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あれから一週間が過ぎた。
街を包む空気がとても澄んでいるように感じる。
雅緋の体調も回復し、今日から再び登校出来るようになり、瑠樺は彼女の家に寄ってから学校へと向かっていた。
「わざわざ迎えに来こなくても良かったのに、小学生じゃないんだから」
「良いじゃない。こんなの久々なんだし。沙羅ちゃんはどうなの?」
「相変わらずよ」
瑠樺の問いかけに、雅緋は何の感情も見せずに答えた。「最近は木偶人形を使って、一人で出歩くことも増えたのよ。呉明凛憧が残した人形は性能が良いらしくて、私が傍にいなくても少しくらい離れていても平気らしいわ。それより考えなきゃいけない人は他にいるんじゃないの?」
「草薙くんのこと? 彼なら大丈夫よ」
あの後、草薙響も中庭の隅で倒れているのが発見された。彼は何も記憶をしていない。何が起きたのかも、そして、自分が何者であるのかも。
きっと、彼は生まれなおしたのだ。人形としてではなく人間に。
「大丈夫って?」
「一条家でちゃんと面倒を見てくれるらしいから。むしろこのまま新しい記憶と環境で生きていけるほうが幸せかもしれないでしょ。『西ノ宮』にも許可はもらってるって」
「そうね……え? 何を言っているの? 私が言ってるのは彼のことじゃないわよ」
「じゃあ誰?」
「なによ、惚けてるつもり?」
「そんなわけないでしょ。誰のこと?」
「そんなの双葉伽音のことに決まっているでしょ。あの女、『魔化』と強いつながりを持っているのは変わっていないのでしょう? このままにしておいていいの?」
「それは雅緋さんも同じじゃないの。雅緋さんこそ、『双葉』なんだから」
「あの女と一緒にはされたくないわね。あの女も一条家で暮らしているらしいわね」
「『魔化』が溜め込んでいた負の力が浄化されたことで、伽音さんも周囲に負の影響を与えることはなくなったから大丈夫よ」
「あなたって、いつものことだけど驚くほど甘いわね」
「草薙君にとっても、彼女と一緒なら安心じゃないの」
「安心? どうして? それってむしろ不安しかないじゃないの?」
「きっと大丈夫よ」と軽く答える。
「あなたって、そんな楽観的な人だった?」
「こんなものよ。ところで沙羅ちゃんは彼女のこと、何て言っているの?」
「沙羅? そうね、意外と仲が良いみたいね。時々、一人で彼女に会いに出かけていくこともあるみたいよ」
「ふぅん」
瑠樺は思わず雅緋の表情をまじまじと見つめた。
「何よ?」
「ううん」
首を振って目をそらす。「そういえば雅緋さんはこれからどうするの?」
「どうって?」
「沙羅ちゃんのことよ。これからも雅緋さんの中に宿らせておくの? 彼女を分離したほうがお互いに便利なんじゃないかと思って」
「別に。あの子がそれを選んでいる限り、私はそれで構わないわ。それにあの子といると面白いこともあるしね。私もやってみたいこともあるし」
「やってみたいこと? それは何?」
「決まっているでしょ。世界征服よ」
そう言って雅緋は笑ってみせた。
了
長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
もともとバトルの無いもの、そして、流行りの異世界ものとは違うものをということで書いてみました。
一部ごとにそれぞれ完結した物語にするつもりが途中からは続き続きの連続になってしまいました。
ただ長くなってしまった部分も多く、そして、語らなければいけない部分が語られていなかったりと不備な部分も多くなってしまいました。
そんなものを最後までお付き合いいただきありがとうございます。
・・・とか言いながら、後日談はあったりして。




