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天竜族の里
「呼んだのは他でもない。
実は頼みがあるのだ」
「頼みですか?」
何だか嫌な予感しかしない。
話を聞く前に逃げた方が良いのではないかと考えてしまうが、今、逃げたとしても空中戦艦がこの積乱雲の中から脱出する事は不可能だろう。
この亜空間も外の風の渦も、長ならどうにしかする事ができるだろう。
それはやはり交渉次第というところか。
「頼みと言うのは…おい」
『パンパン』と長が手を叩くと奥から女性が現れた。
年齢的に僕と変わらないくらいかと思うが、この人もなかなかの美人だ。
もしかすると僕から見れば美人だが、天竜族の人はこの顔が普通なのかも知れない。
「我の四女のミランダだ」
あ、なるほど、長の娘だから美人なんだと納得してしまった。
だが、その娘と何の関係からあるのだろうか?





