天竜族の里
「末の娘なんだか、好奇心旺盛でな。
この狭い天竜族の里の中では物足りずに、外の世界へ行きたいと言ってな。
月に1度来る竜の定期販売の時、荷物に紛れて里を出ようとした所を間一髪見つけ保護したのだが、それから何度も里を出ようと巧妙に企てているから、その内、一人で逃げ出すのではないのかとヒヤヒヤしていた。
それでここにいるメンバーで話し合った結果、一人で世界を渡り歩くには危険なので、誰かに付き添わせた方が良いのではないかという結論に至った。
定期的に来る竜の行商人に訪ねてみた所、王竜の子供を連れた人間が世界を歩き渡っていると聞いてな、それなら同じ竜族だから、一緒に連れて行って貰おうかと思っている」
「もし断ったら?」
「この天竜の里から出られないと思え」
そんな大層な事を言っているが、僕にはDルームという異空間魔法が使える。
だから帰ろうと思えば帰るだろうと高を括っていたが、
「ここ、天竜の里は我が作った空間だから、この空間内では我しか魔法が使えないから気をつけてくれ」
なんだって!それじゃ僕の異空間魔法は使えないという事なのか?
試してみたいがここでは使えない。
誰もいない所で試すしかないだろう。
あ、でもマップ機能は使えた。
あれはスキルだからか、スキルなら問題なく使えそうだが、来る時に試さなかったのが今になって後悔していた。





