巨大な積乱雲
「おい、ゴリラ!
隼人を解放しろ!」
「何を言っているんだ?
私はダーリンとラブラ…」
ゴリラが言いかけた所で、ゴリラの腹に死なない程度に強烈なパンチを僕は繰り出した。
一瞬だった事もあり、ゴリラは何が起きたか分からなかっただろう。
大きくバウンドしながら転がり、壁に当たって止まった。
何が起きたのかという顔で皆が僕の方を見ていたが気にしない。
ゴリラは気絶したのか、動く気配は全くなかった。
「おい、隼人!起きろ、隼人!」
僕は隼人を揺さぶりながら呼び続けた。
するといきなり目がパチと開いた瞬間、僕と目と目があった。
次の瞬間、起きたかと思ったら、僕の目の前で立ち、そして片膝をついて頭を垂れた。
「主、何なりとご命令を」
隼人が言い出した。
これは何かの罠か、それともドッキリかとも思ったが本人は、至って真面目のようだ。
もしかしたら薬がまだ効いているのかも知れない。
それならば今の内、こき使った方が良いか。
「それなら、あの邪魔なゴリラをDルームに運んで幽閉しておいてくれ。
あっ、ついで逃げないように見張っていてくれ」
「主の仰せのままに」
そう言うと隼人は、ゴリラの片足を掴み引き摺りながら運んで行く。
これで邪魔者は居なくなった。
僕はサフラン王子に話をして独りブラックホールへと向かった。
 





