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物語

 風光明媚。その一言に尽きる自然に育まれた町、鹿乃谷(かのや)市。海風が優しく吹きぬけ、山の緑は月日を謳歌するように化粧を施していく。市は広い。


 その中に位置する商店街。人情と活気に溢れ、地域住民の生活日用品は全てが揃う。

 この小さな町は、観光客の為のものではなく、地域に暮らす人々の為のもの。

 大きな発展を望むことは無く、かと言って衰退を望むことも無い。

 

 ありのまま。穏やかで優しい生活を望むのだ。だからこそ、この町の至る所では野良猫が昼寝をし、子供たちが駆け回り、主婦は立ち話に花を咲かせ、男たちは仕事に汗を流す。


 その町の一角、築四十年以上の木造アパート。風呂なしトイレ共同六畳半。キッチンも小さく、いつ起きるか、地震で崩れそうな近代建築の中で懸命に生きているアパート。そこには、噂があった。


 夜な夜な子供の駆け回る声が聞こえたり、明け方に女の啜り泣きが聞こえたりと幽霊の噂が絶えない。だが、そのアパートには空室と言う募集が張り出されることが無い。


 全室8部屋。その部屋の全てに、生活臭が漂っている。


 そこに駿は暮らしていた。両親を中学時代に亡くし、宴席の運営するこのアパートの一角を借りて。


 そして、その町を見下ろす観音様。長い、長い階段の先にある観音は、いくつもの後利益に人々は通う。


 その願いを成就させる為に。


  

 長い夜雨の銭湯帰り、駿は呆然とした。


 これは神の悪戯か? さては悪魔の差し金か? それとも夢の欲望か?




 ―――貴方は、私の運命の人です。




 駿の前に傅くように正座している少女。


 この少女をきっかけに、孤独だった駿を取り巻く環境は大きく変化していく。

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