四話 旅人だ
暇つぶしに付き合ってくれ
「な、何者だ!」
騎士の一人がアルフィスに剣を向ける。他の騎士も何時でも飛びかかれるように警戒している。
「旅人だ」
「そうか、旅人か…ってなるかぁ!ただの旅人があんな戦闘能力持ってる訳ねぇだろ!」
(あれは戦闘と言えるのか?)
否、戦闘ではない。ただの事故だ。衝突事故だ。
「そういう旅人が至っておかしくはないだろ」
「…怪しいヤツめ、ならば…」
騎士が構える。それと同時に他の騎士も剣を抜く。
「やめなさい!」
突如鈴の音の様な綺麗な声が響く。発生源は馬車のようだ。扉が開き、中から人が出てくる。それは、美少女だった。腰まで伸びた金色の髪に、幼いながらも整った美しい顔。大人になれば多くの男性の目を奪うことだろう。
「ひ、姫様、危険です!出てはいけません!」
「大丈夫です。その方は盗賊から我々を助けてくださったのでしょう?ならば礼をしなければ」
「しかしこやつ得体が知れません!」
「黙りなさい、マルク!助けて下さった御方に失礼でしょう!」
「くっ………」
マルクと呼ばれた男は姫の叱咤に黙ってしまった。
「申し訳ございません、助けて頂いたのに…」
「いや別に構わないんですけどね、あの一ついい?」
「はい、何でしょうか?」
「馬車乗っけてってくれない?」
「…えぇ、構いませんよ」
姫はその言葉にキョトンとするも、すぐに笑みを浮かべ、許可をした。
「なっ!?しかしこの様な素性の知れぬものをーー「マルク!」っ!…くっ、分かりました」
マルクが異論を唱えようとするも、姫の気迫に気圧され、アルフィスを睨みながらも渋々承諾した。
(随分と嫌われたもんだな…まっ仕方ないな。なんたってーー)
(くそっ!こいつが現れなければこのアマを消せていたというのに!)
(真犯人だからな!)
暇つぶしに付く合ってくれ
さあ間違い探しだ、何処が違うかな?