巨大な積乱雲
「おっ、凄いな!
これが雲の宮殿か」
遠くの方で聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あたいも初めて来たけど、これなら豪華なお宝が沢山有りそうだな」
辺りは薄暗く稲光の光で少しは確認出来るが、その光は一瞬で消えてしまう。
声がこちらの方に近づいて来たかと思ったら、艦橋内が急に明るくなった。
電気が復旧したのかと思ったが、誰かがライトの魔法をかけて周囲を明るくしていた。
そのお陰で聞き覚えのある声の持ち主が判明した。
「隼人…、とアマゾネス」
「よっ!」
「あたいをついでみたいに言わなくても良いだろう。」
「それでここに何をしに来たんだ?」
「それは勿論、人命救助さ。
怪我人が大勢出て困っでいると連絡が来たからな、Dルームに怪我人を運ぶ手伝いに来たんだ」
「その割には、こんな所にブラついていて良いのか?」
「大丈夫、大丈夫。
サッカー部の後輩達が怪我人を運んでいるから」
「ふ〜〜ん」
「何だよ、翔。その疑いの目は?」
「で、実際はどうなんだ?
何の目的で来たんだ?」
「え〜っと」
隼人は困った顔してアマゾネスの方を見ていた。
するとアマゾネスが一言。
「勿論、お宝を頂く為よ」
やはりな、だが、そんな事をすれば天竜族の怒りを買うことになってしまう。
相手は竜だから、いくら僕達が強くなったと言っても、竜が集団で襲ってくれば勝ち目はないだろう。
ましてや、ここは空の上。
僕は飛べるから良いけど、隼人や他の人達は飛ぶ事ができないので、空中戦艦ごと落とされてしまうのが、目に見えて分かる。
争いは避けなければならないだろう。
Dルームに追い返そうとしたが天竜を見ると言って、駄々を捏ねる。
言い訳をしながら、お宝を狙うつもりだろうが、そんな事は僕がさせない。
絶対阻止してやると心の中で誓った。





