13話 王城に一泊
「へ、陛下よろしいですか、スライムに触る事になりますが、よろしいんでしょうか。」
「構わぬ、デリットから聞いておるから問題ない。」
「そ、そうですか、では行きます。スライムに触ってください。」
「うむ。」
「融合」
「おおおおーー。スライムがいなくなったな、だがスライムと融合した感じか変わらないな。」
「はい、何も変わりませんが分離をした時に分かります。ただの分離ではスキルを付ける事は出来ませんが、俺、私には鑑定スキルがありますので、鑑定を掛けたままでスキルだけを残す様に意識して分離を掛けると、スキルは残ったままになるのです。」
「そうか、では分離をしてくれ。」
「分離。終わりました。陛下、手のひらに炎をイメージしてファイヤーと唱えてください。」
「うむ。ファイヤー。」ボッ。
「おおおおおおおーーーーーーーー。」
「これは凄いな、本当に魔法が使えるようになるのか。」
「魔法だけではありません。スキルであれば剣スキル、槍スキルなど何でも残すことができます。」
「おおーーーーーー。」
それからはマルスは大変であった。この場に残っていた数人の貴族達にもスキルを付けていった。何であんなにスライムを持って帰るのかを理解できた。このためにスライムを集めていたのである。
「マルスよ、疲れたであろう今日は城に泊まり明日もう一度話そうぞ。」
「はい。」
マルスは緊張でへとへとになっていた。やっと解放されると思い疲れが取れる思いになる。城の侍女に案内されてマルスは貴賓室へ案内される。
「こんな豪華な部屋には泊まれません、もっと小さな部屋は無いんですか。」
「マルス様、陛下よりのおもてなしです。不満を言ってはなりません。」
「いや、不満じゃなくて、豪華すぎるんです。」
マルスは諦めてその豪華な部屋で一晩過ごすことになった。食事も部屋に運び込まれ、致せり尽くせりの対応であった。マルスは疲れが取れるどころか余計に疲れてしまった。
マルスが去ったあと、王と貴族達は別室に移っていた。
「陛下、これは素晴らしいですな。」
「そうだな、だが問題もある。」
「さようです。これが他の者達にばれたときが問題ですな。」
「ばれるのは時間の問題だな。だがやり方によってはいい方向に向ける事が出来るな。」
「陛下どのような方法でしょうか。」
「レクリス侯爵、隠すからいけないのだ公にしてしまえば、下手な手出しは出来なくなるだろう。相手は爵位もある貴族だ。貴族同士のいざこざは国が仲裁する事が出来るしな。」
「それで我らを呼んだわけですな。」
「そうだ、グレイストス公爵、レクリス候爵、ダルデス伯爵、ウエストリー伯爵、デリック男爵。」
「ですが今公開するには準備が間に合いません。」
「1年後に公開する。それまでは全力で秘密を守る。その間に体制を整える。マルス騎士爵には西13村周辺を領地として渡すつもりだ。そこでお前たちが信用の出来る者達を派遣してもらうぞ。デリックお前の騎士たちにも交代で常駐してもらうからな。」
「はい陛下そのつもりです。モズの町にも拠点を造ります。スタンピードを理由に魔物から防衛するためといたします。」
「そうだな西13村に多くの騎士たちがいては拙いな。モズの町なら丁度良いな。あそこはあのあたりで一番大きなの町だからな。」
「モズの町より森側はほぼ壊滅しております。モズの町も被害が大きく兵も少なくなっていますので丁度良いかと思います。」
「確かモズの町の領主は死亡したのだったな。」
「はい、嫡子が後を継ぐことになっています。」
「そうか領地はモズの周辺だけだったな。」
「そうなります。西13村は関係ありません。」
王たちはスキルの活用方法の研究などを西13村ですべて行う事等を検討していた。
西13村を中心に隣村を領地とさせ、西13村へ行くまでの防波堤の役目を持つ村も検討していた。もちろん魔物ではなく対人間の防波堤である。
ここに集まっている者達は王の信頼のおけるもの達であった。国王派のメンバーである。
