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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

君のために

作者: エアコン

初めて書いたので優しい目でお願いしますm(_ _)m

君との約束を果たすために必要なら、僕は神様さえ殺すだろう。












私には幼馴染がいた。 


ティムとよんでいたあの子は、私と家が近くて、小さい頃から一緒に遊んでいた。

私の両親は私に対して愛情を持っておらず、政略結婚のための道具としか思っていなかったから、家での生活は辛かった。

当時、ティムだけが私の心の拠り所だった。

ティムも家に両親がいることが少なく、寂しく感じていたため私を心の拠り所にしていた。

しかし両親は私が彼と仲良くすることをひどく嫌った。

彼は子爵家の子供だったから身分差を考えたら仕方ないことだった。

彼は優しくて、勇敢で、でもちょっと寂しがりやで、私にとってとても大切な人だった。

幼い私は彼の蜂蜜色の髪とエメラルドのような瞳が宝石のように見えていた。

二人でこっそり森へ行き、大人に秘密で結婚式ごっこをしたとき、彼は


「僕がアリエルを幸せにする。約束だよ。」


と無邪気な顔で笑った。

私はとても嬉しくて、胸がぎゅっとなったのを覚えている。

そんな記憶がいまではとても愛おしい。

楽しかった日々は、突然終わりを告げた。

彼が領地まででかけた帰り、彼と彼の両親が乗る馬車が襲撃され、彼の両親は殺され、彼は行方不明になったのだ。

彼の家は王家のために諜報機関として活躍してきた家系で、たくさんの人の恨みを買っていた。

おそらくその中の誰かが指示したと思われるのだが、王家は諜報機関の存在を秘匿したいのか、ろくに調べもせず、事故死ということで処理した。


ティムが行方不明になって10年、私ももう16歳だ。

彼がいなくなってからの10年は私にとって地獄も同然だった。

毎日両親から受ける精神的虐待。

使用人でさえ私を嘲笑う。

勉強が大変で友達もいない。

頑張っても頑張っても報われない日々。

最近王家よりの有力貴族が暗殺される事件が頻発し、屋敷の空気がピリピリしている。

ティムのことは、正直諦めていた。

現実を受け止めなければ私は壊れてしまう。

公爵家に生まれた子供として私はそろそろ結婚しなければならなかった。

相手は王家の第3王子。彼は女性に暴力を振るうことで有名で、他にも黒い噂はつきない。

そんな相手にも関わらず、私の両親はこの縁談をとても喜んでいた。

私は政略結婚の道具でしかない。

そうわかっていても、実の両親さえ、私の幸せを願ってくれないならこの世界で誰が私の幸せを願ってくれるのだろう。

唯一だった彼はいなくなってしまったのに。

私は誰にも心の内を話すことがきず、結婚式まで毎夜一人で泣いた。


そして結婚式当日、隣に立った第3王子は私を下卑た目で見てきて、


「今夜が楽しみだ。俺を満足させるまで壊れないでくれよ?」


と言った。

私はそのとき私の心がパキリと音をたてて割れた気がした。


「・・・を愛し、慈しむことを誓いますか?」


考えることを放棄していたせいで、いつのまにか結婚式は終盤を迎えていたようだ。

神父から問いかけられた言葉に私は、すぐに、「誓います。」と言うことができない。

こんな状況になってもまだ私は抗おうとしているのだろうか。

自分の中の躊躇心に笑えてくる。


それから何分たったのか、もしかしたら一瞬のことだったのかもしれない。

黙ってうつむいている私の耳に隣から何かが飛び散るような音が聞こえた。


「っ!?」


隣を見るとそこには首をかっきられた夫になる予定だった人と、真っ赤に染まった短剣を持った神父がいた。

血で赤く汚れた服を着ているにも関わらず、彼はとても美しかった。


「ごめんね。君を幸せにするのは僕じゃないと許せない。」


神父は被っていた帽子を取り、不思議な色がついたメガネを外した。

そこにはすこしくすんでしまった蜂蜜色の髪と昔と変わらないエメラルド色の瞳があった。


「...ティムなの?」


こんな状況にも関わらず平然としていられる私の心はやはりさっき壊れてしまったのだろう。


「やっと迎えにこれた。でもまだしなきゃいけないことが残ってる。アリエル、まだ、もう少しだけ待っていて。」


そう言って彼は目の前から忽然と消えた。

私はなぜか、彼が王宮に行くつもりな気がした。

急いで追いかけようと扉に向かって振り向いたとき、参列客は全員死んでいた。


あぁ、彼が殺したのか。


私はもう壊れているから、何も感じることができなかった。

振り返らずに王宮まで走った。

式は王宮の離れのようなところでやっていたから、私はすぐに着くことができた。

そこには、真っ赤に変わった玉座を背にしたティムがいた。


「アリエル...ごめん、僕は君だけが必要なんだ。」


彼は笑っていたけれど、私には泣いているように見えた。


「私のこと幸せにしてくれるんでしょう?」


昔の約束を果たしに来てくれたティムがひどく愛おしい。


「もちろんだよ。」


ティムが迎えに来てくれたなら私はそれに応えなければいけない。


「堕ちるとこまで一緒に堕ちましょう。あなたと一緒にいられることが私の幸せなの。」














10年前ティムたちを襲ったのは王家の刺客だった。

王家の闇を隠すために始末させようとしたらしい。

ティムは運良く逃れ、いまのいままで平民街で王家の追手から隠れながら過ごし、私と結婚できる立場になる計画をたて、そのために反王家と銘打って勢力を集め、実行した。

全ては私との約束を果たすためだった。












それから何年かたち、新しい王様のもと、国は着実に発展していた。

過去の王家は賄賂が横行し、平民たちの負担も重く、一部の貴族が贅の限りを尽くしていたため、新しい王様は平民たちから大歓迎された。

務めをしっかり果たしている貴族は重用されたため、貴族からも受けがよく、万人から受け入れられたと言えるだろう。

その後も善政を敷いた王様は歴史上で最も素晴らしい王様だと語り継がれるようになった。






王様がお后のために過去の王家を潰したことは、お后様以外、誰も知らない...

読んで下さりありがとうございました。

うまくまとめられていないのが申し訳ないです...

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