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17話 レギウスの知識

それからはレギウスを歓迎するために食事の用意をする。

広場でみんなで食べる事になったのだ。


「「「いただきまーす」」」

「うまいねー。」

「みんなで食べるとおいしいね。」


村はここ最近では騎士たちが滞在する事によってパンが食べられるようになっていた。ジャガイモと野菜だけであった食事が、子供たちはパンと肉が食べられるようになり食欲に拍車がかかっているのだ。もの凄い勢いでみんな食べている。


「そういえばレギウスさんよく洞窟が魔物に荒らされなかったですね。」

「あれはな入り口に結界が張ってあるんだよ、良く長い時間持ったもんだな。」

「そうなんですか。結界って魔物が入ってこれないんですね。」

「なんだマルス興味があるのか。」

「はい、村でも結界を張れないかなっと思いまして。」

「ワシの本をすべて持ち出していたな、まだここにあるのかな。」

「はいあります、後でお返しします。」

「いや気にするな、村で世話になるんだマルスが持っていていいからな。それよりその本は色々な種類の本があってな結界の事も分かるぞ。」

「えっ、本当ですか、レギウスさんも結界とか詳しいですか。」

「ワシは広く浅くだが色々と知識はあるぞ。」

「レギウスさん出来ましたら俺も含めて村の子たちに教えてもらえませんか。」

「いいぞ、子供たちに教えるぐらい暇よりは全然いいしな。」


その夜、マルス、デリック、レギウスの3人はマルスの家で話し合いをした。村の防衛、再開発についてだ。

マルスはレギウスの知識を利用しようと考えていた。レギウスも問題ないと思っている。デリックだけは問題ありと思っているようだ。デリックは国に報告しなければいけない立場であり、国の騎士である。

レギウスはそれぞれの立場を理解して提案をしたのだ。王にだけ伝え後は出来るだけバレることを引き伸ばす。その間に村の子供や国の者達に知識を教えると提案したのだ。

デリックも悪くない考えだと思い、提案に乗る事にした。


翌日から朝はみんなで魔法や剣などの訓練、昼を挟んで勉強会となった。

この勉強会は騎士たちも参加した。騎士は他の仕事があるために交代での参加であったが、レギウスの授業は今の時代としては考えられない物であった。

まず魔法に対する考え方や、使い方が今と全く違った。この時代の魔法はスキルがあれば魔法が使えるだけであった。

勿論スキルが無ければ魔法は使えない。そのためにスキルの取得のやり方などが授業の内容であった。

魔法のスキルを手に入れた後は魔法を利用して建築や土木に活かすやり方であった。

中にはマジックバックの作成の仕方や、ボーションのつくり方まであった。

流石に魔道具の作成は一部の者しかできなかった。だが知識がみんなにいきわたったことがこの世界を大きく変えていくのだ。


こうした勉強も冬が終わるまで続いていた。村の子供たちは勉強が楽しいのか色々な知識を吸収していった。大人の騎士や他の者たちもある程度は理解したようだが子供たちほどでは無かった。今の常識が邪魔をして理解できない部分があるために子供達より進みが遅くなっているである。


「レギウスさん、いつも勉強を教えていただきありがとうございます。」

「マルス急にどうした。気持ち悪いぞ。」

「何言っているんですか、いつもこうですよ。」

「アハハハハそうだな。何か聞きたいことでもあるのか。」

「さすがですね、魔物についてお聞きしたいんです。何故魔物はいるんですか。」

「ワシも分からんが、儂の時代には魔物はダンジョンの中だけだったな。一度世界が滅んだ何かしらの理由によってダンジョンの中だけであった魔物が外に出れるようになったとしか考えられないな。」

