表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイ

珍客、再び

作者: 久賀 広一

毎回毎回、くだらないことをエッセイで書いてきましたが、先日は本当にびっくりする客が、わが家の庭にやって来ました。


(庭と言っても、猫のひたいと勝負してやっと勝つくらいの大きさですが。)


ウチは山裾やますそに建っており、私の書いたものに何度か登場させましたが、ムカデがよく出ます。あとタヌキや鹿や、イタチなど。


しかし、先日はひま潰しに筋トレをしていると(というかあまりに運動不足な暮らしをしているので、筋トレぐらいしないと枯れ木まっしぐらです)ある黒い塊が庭に出現。


「おお、ネズミか!? 太陽の下に出てくるとは、珍しいな!!」

眼鏡をかけていなかったので、私にはそれが何だか分かりませんでした。

とりあえず興味深い出来事だと(いつかは家の居間にヘビがいたことがありましたが)眼鏡を探していると、何やらコトリ、コトリと不可思議な音が。


それでコンクリートの上を移動しているその物体を見つめたのです。

「・・・へっ!?」

カメでした。


(何だこれ!? 誰かが捨てて行ったのか?)

一瞬そんな思いが頭をよぎりましたが、そんなはずはありません。

というより、

誰かがカメを捨てても、ウチの庭にたどり着くには、山にある住宅地ですから相当危険な旅をしなくてはなりません。


車はけっこう走ってるし、何より道路の側溝は整備されてて、とてもカメが一息つけるような水場ではない。

隣の家との段差もハンパではなく、まず子亀では太刀打たちうちできない。


(・・・では、この小さな甲羅はどこから運ばれて来たのだ?)

そんな疑問が浮かんだ瞬間、その珍客がどこからやって来たのか、道程が頭にひらめきました。


「お前・・・! まさか、はるか下界にある田んぼから、裏山を登ってわが家まで辿り着いたのか・・・!!」


それしか考えられませんでした。

とてもペットとして飼われているような亀ではなく、(ただのクサガメ)近くに生息できるような人工楽園(ビオトープ)があるわけでもない。


その亀は、わざわざ孤独な奇跡を見せるために、拙宅まで時間をかけて足を運んでくれたのでした・・・!

(まあ彼にとっては、とりあえず田んぼの用水路から気ままにトコトコ出てきただけでしょうが)


人的距離に換算すれば、およそ砂漠越え。

草葉のしげる山林を、えっちらおっちら獣道けものみち(亀道?)を残しながら歩いて来たのだと知ると、何やらメロスの偉業を彷彿とさせられたのでした・・・。


カシャカシャと携帯で撮ってやると、また山に消えて行きました。


しょうもない話ですみません。

しかし、それでも自分にとっては、一生に一度あるかないかのお客さまだったのです。


「しっかり生きて!」

大亀おおがめこどものひょうきり。そんなかすかな願いが、心のどこかからパクって生まれた卑怯なエッセイでした・・・!








有り難うございました。


彼を安全な場所まで運んでやろうかと思いましたが、前作の子ガニの件キャンサー・イズ・デッドもありましたので、そのままにしておくことに・・・


また大きくなったのを、どこかのあぜ道で見かけたいです






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 亀とか蛙とか、近くに池もないはずなのになぜか庭先にいたりしますよね。 本当にどこから来ているのだろうと不思議だったりします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