかったんですね。でも人は素通りできますよね。何の結界だったんですか。」
「・・・・・・・・・神や天使への結界だ。人以外は通ることは出来ないようになっていたんだろうな。」
「そうなんですか色々と検証が必要になりそうですね。」
「そうだな結界を完全に信用は出来ないってことだな。」
「そうなると村に結界をかけるのは拙いですね。」
「いや魔物だけを考えれば有効だろうな。魔物は入ってこないことは分かっているからな。神や天使などはどうか分からんがな。後はアンデットも分からんぞ。」
「神、アンデットですか。縁がないので分かりませんね。」
「まぁ結界も魔物には有効としておけばよかろう。後はおいおいでいいのではないかな。」
「そうですねやる事が多すぎて一つの事に構っていられませんからね。」
「マルス。ワシにスキルを付けてくれんか魔法を使ってみたいんじゃ。」
「いいですよ明日にでもスライムを探しに行きましょう。俺のライムにスライム探しをさせますよ。最近はスライムが少なくなっていますから見つけるのが大変になりましたからね。」
「マルスからスライムが逃げているようじゃな。」
「そ、そうかもしれませんね。アハハハ。」
翌日マルスとレギウスは村の外に行きスライムを探し回った。7匹のスライムを見つけてレギウスに火魔法、水魔法、土魔法、風魔法を付ける事が出来た。
マルスはレギウスに簡易の結界を作ってもらい実験を開始した。結界内で魔物は生きられるのかを実験するためである。捕獲したスライム1匹を中心に結界を張る。
「レギウスさんスライムは平気そうですね。」
「そうだなスライムは何とも無さそうだな。」
マルスは結界の張られている近くに別のスライムを置いてみると、そのスライムは結界から逃げるように離れていく。中にいるスライムは結界から出ようともしていない。
マルスはレギウスと共に色々と実験をしていく。一度結界に入ったスライムは別の結界に入っても平気、近づいても平気なようだ。結界内に入った事のないスライムは嫌がって逃げていく。
答えは見つからなったが、一度でも結界内に入ったスライムは結界を気にしなくなることは分かった。他の魔物も同じか検証するためにマルスはゴブリンを捕獲するために森の中に入っていく。
両腕を切断されたゴブリン2匹を捕まえてきたマルスは実験を始める。
結果はスライムと同じであった。
「レギウスさんこれどう思います。」
「そうじゃな、分からん。だがこのゴブリンと結界に入ったスライムはここで殺しておかないといけないな。」
「そうですね、生かしたままは拙いですね。」
「そうじゃ、この事はデリック以外には言うな。」
「分かりました。夜にでも一緒に報告しましょう。」
「そうじゃな、他にも色々とあるしな。ダンジョンの探索ももう始まるのじゃろう。」
「はい、もうすぐダンジョン探しに出ます。その間ライムの世話をお願いしますね。」
「分かっとる。なぁライム。」なでなで。
レギウスはライムと仲良しであった、マルスがいないときはいつもレギウスと一緒にいる。ライムはマルスかレギウスの近くにしか行かないのである。たまにエミーに近づくが餌をもらう時だけであった。
エミーはそれでも大喜びでライムに抱き着いているのである。ライムは完全に野生を忘れているようだ。
餌が欲しい時には餌をくれる人の所に行き、ナデナデしてほしい時は撫でてくれる人のことろに行っている。
「