「そうですか、魔物は元はダンジョンの中だけだったんですね。」

「そうだダンジョンから決して外には出なかったな。」

「今ではそこら中に魔物がいますね。それに魔物も森に戻ってきましたからもう森にも行けなくなりました。もっと森の奥に行っておくべきでした。」

「マルス、森の奥へは行かない方が良いぞ、ワシの予想だが多分ダンジョンがある。」

「ダンジョンですか。」

「そうだ、今の話を聞く限り間違いないだろうな。スタンピードの発生、そして魔物が居なくなり又魔物が増えてくる。ダンジョンで魔物が生まれているとしか考えられないな。」

「それなら魔物を倒してダンジョンを見つけてダンジョンを潰せば魔物が居なくなるという事でしょうか。」

「理屈ではそうだが、魔物をすべて狩るなど無理だろうな。」

「そうですよね。」

「だが魔物のいるダンジョンを上手く管理すればスタンピードだけは防げるかもしれんな。」

「そうですよね、上手く管理できればスタンピードを防げますよね。」

「レギウスさん、レギウスさんの居たあの洞窟ですがあそこを拠点にダンジョンを探すのはどうでしょうか。」

「そうだなあそこは結界も張ってあるし魔物は来ないだろううな。だが一度確かめてみないといけないな。何しろワシは寝ていたのでわからんかったからな。アハハハハ。」

「ですよねーーー。」


スレイト王国王城内


「陛下、ご報告に参りました。」

「おおデリック待っていたぞ。村の様子はどうだ。」

「はい、復興も順調に進んでおります。奴隷を連れて行ったことがよかったようです。奴隷たちも平民のような生活をしております。」

「奴隷たちが平民のような生活、まぁ想像がつかんが順調という事だな。」

「はいさようです。陛下、レギウス殿の件ですがよろしいでしょうか。」

王は周りに誰もいないことを確認すると黙ってうなずく。

「レギウス殿の知識は物凄い物があります。マルス君のスキルがかすんでしまいそうなほどです。」

「そうだな、マルスを守るためと思っていた政策が今ではレギウス殿の秘密を守る事になっているしな。」

「今では少数ですが優秀な者をレギウス殿から学べるようにいたしました。その代り村から出る事を禁止しています。」

「少なくとも3年は教えを乞い、その後は国で働いてもらう。」

「はい本人たちも承諾しています。」

「そうかデリック頼むぞ、それとマルスと子供たちの様子はどうだ。」

「はい、マルスは優秀です。レギウス殿の一番の弟子です。考えも子供の考え方ではありません。やはり一度地獄を見ている子は違うのでしょうか、他の子供たちもかなり優秀です。」

「そうかそうか。」

「はい、それとマルスは森の探索を計画しています。」

「森の探索、魔物のいる森を探索するのか。」

「はい、レギウス殿との話で魔物の発生はダンジョンからだと言われたようです。そこでダンジョンを管理できれば魔物の発生を抑える事が出来るのでは考えているようです。」

「そんなことが出来るのか、無理ではないのか。」

「私も最初はそう思ったのですが、マルスとの話で出来ると思います。」


マルスは森の中に拠点を造りそこからダンジョンを見つけようとしている。拠点はレギウスのいた洞窟である、洞窟には結界が張ってあり魔物の侵入はない。安心して眠れるという事である。人員としては村の子供たちと騎士で行なう。少数での探索を計画していた。


「そうか、まずはダンジョンを見つける事か洞窟の結界は大丈夫なのか。」

「結界はレギウス殿の時代からの者ですからかなり強力なものだと思います。何しろ数千年もの間魔物の侵入を阻んできたものです。」

「そうだな、探索は許可しよう。だがばれないようにしろ。騎士たちには誓約書を追加で署名させろ、それが成功したら騎士たちにも何か褒美をやらんと不味いな。」

「はい、そうしていただけると助かります。」

「マルスがダンジョンを見つけ、そこを管理するようになったら。今の騎士50人は正式な貴族として爵位を与える事にするぞ。」

「はい、ありがとうございます。必ず成功させます。」


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