「陛下、明日またマルス騎士爵と話をすると言っていましたが。開発資金を出したら如何でしょうか。村は壊滅状態です。スタンピード後の村等に誰も行かないでしょう。民を受け入れる資金も無いでしょう。そこで資金を出し奴隷を購入させるのは如何ですかな。」
「奴隷かいい案だな。裏切る事もないな。そうだな余に魔法を授けた代金を払わねばなるまい。お前たちも協力してくれ。」
「「「「仰せのままに。」」」」
翌日
マルスは城のベットから起きると、侍女が着替えをするために待っていた。マルスは焦って逃げようとしたが侍女に掴まり着替えをさせられた。今まで自分の事は自分で行なってきたマルスは又疲れ切ってしまった。
朝食が終わるとマルスは国王との面会となる。
今度は謁見の間ではなく王の執務室に連れられて行った。
「マルスよ、よく来た。そこに座れ。」
「はい、失礼いたします。」
王はマルスにスキルの事で感謝を述べた。マルスは王からお礼を言われ恐縮してしまっていたが、それ以上にスキルの代金を貰えると聞きびっくりしてしまった。説明を聞くと、村の開発資金の名目で必要と知り安心した。だがその金で奴隷を買い。村に住まわせると聞き再び驚いていた。
開発村には奴隷など今迄いなかったのである。見たことも聞いたことも無かったのであった。
マルスは王からスキルの重要性と希少性を教えられ、村人達を含め秘密にすることを約束させられた。そのための奴隷であり。村人を無暗に増やすことが出来ないために奴隷を変わりにすること。村の周辺をマルスの領地として与える事。西13村の周りに村を早急に建設するが領主はマルスである事、だが開発には代官を国から派遣するためにマルスは西13村の事だけを考えればよいと伝えられた。
マルスは城を出て今奴隷商迄来ていた。城から馬車で連れて来られたのであった。
マルスはデリックと一緒である事が救いであった。王都になど来た事のないマルスは、訳が分からずにどんどん話が進み振り回されていた。
「ハーーーーー。」
「マルス君、大きなため息だね。」
「ため息も大きくなりますよ。何か知らないうちに話が進んでいってしまって。」
「まぁそうなんだけどね。マルス君は重要人物になってしまったからね。本当は王都で暮らして貰いたいぐらいだよ。」
「そんなことは無理ですよ。俺には西13村がありますから。」
「そうだね。」
「ようこそいらっしゃいました。お話は伺っております。」
「そ、そうですか、俺はマルス。宜しく。」
「マルス様、早速ですが奴隷について知っていますか。」
「いいえ、知りません。」
「そうですかでは奴隷についてご説明します。奴隷は犯罪奴隷、普通の奴隷です、普通の奴隷とは奴隷の子として生まれた者や、借金返済の為に奴隷となった者達の事です。あとは戦争奴隷です。大きく分けて3種類の奴隷がおります。今回は普通の奴隷をご希望とお聞きしましたが間違いございませんか。」
「はい、農業をさせるために奴隷を探していますので通常の奴隷がいいです。」
「分かりました。おすすめは家族の奴隷たちですが如何でしょうか。」
「・・・・・いいえ、家族の奴隷は外してください。今回は年も何も関係なしで農業が出来る者でお願いします。」
「家族はダメな理由を置くかせくだいますか。」
「・・・それはですね俺のいる村は魔物に襲われ親を亡くした子供が多くいます。家族の親と子の姿を見たらみんな思い出してしまうからです。」
「マルス様、申し訳ございません。配慮が足りませんでした。」
「いいえいいですよ。気にしていません、それに後々は家族の奴隷も受け入れます。今回は受け入れないだけです。少しすればみんなも慣れて来るでしょう。」
「取りあえずは男女で50人用意できます。これが第一陣となります。」
「第一陣ですか。」
「そうです第2陣と第3陣までを承っています。人数で言いますと200人になります。」
「エーーー、そんなにですか。」




