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巨大な積乱雲
「どうしたんだ?翔」
僕が外の様子を、声の主を探そうとキョロキョロと見ていたら、隼人が気になって声をかけてきたようだ。
「僕を誰かが呼んでいるんだ」
「気の所為ではないのか?」
「いや、確かに聞こえるんだ」
そう言っている間にも、また聞こえてくる。
『翔殿、お一人でこちらへお越し下さい』
空間に反射して低い唸り音にも聞こえるが、若い男性の声に聞こえる。
「ほら、隼人、聞こえただろう?」
「いや、何も聞こえないんだが…、お前は聞こえたか?」
「ん〜ん、聞こえないね。
空耳じゃないのか?」
隼人にもアマゾネスにも謎の声は聞こえていないようだ。
だが、声の主は一人で来いと言っている。
おおよその予想はついているが、多分、天竜族の誰かが僕だけにテレパシーのような物で伝えているのだろう。
僕がだけと言う事は、他の人には入って欲しくないと言うことだし、天竜族と争いになっても困る。
なので、僕一人でブラックホールの渦の中に行こうと思う。





